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光を味方につけてスマホ撮影をレベルアップ! プロが教える自然光を生かした撮影テクニック

光を味方につけてスマホ撮影をレベルアップ! プロが教える自然光を生かした撮影テクニック

気持ちのいい晴れた日のお出掛けは写真に収めて残したいですよね。スマホで手軽にクオリティの高い写真が撮れますが、ちょっと陰って暗くなってしまったり、思ったように鮮やかな景色を撮れなかったり…。でも、光の特性や位置を意識するだけで、写真がぐんとレベルアップしちゃうんです。光を味方にする撮影テクニック、ぜひ覚えて実践してみましょう!

  • この記事で紹介するスマホの操作手順は主に、iPhoneでの一般的な操作です。機種によって異なる場合があります。作例の多くは、iPhone 14 ProMaxを使用して撮影しています。

大野 咲子(おおの・さきこ)さん

フォトグラファー 大野 咲子(おおの・さきこ)さん

株式会社アマナフォトグラフィ所属。料理を作る人や食べる人の気配や息遣いを感じさせる、温かさやリアルさのある撮影を得意とする。シズル撮影の技術に裏打ちされた高い表現力は、自然なビジュアルでありながら食がもたらす “何か” を印象深く伝え、見る側の心にすっと溶け込む。またアマチュアからセミプロに向けてフード撮影についての記事を『Profoto Japan』で連載するなど、現場で培ってきた撮影のテクニックを分かりやすく伝える執筆や撮影講座を多数開催。

目次

写真を撮る前にまず知っておきたい、光と被写体の関係

カメラは明るい光がないと撮影ができません。真っ暗な部屋で撮影をしても真っ暗な画面しか撮影できませんよね。まずは、「撮影したいもの(被写体)にどんな光が当たっているか」を知ることが上手な写真を撮影する第一歩です。

被写体にどの向きから光が当たっているかで、印象や表情が変わります。どんな光の向きがあるのか、撮影例をもとに、被写体とカメラそして光の方向の関係を見てみましょう。

順光

順光

カメラの後ろ側に光源があり、正面から被写体に光が当たる場合。まっすぐ光が入るので、被写体をくっきり色鮮やかに表現できます。全体的に光が当たるため凹凸や奥行き、影が出にくい。景色や屋外での人物撮影に向いている。

サイド光

サイド光

被写体の左または右側の側面から光が当たる場合。被写体の横から光が当たるので凹凸に合わせて影ができやすく、立体感を表現できる。料理の撮影や、影を生かしたい撮影のときに向いている。

半逆光

半逆光

被写体の左または右奥から光が当たる場合。サイド光より暗くなる部分が増え、反射する部分にハイライトが入る。ツヤ感などが表現できる一方、前面が暗くつぶれやすい。手前が暗くなりすぎる場合はレフ板(白い布・紙などでも代用OK)を使い、光を反射させ明るくするテクニックを利用しても。立体感を出したい、奥行きのある撮影をしたいときに向いている。

逆光

逆光

被写体の後ろ側から、カメラに向かって光が当たる場合。背後から光が当たるため被写体の前面は暗くなる。扱いは難しいが、上手に使うとドラマティックな印象の写真にすることができる。影を生かしたポートレートや風景写真撮影に向いている。

トップ光

トップ光

被写体の真上から光が当たる場合。被写体全体に光が当たるため均等に見える。影はあまり出ず、色もきれいに出やすいのが特徴。色を鮮やかに撮影したい植物や風景撮影などに向いている。

この5つが、まず覚えておきたい光の特徴です。「こんな写真を撮ってみたい!」というイメージが湧いた方もいるのではないでしょうか。早速、実際にこれらの光を生かした撮影に出掛けてみましょう。

【屋内で実践したい撮影テクニック】自然光でシズル感たっぷりの「おいしそう♡」な映え写真に

【カフェで実践したい撮影テクニック】自然光でシズル感たっぷりの「おいしそう♡」な映え写真をマスター

お出掛けしたら、よく撮影するのはカフェやレストランのおいしく見栄えも美しい料理やスイーツではないでしょうか。料理写真でも光はとても重要。自然光で撮影することで生き生きと新鮮に撮影をすることができます。

料理は自然光を生かすとおいしそうに撮影ができますよ。ポイントは窓からの光を利用すること。カフェやレストランなど、お店の照明は基本的に上からの光なので「トップ光」気味になります。窓際は横からの光が入るので、それを利用して自分好みの撮影をしてみるのがおススメです。でも、光の位置を選べない席になることもありますよね。そういう場合のテクニックもお伝えします。

ポイント➀ まずは基本の「き」。料理の撮影なら「サイド光」&「半逆光」が間違いない

料理の立体感を出したり、ツヤ感を出したりするためには光の陰影がくっきりと出やすい「サイド光」から「半逆光」の光の位置になるように被写体を置いて撮影をするといいですよ。そのためには、お店では窓際の席を選んで撮影をするとベター。

サイドから光が入る、窓際の席が料理写真撮影のベストポジション♪

サイドから光が入る、窓際の席が料理写真撮影のベストポジション♪

撮影の際、注意してほしいのは「順光」だとハイライトが入らず、料理のツヤが出ないということ。窓の近くに料理を置き、光の入る位置を必ず「サイド光」から「半逆光」にすること。それから、光がきれいに当たる角度や距離を確認しながら撮影してみてください。

「半逆光」で撮影するとプレートに光が入り、印象的な仕上がりに

「半逆光」で撮影するとプレートに光が入り、印象的な仕上がりに

「サイド光」から「半逆光」の角度をどれくらいにするかはお好みで。「半逆光」で撮影するとドリンクや氷の透明感、ツヤ感がよく出る一方、手前が暗くなりすぎるという場合も。そんなときは、ナプキンや紙など白いものを使ってレフ効果を試してみるのもおススメです。窓(光)の反対側に白いものを立てて光を返すだけで、写真の手前側が明るくなります。

ポイント➀ まずは基本の「き」。料理の撮影なら「サイド光」&「半逆光」が間違いない

プレートに影が強く出すぎていたものがレフ効果によって明るくきれいな色味に

プレートに影が強く出すぎていたものがレフ効果によって明るくきれいな色味に

ポイント② ドリンクの清涼感をきれいに撮るなら「逆光」にトライ

料理撮影には難しいと思われる「逆光」を使って、被写体によっては印象的な写真にすることができますよ。

「逆光」でカラフルな炭酸ドリンクを撮影。水面の光もきれいに写る

「逆光」でカラフルな炭酸ドリンクを撮影。水面の光もきれいに写る

「逆光」は取り扱いが難しい光ですが、被写体の奥から光が当たるようにすると、透けるものなどは特に印象的に仕上がるのでぜひトライを。露出を明るめにすることで、影もドラマティックに出ますよ。「半逆光」でもそれなりに印象的な雰囲気に仕上がりますが、液面のツヤ感やグラスの底の反射、炭酸の泡がキラキラと光る感じは「逆光」でないと出せないものです。

ポイント② ドリンクの清涼感をきれいに撮るなら「逆光」にトライ

こちらが「サイド光」での撮影。「逆光」ほど氷や水面のキラキラ感が出ていません。透明感のあるドリンクやゼリーなどのスイーツ、ガラスの器などでぜひ試してみてください。

ポイント③ おしゃれに撮影したいなら「順光」で真上から!

全体に均一に光が当たり、陰影が出ないため料理撮影には向かない「順光」のときは、真上から料理を撮影する構図がおススメ。

サラダなどプレートのものだけでなく、丼なども様になる。

サラダなどプレートのものだけでなく、丼なども様になる

上からのアングルは、料理をグラフィカルに撮影することができます。ポイントは、自分の影が入らないようカメラをお皿の真上に持ってきて撮影すること。

他にも、お皿をあえて2枚入れたり、カトラリーを入れるなどスタイリングすると、写真に動きが出てかっこよく撮影できますよ。お皿の端をわざとはみ出すように置くのもいいですね。その場合、光が来ている方向の逆側を切るのがコツ。そうすることで画面が明るくポジティブな印象になります。ただし、高さのあるメニューは真上からのアングルに向いてないので注意。例えばパフェのような背の高いものは、影が出てしまうため向いていません。高さのない平面的なものでトライしてみましょう。

飲み物やカトラリーを入れて動きを出したカット。あえてお皿を全部入れないことで画面のバランスを取っている

飲み物やカトラリーを入れて動きを出したカット。あえてお皿を全部入れないことで画面のバランスを取っている

ポイント④ 自然光が入らない席でも大丈夫。ひと工夫ですてきな写真にアレンジ

ここまで、自然光を生かしたカフェやレストランの窓近くの席での撮影方法を紹介してきましたが、お店によっては日中でも自然光が入らない席があることも…。そういう場合の工夫の仕方をご紹介します。

そのままの明るさで撮影したもの

そのままの明るさで撮影したもの

露出を上げて撮影したもの

露出を上げて撮影したもの

そのままの明るさで撮影したもの/露出を上げて撮影したもの

そのままの明るさで撮影したもの/露出を上げて撮影したもの

まず試してほしいのは露出補正の機能。料理は人物や動物などと違って動かないので、露出を上げて撮影をするのにも向いています。これだけで、かなり明るく撮影をすることができるはず。露出を上げて撮影しておくと、後からの調整もしやすくなるのでおススメです。

画面をタップしスライドすると露出の調整ができる

画面をタップしスライドすると露出の調整ができる

もっと映える写真にしたいなら、撮影してから編集機能で細かな調整(レタッチ)をしてみるのもおススメです。

「明るさ」で全体の明るさを上げてから、「ブリリアンス」で暗い部分の明るさをさらにアップ

「明るさ」で全体の明るさを上げてから、「ブリリアンス」で暗い部分の明るさをさらにアップ

露出や明るさなどを調整して、自然光の下で撮影したような仕上がりにもできる

露出や明るさなどを調整して、自然光の下で撮影したような仕上がりにもできる

Androidで加工する場合

「フォト」のアプリから加工したい写真を選択し、「編集」から明るさやコントラストなど細かく調整ができます。また、ワンタッチでバランスよく調整してくれる「補正」もおススメ。

Androidスマホで加工する場合

Google Pixel 7 の操作手順

  • お手持ちのスマホによっては操作手順が異なる場合があります。

スマホの編集機能を使い、「ブリリアンス」で暗部を持ち上げ、さらに「シャドウ」で暗い部分を明るくするなど、自分で好みのレタッチをしてみるといいですよ。まるで自然光で撮影したような仕上がりに。レタッチの加減が難しい場合は、露出を上げて撮影した写真に好みのフィルターをかけるだけでも印象が変わります。

次は外に出て、光を効果的に使った風景写真や人物撮影にチャレンジしてみましょう。

【屋外で実践したい撮影テクニック】時間帯ごとの光の変化を使いこなしてワンランクアップ

【屋外で実践したい撮影テクニック】時間帯ごとの光の変化を使いこなしてワンランクアップ

屋外での撮影は、時間帯によって光の入る位置が変わっていくことに注意。明るい日差しだけでなく、太陽の光によって生まれる木や葉の影、夕方の沈む太陽の光など、いろんな光の撮影を楽しんでみましょう。

ポイント⑤ 記念写真なら「順光」で。おススメはこの時間帯!

太陽がさんさんと輝いていたら、人物のポートレート撮影に向いている… と思いきや、実は光の位置や時間帯選びが重要なんです。

「逆光」だと顔に影が落ちてしまうが、「順光」で撮影すると顔が明るくなる

「逆光」だと顔に影が落ちてしまうが、「順光」で撮影すると顔が明るくなる

人物を撮影するとき、大事なのはもちろん被写体の表情。表情が明るく写る「順光」から「サイド光」となる時間帯で撮影するのがベスト。人物撮影をするなら、午前中か14時以降がおススメです。

顔が暗くなる「逆光」や、真上から光が当たる「トップ光」になる11〜13時の時間帯は人物撮影には向きません。帽子などをかぶっていると顔に影が落ちてしまったり、おでこがテカってしまうことも。ただし、曇りの日なら光が強くないので昼間の時間帯でもきれいに撮影できます。また、晴れた昼間に撮影するときは「順光」を意識して撮影者が太陽を背にして撮影するようにしましょう。

ポイント⑥ 色鮮やかな風景写真を撮るなら、「サイド光」&「順光」でコントラストを意識

光があるところには影もできる… その場の空気感を切り取りたいなら、光だけでなく “影” を印象的に撮影することを意識してみましょう。

手前にわざと木漏れ日を入れるとより印象的なシーンになる

手前にわざと木漏れ日を入れるとより印象的なシーンになる

チューリップの背景に木漏れ日が落ちていることで雰囲気が出る
チューリップの背景に木漏れ日が落ちていることで雰囲気が出る

チューリップの背景に木漏れ日が落ちていることで雰囲気が出る

木漏れ日があると写真の印象が変わります。光が差してくる方向や、影の伸びる向きを意識してみましょう。夕方になると影が落ちすぎて暗くなってしまうので、撮影は昼間の時間帯がいいですね。影が長く伸びる「サイド光」を使って雰囲気のある写真が撮れますよ。光と影の対比を撮影したいなら、太陽の角度が高い時間を選んで。

ちなみに、空の青や木々の緑、鮮やかな色合いの花々を撮影したいときは「順光」がおススメ。日が高い時間帯に撮影すると、背の高い木やビルの影など余計なものが写りこまず、すてきな風景写真に仕上がりますよ。

「順光」で撮影した風景。太陽の角度が高い時間なら影が出ず色鮮やかに

「順光」で撮影した風景。太陽の角度が高い時間なら影が出ず色鮮やかに

ポイント⑦ ドラマティックなシーンを撮るならあえて「逆光」を狙う

逆光で撮影の後、調整を加えることで美しい夕景に

印象的な撮影をするなら、夕方や朝焼けなど太陽が傾いている時間帯を狙い、あえて太陽に向かって「逆光」で撮影してみましょう。被写体の輪郭が浮き立ち、ドラマティックな写真になりますよ。

また、ポイント②でもお話ししたように「逆光」は透明感のあるものを撮影するのに向いています。例えば、薄い花びらや葉っぱなど透けた感じを生かせる素材があれば「逆光」から「半逆光」で撮影にチャレンジしてみましょう。

「半逆光」で撮影することで、チューリップの花びらが透けて生き生きと鮮やかになる

「半逆光」で撮影することで、チューリップの花びらが透けて生き生きと鮮やかになる

撮影したものの、暗すぎてあまりうまく表現できなかった… というときは編集機能やフィルターを利用するのもおススメです。

「シャドウ」で暗い部分を調整し、フィルターで「ビビット」(暖かい)をセレクト

「シャドウ」で暗い部分を調整し、フィルターで「ビビット」(暖かい)をセレクト

左が「逆光」で露出を上げて撮影したもの。右はその後、フィルターと調整を加えて完成させたもの
左が「逆光」で露出を上げて撮影したもの。右はその後、フィルターと調整を加えて完成させたもの

左が「逆光」で露出を上げて撮影したもの。右はその後、フィルターと調整を加えて完成させたもの

上が「逆光」で露出を上げて撮影したもの。下はその後、フィルターと調整を加えて完成したもの

Androidで加工する場合

「フォト」のアプリから加工したい写真を選択し、「編集」から明るさやシャドウなどを調整し、「フィルタ」で好みの雰囲気に加工できます。

Androidスマホで加工する場合

Google Pixel 7 の操作手順

  • お手持ちのスマホによっては操作手順が異なる場合があります。

今回、撮影には iPhone 14 Pro Max を使用しました。自分で露出補正しなくても、撮影しながら自動で明るさを調整してくれて、そのままでも完成度が高かったですね。でも場所によっては暗くなりすぎたり、逆に明るいところが白く飛んでしまうことも。そういうときは、撮影後に調整機能やフィルターを使って自分の好みに合わせてみてください。「逆光」撮影のポイントはやはり明るめに撮影をすること。明るめに撮っておくと、後で調整をするときもスムーズです。

光の位置と被写体の関係を理解するだけで、写真のテクニックがぐんとアップ。ぜひ、お出掛けのときには自然光を生かした撮影テクニックにチャレンジしてみてくださいね!

(掲載日:2023年5月12日)
文:梅原加奈
写真:大野咲子
編集:株式会社アマナ

ハイスペックなカメラを搭載した機種が充実! 光を生かした魅力的な写真を撮影してみませんか?

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お出掛けすると、景色を鮮やかに撮影したり、友人とのひとときを残したくなりますね。カメラの性能にこだわったさまざまな端末から、自分にピッタリのものを選んでくださいね。

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