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ビルのスマート化が建物の新たな付加価値に|SoftBank SDGs Actions #26

ビルのスマート化が建物に新たな付加価値を生み出す|SoftBank SDGs Actions #26

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsの実現に向けて取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。26回目は、オフィスビルなどのスマート化を通じて、年数を経たビルに新たな価値を生み出す取り組みです。

古澤 真宏(ふるさわ・まさひろ)

話を聞いた人

SynapSpark株式会社 ソリューション企画部

古澤 真宏(ふるさわ・まさひろ)

ソフトバンク株式会社で携帯電話事業のコールセンター企画業務を経て、2019年からデジタルトランスフォーメーション本部にてスマートビルの事業企画を開始。SynapSpark株式会社の設立検討を経て、同社のソリューション企画責任者を務める。

理想的な設備を実現するため、ビルの設計段階から参加

2023年に株式会社日建設計とソフトバンク株式会社が共同で、スマートビル市場のけん引を目的とした新会社SynapSpark株式会社(以下「SynapSpark」)を設立しました。2017年に日建設計との業務提携をスタートし、ビルの運営の省人化や建物の省エネ化など、さまざまなフィールドでの実証を進める形で協業を進めてきました。そうした中、脱炭素に向けた取り組みが加速したり、働き方が多様化したり、自然災害が激甚化するなど、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。

「複雑化した社会課題の解決には、真のスマートビルが必要になる」

新たな課題に応えるべく、SynapSparkが設立されました。

ソフトバンクが2020年に本社を移転した東京都港区の竹芝のビルには、1,400個ものIoTセンサーが取り付けられています。他にもフルスペックの5Gネットワークや顔認証による入館システムが備わっています。しかし、一通り設計が終わった段階で入居を決めたため、せっかくさまざまなデータをIoTセンサーによって取得しても、ビル設備側とデータの連動が難しい点もあり、ビルの運営に100%生かしきれていないという課題があります。SynapSparkでは、新しく建築するビルやリノベーションを予定しているビルの設計段階から深く入り込み、どうすればビルの運営を最適化できるか、検討や実装を行っています。

取得したデータのリアルタイム活用

データを活用して自律的に進化し続けるスマートビル「Autonomous Building(オートノマス ビルディング、以下『スマートビル』)」のコアは、ビルの運営をコントロールするOS、つまり「ビルOS」です。ビルOSを実装し、蓄積されたデータを活用すれば、ビルの運営会社や入居者向けのソリューションが提供できるようになります。例えば、自動で制御できる掃除用ロボットや空調のコントロールなどです。人の密集状況や室温などに合わせて、人のオペレーションを介さずに自動でコントロールできれば、ビルの運営にかかるコストや無駄な電力消費を抑えられますよね。

年数が経過したビルにこそ価値を生み出したい

年数が経過したビルにこそ価値を生み出したい

一般的にオフィスビルやマンションなど、さまざまな建物の価値は、月日の経過に連れて価値が下がっていきます。

建物の劣化には、大きく分けて物理的劣化、機能的劣化、社会的劣化の3つがあります。コンクリート部が脆(もろ)くなる、塗装がはがれるなどの物理的な劣化、エレベーターや防犯システムなどが新築時よりも機能面で使いにくくなってしまう機能的劣化、そして、社会環境の変化に対し、相対的に建物が合わなくなってしまうのが社会的劣化です。

年数が経過したビルにこそ価値を生み出したい

ビルそのものは経年の影響をどうしても受けてしまいますが、実際にはビル劣化の前に、「社会的劣化」により建て替えられることが多いのが実情です。ビルの周辺環境の変化や、入居者、テナントなどのニーズの変化に対して、建物が時代遅れになってしまい、賃料や入居率が下がることが原因とされています。

ビルそのものはまだ安全に使用できる状態であるのに、建て替えがされていく…。単純にもったいないですよね。

ビルの建設には、当然のように、長期間にわたる工事やそれに携わる人的リソースや資材などの費用が必要とされます。近年、建設業における労働力不足は課題になっていて、人材の確保は非常に難しい状況が続いています。加えて、建設の工程では、多くのCO2を排出しますので環境面でもやさしくありません。

では、社会的劣化による建て替えをどうやったら抑えられるのか。スマートビルはその答えの一つです。ビルOSを搭載したビルには多くのデータが蓄積されていきます。データをうまく活用して、ビル全体をアップデートすれば、経年劣化を受けにくくなります。そうすれば、例えば、建設から10年経っても建設当初より価値が高くなる。単純に、駅から近いなどアクセスが良い、設備が新しいといった価値観だけでビルの評価が左右される事態を避けるための肝となるのが、ビルOSであり、スマートビルだと考えています。

ビルマネジメントでのデータ活用

一口に「センサーで人の動きを感知する」といっても、そのデータにはさまざまな活用方法があります。例えば、「お手洗いの使用頻度に応じて清掃の頻度を調整する」「人の移動にあわせて空調を自動でコントロールする」「ゴミ箱からのゴミ回収のサイクルを人の多さによって変える」などです。どれもデータがなければ実現できないことばかりです。

ビル内設備の連動で電力消費量を最適化

ビル管理業務の省人化や利便性向上を実現

IoTのセンサーを取り付けてビルOSを導入することだけが、スマートビルのゴールではありません。入居者やワーカー、運営に携わる人、それぞれの立場で、本当の意味で利用しやすいビルにすることが本当のゴールだと思います。例えば、空調管理のシステムなどを操作する人が、使っていて面倒と感じてしまうのであれば、長く使ってもらうことにつながりません。使う人が幸せを感じられるような仕組みやシステムを目指すとともに、この仕事を通じて、労働力不足やCO2排出量の削減などにも貢献していきたいと思います。

(掲載日:2024年5月20日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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今回紹介した内容は、「DXによる社会・産業の構築」に貢献することで、SDGsの目標「1、2、3、8、9、11、17」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。

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