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ルワンダの子どもに等しく教育を。通信技術で教育の機会を届けるEdTechの試み

ルワンダの子どもに等しい教育を。通信技術で教育の機会を届けるEdTechの取り組み

アフリカの中で「ICT立国」を国家戦略に掲げる「ルワンダ共和国」。その勢いは、なんと紙幣にパソコンの絵が描かれるほど。しかし、依然として4割以上の学校でインターネット接続環境が整っていないほか、先生のスキルや経験不足、教えられる先生の数が少ないなど教育面での課題がたくさんあります。そこで、ルワンダ教育省とソフトバンクが協力して、非地上系ネットワーク(NTN)を活用したEdTechの取り組みが行われています。

スキルを持った先生の数が少ない。ルワンダの地方にいる子どもたちに教育を届ける

アフリカの中央部にあるルワンダの首都・キガリから車で1時間ほどの場所にあるマティヤーゾ学校。ルワンダは1994年に勃発し、約100日間におよび80万人以上が命を落としたルワンダ大虐殺により、教師を含む多くの大人の命が奪われ、ルワンダの教育の質を著しく低下させました。新政府によって急速な再建が行われているものの、教育格差が課題となっています。

通信環境のほか、水道がない、停電が起きやすい、道路も整備されていない村にある学校の屋根の上で、作業をする人々の姿が。

スキルを持った先生の数が少ない。ルワンダの地方にいる子どもたちに教育を届ける

スキルを持った先生の数が少ない。ルワンダの地方にいる子どもたちに教育を届ける

ルワンダを含むアフリカ諸国では、子どもの数が増える一方で教員の数が足りておらず、十分な指導経験や教育のスキルを持った先生が少ないといった課題があります。「このアンテナで既存の衛星通信を受信して学校でインターネットを使えるようにして、子どもたちが学べる環境を整えているんです」と、ソフトバンクのルワンダ教育プロジェクト担当者が現地での取り組みについて教えてくれました。

福井 拓也(ふくい・たくや)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット統括 プロダクト技術本部 グローバル通信事業統括部 NTN戦略部 戦略企画課 担当課長

福井 拓也(ふくい・たくや)

プロジェクトの管理・推進を担当。海外キャリア・OTT向けホールセール営業、ソフトバンクのニューヨークオフィス駐在など、25年以上グローバルビジネスに携わる。

田口 亨(たぐち・とおる)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット統括 プロダクト技術本部 グローバル通信事業統括部 NTN戦略部 戦略企画課

田口 亨(たぐち・とおる)

PMOとしてプロジェクトの推進を担当。学生時代のタンザニア留学経験/井戸掘削(くっさく)技術支援プロジェクトの現地インターンシップからアフリカのビジネスに関わりたいという思いがあった。

梅原 悠季(うめはら・ゆうき)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット統括 プロダクト技術本部 グローバル通信事業統括部 NTN戦略部 戦略企画課

梅原 悠季(うめはら・ゆうき)

2023年10月からプロジェクトに参加。入社3年目。学生時代、ウガンダ共和国で獣医学生として酪農プロジェクトでインターンした経験からアフリカのビジネスに関わりたいという思いがあった。

シラバス作成認定資格を持つ先生の授業を受けられるように

梅原 「郊外や田舎エリアの学校で顕著な教員不足や教員の経験・スキル不足を解消するために活用されるのは、ソフトバンクグループ株式会社のグループ企業であるサイバー大学が提供する『Cloud Campus(クラウドキャンパス)』というeラーニングプラットフォームです。クラウドキャンパスはコンテンツの作成から学習履歴まで一括管理が可能で、ルワンダで教育シラバス作成認定を受けている私立高校の先生の協力の下、一からコンテンツを作成しています。

各学校にはタブレット端末を3台導入し、先生たちは事前にダウンロードしたデジタル教材を使って数学や物理、英語、コンピューターといった科目を教えています」

シラバス作成認定資格を持つ先生の授業を受けられるように

田口 「導入した高校の先生たちは、インターネット上の動画や画像を授業で活用していきたいと喜んで話していました。生徒からも授業が分かりやすくなったといった感想があり、より集中して授業に臨めているようで、現在国内20の学校で導入されています」

学校に導入された衛星通信サービスのモデム機器

学校に導入された衛星通信サービスのモデム機器

Wi-Fiのアクセスポイント

Wi-Fiのアクセスポイント

田口 「ルワンダには、過去に衛星アンテナを設置しインターネットが使えるようになったものの、継続して利用されずに設備だけが残されている学校がたくさん存在しています。私たちは持続可能性にこだわり、現地のパートナーや学校の先生だけで運用できるように、タブレット端末やクラウドキャンパスの使い方をレクチャーしたり、現地のパートナーと定期的に電話や現地訪問などでサポートを行っています。先生にとっても、生徒にとっても使いやすく意味のあるものになるように日々現場の声に耳を傾けています」

シラバス作成認定資格を持つ先生の授業を受けられるように

学校に衛星アンテナを設置。インターネットの先にある目的を忘れずに

福井 「情報格差が原因で、経済格差や教育格差が生まれてしまう地域に住む子どもたちに、平等な教育の機会を提供するため、衛星通信を使ってインターネットや教育コンテンツ、現地サポートを一括で提供しています」

屋根の上に設置したアンテナで、36,000km先にある衛星通信の捕捉(ほそく)を行います

屋根の上に設置したアンテナで、36,000km先にある衛星通信の捕捉(ほそく)を行います

福井 「36,000km先にあるGEO(Geostationary Orbit)衛星を捕捉するには、豊富な経験が必要です。わずかなアンテナの向きの違いで捕捉できないため、作業が思うように進まないこともあり、声掛けをしながら現場メンバーのモチベーションを上げるようにしていました」

衛星アンテナの設置作業中、現地のパートナーに声をかける福井さん

衛星アンテナの設置作業中、現地のパートナーに声をかける福井さん

田口 「高校生に将来の夢を聞いたときに、電気もお金もないし、将来何もすることがない、と言われてこの環境を変えたいと思いました。ソフトバンクとしてビジネスを通して、教育はもちろん、彼らが自分自身の夢をみて、その夢に対して努力ができる世界を提供したいという思いが強まりました。

デジタル機器の導入が、先生の仕事を奪うものではなく、ルワンダの教育をよりよくしていくものであることを丁寧に説明し理解してもらい、先生たちと一緒に進めていくことが大事だと思っています」

現地の子どもたちと交流する田口さん

現地の子どもたちと交流する田口さん

梅原 「私たちは通信技術を使って、全ての子供たちに平等な質の高い教育を届けることで、アフリカの国々が成長していくきっかけになればと思いEdTechに取り組んでいます。ソフトバンクとして初めてアフリカで取り組むプロジェクトを成功させ、1つの成功事例としてルワンダ教育省と現地の学校と連携しながら今後アフリカ全体に広げていきたいです」

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(掲載日:2024年1月19日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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