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マイナンバーカードがタクシー利用券に。住民の移動負担を軽減する山形県尾花沢市の取り組み

マイナンバーカードがタクシー利用券に。住民の移動負担を軽減する山形県尾花沢市の取り組み

住民の高齢化や運転免許証の返納が進むことにより、公共交通に頼らないと自宅からの移動自体が難しい人々が増加することが懸念されています。そこで、MONET Technologies株式会社(以下「MONET」)と一般社団法人 ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構(以下「TOPIC」)が協力し、住民が自宅近辺に訪れるMONETの「マルチタスク車両」で、マイナンバーカードを活用したタクシー利用券の電子化の事前利用受け付けや、出張行政サービスを受けられる実証実験が、2023年12月から山形県尾花沢市で行われています。

タクシー利用券の電子化で精算がスムーズに。高齢者の移動をサポート

路線バスの廃止などによる公共交通が不便になり、移動困難な地域が増える中で、行政の対策として住民から要望の多いタクシー利用補助が多くの自治体で実施されています。尾花沢市でも高齢者世帯の増加に伴い、公共交通の利便性向上や交通弱者の移動手段の確保などが求められていることから、移動手段を確保する一つの手だてとして、タクシーの運賃が割引されるタクシー割引券が配布されています。しかし、利用者の要件に応じて数種類用意されているため、タクシー利用時に乗客や運転手が識別しづらかったり、紙で運用しているため利用者の増加に伴って交通事業者や市の職員の事務作業が増えるといった課題があります。

今回実施される実証実験は、高齢者向けのタクシーや福祉タクシーなどを対象とし、車内のデジタル端末にマイナンバーカードをかざすだけで乗客がタクシー割引券を簡単に利用できるようにするものです。これにより、タクシー割引券の利用手続きが簡素化され、利用者の本人確認やタクシー割引券利用時の操作、交通事業者の精算手続きが簡単になるといったメリットが期待できます。マイナンバーカードを利用することで乗車資格の確認やタクシーチケットの回数券の管理ができる仕組みです。

結城裕市長(写真左)がタクシーに乗り込み実際に体験する様子

結城裕市長(写真左)がタクシーに乗り込み実際に体験する様子

役所へ行かずにマルチタスク車両で行政サービスが利用可能

役所へ行かずにマルチタスク車両で行政サービスが利用可能

また、尾花沢市では、タクシー券電子化機器やオンラインによる遠隔相談サービスを受けられる機器などを搭載したMONETのマルチタスク車両1台を導入し、市内全域で移動市役所サービスを提供。電子化されたタクシー割引券を利用するためには、利用者は事前に役所などでマイナンバーカードにタクシー割引券の資格情報や利用回数情報を登録しておく必要がありますが、マルチタスク車両が住民の要望に合わせて自宅周辺に来てくれるため、わざわざ役所に行かずとも利用でき、移動の負担が軽減されます。マルチタスク車両にはモバイルルーターが搭載されているため、簡易WEB会議用の端末を利用して、庁舎にいる職員にオンラインで行政の相談をすることも可能。マイナンバーカードを利用することで本人確認や各種証明書を取得するための申請書の記入も不要です。実証実験は2024年3月末まで実施され、行政サービスの利便性向上と行政DXの推進を両立しながら、住民がいつまでも暮らしやすい町づくりを目指します。

車両にはパソコンが置けるテーブルやプリンタが設置

車両にはパソコンやプリンタを設置

移動市役所サービスで利用するマルチタスク車両

移動市役所サービスで利用するマルチタスク車両

(掲載日:2024年1月22日)
文:ソフトバンクニュース編集部