食品や製造品などの工場は、関係者以外はなかなか入ることができない場所。企業が独自に開催している見学ツアーなどに参加すると、大人でもわくわくしますよね。ソフトバンクロボティクス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクス)のさまざまな物流ソリューションを体験できる施設「SoftBank Robotics Logistics Innovation Lab(以下、ラボ)」で、先日、初の試みとして近隣の小学校の社会科見学が行われたとのことで、取材してきました。
目次
- ずっと気になっていた隣にそびえ立つ巨大倉庫へ。事前学習をしていざ潜入!
- 最先端の物流ロボットたちに興味津々の子どもたちが質問攻め
- 感じたことをニュースやSNS風にまとめて振り返り
- 体験することに貪欲な子どもたちにホンモノを見せてあげたい
ずっと気になっていた隣にそびえ立つ巨大倉庫へ。事前学習をしていざ潜入!
今回ラボを訪問したのは、千葉県市川市立二俣小学校の5、6年生です。教室から窓の外を見ると、校庭の先にラボが見えます。物流センターが出来上がっていく様子を、隣からずっと見てきた子どもたち。見学先を知ると、「え、あの中に入れるの?」と盛り上がっていました。
ラボに行く前に、今回の社会科見学を企画した、千葉県立現代産業科学館の先生による特別授業がありました。5年生は「物流倉庫でどう情報が活用されているのか」、6年生は「働く意義や働く人の願いは何だろう?」というテーマを設定。まずは一般的な物流倉庫の映像を見てイメージをつかみ、事前に想像を巡らせます。この後のラボ見学を通してどんな気づきがあるでしょうか。
それぞれのテーマを胸に、プリントと鉛筆を持って、いざ出発です!
最先端の物流ロボットたちに興味津々の子どもたちが質問攻め
「あ、Pepperだー」
「すごく広いね! 天井も高いなぁ」
倉庫に入るなり、あちこちからリアクションが! まずはソフトバンクロボティクスの矢野さんから、会社やラボについて簡単な説明を受けました。Pepperのほかに、実際のレストランで活躍している配膳ロボットなどが例に挙げられると、会社への親近感が一気にわいたようで、集中力が増しています。
矢野さん 「物流は皆さんの生活にとって欠かせないもの。生産年齢人口の減少の影響を受けるなどの課題があります。世界のさまざまなロボットや技術を組み合わせることでどうやって課題を解決できるのか、ここで体験して考えてみてください」
わくわくした様子で、倉庫のコアのシステムである「AutoStore(オートストア)」や、連動させることで棚卸しや仕分けができる「RFID」のゲート、次世代型ロボットソーター「t-Sort」などを見ていきます。


「おぉー、動いた!」
「すごーい」
「これ、何だろう?」

目の前で作動するロボットを見て、素直な感想がたくさん聞こえました。真剣なまなざしでデモンストレーションを見ながら、説明に耳を傾け、メモを取ることも忘れません。
「どうやって動いてるんですか?」
「この機械には人工知能って使われてるんですか?」
のぞき込んだり、触らせてもらったりしながら、頭に浮かんできた疑問を次々に投げかける、積極的な姿が見られました。

そして1番人気は、ピッキング作業をサポートするスマートグラス「Picavi(ピカビ)」とグローブ型のバーコードリーダー。試してみたい人? と声がかかると全員が挙手! 自由時間にも子どもたちがたくさん集まっていました。


ラボに展示されているサンプルは日用品やおもちゃなど、身近なものが多くありました。普段自分たちの家に物が届く裏側を、現実味を持って体感することができたようですね。
一通りの体験が終わり、質問タイムに入ります。
「なぜこのラボを作ったんですか?」 「ロボットが事故を起こすことはないんですか?」 など、ラボで見たことを深堀りする質問や、働くことについての質問が、切り口を変えながらたくさん出てきます。「この仕事で、大変なことは何ですか?」との質問に対する矢野さんの答えに、意外な顔をしているのが印象的でした。
矢野さん 「やっていて楽しいので大変と思ったことがないです。新しいことに挑戦できるのでわくわくしながら仕事をしています。物流に携わる人だけでなく多くの人のためになっている、世の中をよくしているという実感もありますね」

感じたことをニュースやSNS風にまとめて振り返り
見学が終わり教室に戻った子どもたちは、さまざまな感想を発表してくれました。「近未来みたいだった」「いつか、たくさんのロボットが働いているのが普通の世界になるのかな」と、自分たちが大人になったときを想像したようです。
見学の振り返りとして、5年生はウェブニュース風に、6年生はSNS風に作られたテンプレートを基に、好きな写真を配置してまとめていきました。


どんな制作物ができあがったのでしょうか? 特別に見せてもらいました!
5年生
6年生
体験することに貪欲な子どもたちにホンモノを見せてあげたい
今回の社会科見学は、新たな校外学習先を探していた現代産業科学館の方から、ラボの矢野さんへ打診があったことにより実現しました。今回の企画について、現代産業科学館の竹本さん(5年生を担当)と中馬さん(6年生を担当)と、矢野さんに話を伺いました。
ラボを見学した生徒さんたちの反応を見て、どんな印象でしたか?
竹本さん 「今より少し先の世界を見た感覚があったようで、技術的なことだけでなく、情報がより重要な世の中になっているとか、働く場所や仕事内容が変わっているとか、どんどんイメージを膨らませていましたね」
中馬さん 「6年生は、職場見学の視点で企業を訪問したのは初めてでした。働くことについて質問した際の矢野さんの回答はとても印象が強かったみたいです。子どもにとっては親と先生が身近な大人ですから、違う立場の人の話は新鮮なんですね」
矢野さん 「今日は貴重なおもしろい経験になったと、率直に感じました。子どもたちからは良い反応をもらえてよかったです。物流ソリューションのことを知ってもらうだけでなく、働くっておもしろいことなんだと感じてもらえたらうれしいです」
見学成果をニュースやSNSの形式でまとめることにしたのはなぜですか?
中馬さん 「学校へ今回の企画を打診した際、楽しく振り返りができるようにしたいとリクエストがありました。何かしら形にしたい思いがあり、短時間で仕上げられるよう工夫した結果です。子どもたちにとっても身近ですし、短い文章と写真で伝える形式がぴったりでした」
矢野さん 「全て読ませてもらいました。大人とは違う視点を持っているので面白いですよね。頑張って作り上げてくれた成果物は大事に活用させていただきます。ラボ内に展示して、大人と違う視点に触れてもらうきっかけにしたいと思っています」
今回のような学童・生徒などの見学会について、今後も取り組んでいくのでしょうか?
竹本さん 「今年の4月から法律が変わり、現代産業科学館を始めとする博物館は、これまで以上に地域との結び付きを深める役割を求められるようになります。体験の機会を提供できるよう、地域の施設と一緒に引き続き取り組んでいきたいです」
矢野さん 「通常は法人のお客さまに向けて見学会をしていますが、今回お話をいただいて、まずはチャレンジしてみようと思って取り組みました。事業会社としての役割を果たしながら、Pepper社会貢献プログラムとは別の形で、社会へどう貢献していけるか、社内で真剣に議論していければと思っています」
ありがとうございました。
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(掲載日:2023年3月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部