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試合と連動したスマホ演出でもっと楽しく! 新たなスポーツ観戦を「TSUKUBA LIVE!」 で体験

野球やサッカー、バスケットボールなどプロスポーツの会場では、大型ビジョンなどを使って試合や会場の雰囲気を盛り上げる華やかな演出が行われていますよね。プロの試合や国内外の大きな大会などでよく見かけるそういった演出も、アマチュアや学生スポーツの試合では、なかなか見かけることはないかもしれません。

筑波大学が主催するホームゲームイベント「TSUKUBA LIVE!」にソフトバンクが協力し、観客のスマホ画面を通して試合観戦を楽しめるリアルタイムインタラクション活用の試みが行われました。 どのような取り組みか、イベントを主催した筑波大学とソフトバンクの担当者に話を聞きました。

筑波大学体育スポーツ局 スポーツアドミニストレーター

髙木 七実(たかぎ・ななみ)さん

筑波大学体育専門学群を卒業後、一般社団法人日本ハンドボールリーグを経て、2023年12月よりスポーツアドミニストレーターとして「TSUKUBA LIVE!」の企画運営などに従事。

ソフトバンク株式会社 サービス企画本部 コンテンツ推進統括部

森 香菜子(もり・かなこ)

カスタマーサポート企画を経て、VR・NFTなどのWebサービス開発や、無人自動追尾カメラやチャット関連のAI技術やインタラクションプラットフォームなどのPoCを担当

観客のスマホ表示を一斉に切り替えて試合観戦をサポート

「TSUKUBA LIVE!」とはどのようなイベントなのでしょうか?

「TSUKUBA LIVE!」は、筑波大学が主催するスポーツのホームゲームイベントです。「大学スポーツの可能性を広げ、スポーツで交流と興奮、文化を創る」というビジョンの下に開催していて、学生や地域の方が集い、大学スポーツの面白さや可能性を示す場所を目指しています。

会場で開催されているイベントに、スマホを使った演出を新たに取り入れたのはなぜでしょうか?

プロのスポーツ会場では、大きいビジョンで選手の情報や表情のアップの映像を見ることができますが、大学など学生スポーツの試合では、そのような設備は予算などの問題がありなかなか実現が難しいんです。「TSUKUBA LIVE!」では、毎試合演出や企画に新しいことを取り入れるようにしていますが、学生と話し合う中で皆さんが持っているスマホを使って演出できないか、と考えてリアルタイムインタラクションによる演出にチャレンジすることになりました。

「リアルタイムインタラクション」とはどのような技術ですか?

普段皆さんが、スマホの通信を通してデータを送受信したり、動画を見たりする際、実は気づかないレベルで送られてきたデータがスマホの画面に表示されるまでに数秒の遅延が起きています。リアルタイムインタラクションは遅延によるタイムラグを限りなく短縮して、複数台のスマホに一斉に指示を送ることで、ズレなく画面表示を変更できるほか、スマホを振る、スワイプする、タップするなどスマホで行われた操作をリアルタイムに集計して演出装置などと連携することができます。

その仕組みを利用して、今回は観客のスマホ画面に一斉に画像を表示させたり、画面の色を変化させたりすることで、試合観戦をサポートしたり演出として活用する取り組みを行いました。

スマホを使うことでどのような観戦ができるのか、実際に試合会場でリアルタイムインタラクションによる演出を体験してきました。

大学バスケ伝統の一戦でリアルタイムインタラクションを体験

今回「TSUKUBA LIVE!」で行われたのは、大学バスケットボールリーグ伝統の一戦、筑波大学 対 東海大学の試合。大学リーグ上位常連の強豪チーム同士の試合とあって、雨模様にも関わらず、多くの観客が来場し、開場前には長い行列が。受付やブースの展示などでは、運営スタッフとしてたくさんの筑波大学生の姿が見られました。

早速受付で渡された冊子のQRコードを読み込むと、スマホの画面に「TSUKUBA LIVE!」の画面が表示されます。Web画面で表示されるので、このためにアプリなどをインストールする必要はありません。

いよいよ選手入場。筑波大学バスケットボールチームの選手が一人一人呼び出されると、スマホ画面には、選手の写真が表示されます。客席から選手の顔を識別しづらい広い会場では、選手の名前や顔を手元のスマホで確認できるのは便利ですね。

試合中も、筑波大学体育スポーツ局マスコットキャラクターコズミくんが表示されたり、ゴールを決めた選手の写真が表示されるなど、展開の早いバスケットボールの試合の中で活躍した選手にスポットを当てる演出も行われていました。

また、観客の歓声の大きさに合わせてスマホ画面の色が変化するなど、視覚的に会場の盛り上がりを体感する企画も用意されていました。

歓声が大きくなると画面の色が明るく変化

エンタメを取り入れ、スポーツの試合を地域の人や学生が集える場所に

イベントを終えたお二人に改めて取り組みの狙いや感想をお伺いしました。

なぜ筑波大学とこのような取り組みを実施することになったのでしょうか?

筑波大学とソフトバンクは「日本の学校スポーツ改革」に関する連携協定を締結しています。スマホ動画を利用してスポーツのスキル向上を促進する「AIスマートコーチ」のトレーニング動画を筑波大学に監修いただいているほか、学校スポーツをより良くしていくためさまざまなテーマで相談をしています。その中でリアルタイムインタラクションをご紹介し採用いただくことになりました。

インタラクションプラットフォームを活用してみて感想はいかがでしょうか?

今回インタラクションプラットフォームを取り入れてみて、学生からは「プロの試合でも見たことがなかった!」という感想も聞こえてくるなど、楽しんでもらえたようです。

また、サステナブルな観点でも、せっかく買っても試合が終わってしまうと使わなくなってしまいがちな応援グッズやペンライトを、すでに持っているスマホを使って楽しめるサステナブルな応援方法として有効だと感じました。

スポーツ観戦のほかに、どのようなシーンで活用が可能なのでしょうか。

スポーツや音楽ライブ、舞台などリアルのイベント以外にも、スマホで視聴するオンライン配信などエンターテインメント全般での活用が可能です。例えば、最近はオンライン開催の音楽ライブなども増えてきていると思いますが、視聴者がスマホを振るなどリアクションすることで演者に集計が届いたり、画面上の演出と連動させるなど、リアルのライブでいうコール・アンド・レスポンスに近いことが将来的に実現できると考えています。

2022年にMixalive TOKYOで上映された「講談のおそ松さん」でも、この技術を活用して、観客がスマホ画面上で演目を選んだり、スマホを振るとスクリーン上にエフェクトが表示される演出など観客参加型の上映を実施しました。

おそ松さんの6つ子が講談師に! 観客のスマホ操作で演目が決まる体験型の伝統芸能

今回のような取り組み含め、大学スポーツへのテクノロジーやエンタメの導入について思いをお聞かせください。

最近では、つくば市の方や地元の企業、地域の方などと話す機会も増えてきていて、その中で「TSUKUBA LIVE!」の話題が出ることが多くなってきています。「TSUKUBA LIVE!」のようなスポーツの試合がハブとなり、地域の人や学生が集える場として盛り上げていくためには集客が重要で、どうしたら会場に来てくれるのかを常に模索していますが、やはりその一つとしてエンタメという要素は必要になってくると思います。

今回のイベントにもたくさんの方が来場してくれましたが、地元の人が集まるきっかけとして大学スポーツ、スポーツエンタメには大きな可能性があると思っています。より一層、人が集まれるような場所として成長させていけたらと思います。

(掲載日:2024年4月16日)
文:ソフトバンクニュース編集部
写真提供:筑波大学