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次世代社会インフラの構築に向け、「Beyond Carrier」戦略で事業基盤の再構築へ -ソフトバンク株式会社 2023年3月期 決算説明会レポート

2023年5月10日、ソフトバンク株式会社の2023年3月期 決算説明会が開催され、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一が連結業績および2020年8月に発表した中期経営目標の総括に加え、長期ビジョンと2025年度までの中期経営計画について説明しました。

目次

売上高、利益、純利益の全ての目標を達成

2023年3月期の売上⾼は前年比4%増の5兆9,120億円で、全セグメントで増収。営業利益は1兆602億円で、前年比10%の増益となりました。

売上高 セグメント別

営業利益 セグメント別

売上高と営業利益ともに、2022年11月発表の上方修正した予想を上回って着地したと説明しました。

2022年度 連結業績

続けて、2020年8月に発表した中期経営目標の総括として、通信料の値下げで事業環境が大幅に変化するもPayPayの再測定益などが寄与し、売上高、営業利益、純利益の全てで目標を達成したと述べました。また、2022年度の1株当たりの配当金は86円と予想していましたが、減配せず安定的な株主還元を実施できたと総括しました。

中期経営目標

長期ビジョンの実現に向けて、事業基盤を再構築

長期ビジョンの実現に向け、事業基盤を再構築

このたびの決算説明会では長期ビジョンについても言及し、「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」になるため、3つのフェーズで実現していくと説明しました。

長期ビジョン・中期経営計画の位置付け

長期ビジョン実現に向けたロードマップ

「AIの加速度的な進化により、急増するデータ処理やデータ処理に必要な電力の需要に対応できる次世代社会インフラの構築など、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在を目指していきたい」と話し、インフラの構造的課題を解決していく姿勢を示しました。

インフラの構造的課題を根本的に解決

続いて、長期ビジョンの実現に向けた中期経営計画として、事業基盤を再構築すると強調し、3つの目標を掲げました。

中期経営計画(2023〜2025年度)のまとめ

連結純利益を最重要指標とし、2025年度には最高益の5,350億円を目指すと述べました。また、営業利益については通信料値下げ前の水準まで回復させるとし、1株当たりの配当金は86円と高水準の株主還元を維持していくと今後の計画を示しました。

中期経営計画 財務目標

再生可能エネルギーへの取り組みについて、将来的に通信事業に必要な電力の全てを再エネ発電で調達することを目指し、自社使用電力に占める実質再生可能エネルギー比率を2030年度に100%、その半分以上を再生可能エネルギーによる発電にすると目標を設定しました。発電事業者と調達期間が20年間の再生可能エネルギーの調達契約を締結し、通信事業で使用している電力量相当を調達予定と説明。再生可能エネルギーの新規調達により脱炭素社会の実現に貢献するとともに、電気代高騰の影響を受けにくい事業構造への転換を図ると目的を示しました。

実質再生可能エネルギー比率

さらに成長戦略として、「Beyond Carrier」戦略を推進し、通信事業の枠を超えた「DX/ソリューション」「金融」「ヤフー/LINE」「新領域」などの分野で積極的な事業展開を目指すと語りました。

成長戦略(2023年度以降)

2023年度の事業分野別の営業利益予想、および中期経営計画における目標については下記のとおり。

財務目標(3)セグメント別

コンシューマ事業は、通信料値下げの影響からのV字回復を見込み、モバイルサービスの売上は2023年度、営業利益は2022年度を底に反転していくと強調。スマートフォンの累計契約数は順調に純増傾向にあり、2023年度には3,000万件を突破、以降は毎年100万件の純増を継続していくと述べました。さらに、付加価値サービスの拡充による収益の拡大や、5G SA(スタンドアローン)の特長を生かした新サービスの創出にも意欲を示しました。

コンシューマ事業 成長戦略

法人事業は、中堅中小企業を顧客・会員に持つ顧客企業や団体、グループ企業と協業することで、顧客の企業規模に応じたソリューションの提供と、社会課題の解決を目指す新事業の創出によって、さらなる成長を目指します。

法人事業 成長戦略

金融事業については、PayPayがサービス開始から4年半という異例の速さで決済取扱高が10兆円を突破したと述べ、金融サービスや加盟店向け付加価値サービス、決済サービスの3つの軸による多様な収益源でさらなる高成長を期待したいと語りました。また、4月に全社員を対象に一時金5万円をPayPayで支給したことに触れ、デジタル給与払いについて「これから広がる分野として大いに期待している」とコメントしました。

金融事業 「PayPay」今後の取り組み

また、SBペイメントサービスは、営業利益が100億円を突破したと言及し、今後の成長戦略として非通信(当社の通信料金などの決済以外)の決済を伸ばし、2025年度までに決済取扱高を10兆円超を目指すと説明しました。

 「SBペイメントサービス」成長戦略

ヤフー・LINE事業は、攻めと守りの構えで行くと説明しました。ヤフーとLINE、Zホールディングスの再編の完了を10月に予定していると述べ、今後は事業の効率化およびメディア・検索・コマースの再成長への期待を込めました。

ヤフー・LINE事業

「企業価値の最大化に向けて、中長期的な成長を実現させ、2025年度には最高益にすべくグループ企業一丸となって取り組んでまいります」とコメントし、プレゼンテーションを締めくくりました。

代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一

2023年3月期 決算説明会

(掲載日:2023年5月9日、最終更新日:2023年5月11日)
文:ソフトバンクニュース編集部