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日建設計とソフトバンクが「スマートビル」の構築で連携。人と建築と都市をデータでつなぎ、社会課題の解決へ

10月25日、株式会社日建設計(以下「日建設計」)とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、データを活用して自律的に進化し続けるスマートビルの構築に向け、SynapSpark株式会社(以下「SynapSpark」)を12月1日付けで設立することを発表しました。同日開催された記者会見の模様や新会社の事業について紹介します。

脱炭素の実現にはデジタル技術と建築技術の知見が不可欠

冒頭、日建設計 代表取締役社長 社長執行役員の大松敦氏は、「近年の最大の社会課題は『脱炭素』であり、日建設計がこれまでに設計した建物からのCO2排出量は国内排出量の1%を超えている。設計する立場として強い責任感がある」と述べました。

日建設計大松敦氏

新規に設計する建物については、積極的に脱炭素に取り組んでいるとし、日本の公立学校で初めてZEBを達成した事例を紹介しました。「これから新築する建物はもちろん、すでに建設済みの建物についても省エネルギー化、長寿命化が重要。ZEB Orientedな状態にするために、ビル設備とシステムの連携が必須」との認識を示しました。

  • ZEB(Net Zero Energy Building):省エネや創エネによって年間のエネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることを目指した建物のこと

日建設計説明スライド

「ビル内の設備は、現状それぞれが個別最適化されているが、ビルOSが加わることでビル内の設備が連携して、ビルの運転データの蓄積や分析をすることで、運転の全体最適化が図れる。加えて、ビル専用のアプリケーションを提供することで、ビルで働く人たちの利便性・快適性・安全性の向上の他、脱炭素への行動変容の加速にもつながる。これがスマートビルの使命と考えているが、建設業界には情報通信やデジタル技術の知見を持つ人材が不足している。長年の課題をソフトバンクと連携することで解決していく」と、SynapSparkに両社の知見を集めて、スマートビルの取り組みを加速したいとコメントしました。

日建設計説明スライド

Autonomousビルの実現から、将来的なスマートシティの構築へ

ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一は、「あらゆる産業で人に指示されなくてもAIが自律的に機能するAI時代の到来を迎え、ビルにAIを搭載した『Autonomousビル』を作りたいと思い実験をしてきた」とした上で、空調の自律制御やエネルギーの最適化、災害時の最適な避難経路の配信など、Autonomousビルの実現に向けて取り組んできたことを紹介しました。

ソフトバンク宮川潤一

「2020年に入居したソフトバンクの竹芝本社は、ビル全体で1,400個ものIoTセンサーによるセンシングやフルスペックの5Gネットワーク、顔認証での入館などを実装している。一方、設計が終わってから入居を決めた背景もあり、ビル設備のデータやネットワークの構築は、個別最適化されているのが課題」と述べ、データを横連携させ、Autonomousビルを実現するために、設計段階からの反映が不可欠であるとコメントしました。

ソフトバンク説明スライド

「誰よりもビルのことを知り尽くしていて、さらに事業規模や建築士、設計士の数も日本でナンバーワンの日建設計と組む以外には考えられなかった。合弁会社設立は私から依頼した」と設立の経緯を述べました。

ソフトバンク説明スライド

「SynapSparkが事業を開始することで、Autonomousビルの実装を加速させる第一歩が踏み出せる。共通のプロトコルで制御し、ケーブルを集約することで、従来のビルに比べて約15%の消費電力削減を想定」など、Autonomousビルの導入効果を挙げ、ネットワークやセキュリティなどの設計に先行着手しているビルの事例を紹介。「建物だけでなく、街全体の価値を上げ、人々の生活をより豊かにする社会の実現を目指す。データを活用することでスマートビル同士が会話して、最終的にはスマートシティOSを作り上げて行きたい」と将来の展望を話しました。

現代社会に不可欠なインフラである “ビル” の省エネ化や快適性向上を、データ活用を通して実現

SynapSpark 代表取締役社長に就任する沼田周氏からは、新会社の概要や役割について紹介がされました。

沼田周氏

「スマートビルの設計支援と、Autonomousビルに必要なアプリケーション、データ基盤などのサービス提供を行う。新規・既存のどちらのビルにも対応する」とし、既存ビルのAutonomous化の着手についても紹介しました。

SynapSparkスライド

関連プレスリリースなど

(掲載日:2023年10月26日)
文:ソフトバンクニュース編集部