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世界に最も必要な会社となるために。「AI共存社会」に向けたソフトバンクのESG戦略

2024年2月26日、ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、同社のESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みに関する理解を深めてもらうことを目的として、ESG説明会を開催しました。

「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」の両立に向け次世代社会インフラを構築

「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」の両立に向け次世代社会インフラを構築

冒頭、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一は、ソフトバンクにおけるESG経営の考え方として、「情報革命を通じて人々を幸せに」という経営理念と「世界で最も必要とされる会社になる」というビジョンがあり、事業を通じて持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立を目指していると説明。そのためには、昨年5月に発表した長期ビジョン「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する会社になること」と強調しました。

「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」の両立に向け次世代社会インフラを構築

長期ビジョンの背景には「AI共存社会への準備」があるとし、秒単位で進化するAIにより「人類の生活は、おそらく今まで経験したことのない世界へと大きく変わる」と考えを述べました。今後訪れるAI共存社会では、膨大なデータの生成・処理が必要となるにつれAIを動かすために必要な電力も膨大になることから、AIで増えたデータ処理の需要増加と地球温暖化対策を両立できるインフラ構築が必要だと説明。

さらに日本国内では、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルが北海道や東北、九州などの地方に分散している一方で、データ処理が東京と大阪に集中しています。地方で発電して都市部に送るにも、送電網の容量がボトルネックとなっていて、次世代を支えるインフラとしては大きな課題を抱えていると指摘。これに対し、昨年発表したデータセンター「Core Brain」を例に挙げ、都市部に集中しているデータセンターを、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルが高い北海道や九州など各地域に分散して配置していく構想を紹介しました。

「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」の両立に向け次世代社会インフラを構築

また一方で、AI共存社会になることにより、ディープフェイクや自動運転車の事故、個人情報の流出などの新たに発生しうるリスクについても、先回りして備える必要があると説明。これまでの取り組みとして、「Beyond AI 研究推進機構」での東京大学とのAI倫理の研究や、その担当教授チームの支援により、社内やグループ企業でAI倫理ポリシーや規程・ガイドライン、教育コンテンツの作成などを行ってきたこと、AIコンテストなどを通じて全社員が積極的にAIを活用していることを紹介しました。さらにAIガバナンスの推進強化のため、2024年4月に外部有識者も入れた「AIガバナンス委員会」を設立することを発表。外部の有識者からの知見共有をはじめ、さまざまな意見を聞きながら、進化し続けるAIガバナンスを構築し経営のリスクに備えていきたいと説明しました。

「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」の両立に向け次世代社会インフラを構築

ESG推進のカギは “社員”。ネットゼロに向け着実に前進

ESG推進のカギは “社員”。ネットゼロに向け着実に前進

続いて、ESG推進室 室長 兼 CSR本部 本部長 池田昌人が、ESG戦略と環境対応の推進について説明しました。

はじめに池田は、ESG戦略の中核にあるマテリアリティ(重要課題)について、「ソフトバンクの経営理念と成長戦略をつなぐ羅針盤として、事業を通じた社会課題解決、企業活動を通じた社会課題解決、合わせて6つのマテリアリティを設定している。これらは先ほど宮川より説明した長期ビジョンや中期経営計画とも連動している」と述べ、6つのマテリアリティ策定までのプロセスを紹介しました。

ESG推進のカギは “社員”。ネットゼロに向け着実に前進

また、それぞれのマテリアリティにはKPIが設定されており、その推進には役員だけでなく「社員全員の推進が要」と説明。ESGへの理解に加え、自身の業務がESGや未来を作る仕事に通じていることの理解促進に取り組んだ結果、7割以上の社員がESGを自分ごと化できるまでになったと明らかにし、今後も全社一丸となってESG経営を推進していきたいと意欲を示しました。

ESG推進のカギは “社員”。ネットゼロに向け着実に前進

エネルギーを通じた事業を展開するソフトバンクには、問題に向き合う責務がある

続いて、環境対応の推進について「ソフトバンクは『気候変動』と『自然資本/資源循環』の2点に注力している。特に、エネルギーを通じた事業を展開するソフトバンクはしっかりとそれに向き合う責務がある」と強調。2030年に自社の事業活動で排出する温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けた「カーボンニュートラル」、2050年にお客さまや取引先などサプライチェーンも含めて温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の計画と進捗(しんちょく)について説明しました。

エネルギーを通じた事業を展開するソフトバンクには、問題に向き合う責務がある

カーボンニュートラルやネットゼロの実現に向けては再エネ化と電力効率化の両輪での推進が基本方針であると述べ、再エネ化に向けては小売電気事業を行うSBパワーとの長期調達契約などを背景として、事業活動で使用する電力について2025年までに再生可能エネルギー比率を50%、さらに2030年までに100%を目指してさまざまな計画を実施していると説明。また、電力効率化については、「竹芝本社ビルもスマートオフィスという形でソフトバンクのテクノロジーを実装しており、旧本社ビルと比べて約6~7割の省エネを実現している」と実例を交えて紹介。他にも、HAPS事業の推進など新たなテクノロジーを通じて、より効率的な省エネを実現していきたいと説明しました。

また、2024年1月に国際イニシアチブ「RE100」に加盟したことに触れ、Scope3のネットゼロについてもロードマップをもとに「世間の動向などによる変化に対応し、関係者など多くの方々とネットゼロ実現に向けて推進していきたい」と述べました。

エネルギーを通じた事業を展開するソフトバンクには、問題に向き合う責務がある

「自然資本/資源循環」については、「ソフトバンクはネイチャーポジティブの考え方に強く賛同し推進している」とし、自社の事業活動が生態系に及ぼす影響を低減させることをマテリアリティ(重要課題)の一つと捉えていると説明しました。自然との接点やリスクなど自然関連課題の評価に向けた統合的なプロセスである「LEAPアプローチ」にもとづき、まずは事業重要度の高い基地局などの通信設備建設による土地活用の分析を開始し、今後も植樹やサンゴの保全といった生物多様性の活動やスマートフォンのリユース・リサイクル、基地局設備の産業廃棄物抑制など多様な取り組みを進めるとともに、情報開示についても積極的に進めていくとしました。

池田は「国内外のさまざまな団体から高評価をいただけるまでになった。引き続き事業を通じたESGの実現とともに、皆さまに理解いただける透明性の高い開示を心がけ、引き続きまい進していきたい」と決意を新たにしました。

エネルギーを通じた事業を展開するソフトバンクには、問題に向き合う責務がある

社員の成長=会社の成長。ソフトバンクの考える人的資本経営

社員の成長=会社の成長。ソフトバンクの考える人的資本経営

最後に、コーポレート統括 人事本部 本部長 源田泰之が「ソフトバンク流人的資本経営」と題して、経営戦略にもとづいた人事・組織について説明しました。

源田は「宮川からも説明があった通り、AI共存社会の到来とそれに向けた次世代社会インフラの構築が次のソフトバンクにおいて非常に重要」とし、今後の経営戦略や事業戦略と照らし合わせてAIエンジニアやDX人材などの重要度がさらに増していると説明。進化する組織をどう作っていくかについて、生成AIの活用による生産性向上や既存社員に対するリスキリング、さらにはグループ企業を含めた要員の最適化、組織開発などリストアップ。ポートフォリオを起点とした人材戦略を示しました。

社員の成長=会社の成長。ソフトバンクの考える人的資本経営

さらに個人と会社の関係性や就労観が大きく変化してきていることに触れ、「人的資本の最大化は社員の成長と捉えている。社員の成長が会社の成長につながり、会社が成長するとまた新たな活躍機会が創出されてまた社員が成長していく。こういった好循環をしっかり生み出していきたい」と説明しました。ソフトバンクの社員育成ポリシーは、自ら手を挙げた者に対してチャレンジの機会を提供する自律的成長支援であるとし、その取り組みとして、100名以上の社員が講師となり研修を行う「ソフトバンクユニバーシティ」や社外の方が半数を占め多種多様な人材が集う「ソフトバンクアカデミア」、約6,000名のグループ社員が登録し新規事業についての学びを得る「ソフトバンクイノベンチャー」のイノベンチャーラボ、さらには新しいキャリアにチャレンジできる「ジョブポスティング」「FA制度」、社内外の副業制度など、社員の成長を促し、自身のキャリアを自分でデザインできるさまざまな取り組みを紹介しました。

また、「世の中に広めるべきといったものについては、提案で終わらせるのではなく、どんどん事業化を推進していく」として、全社で推進中の生成AIの取り組みについて説明。全社員が生成AIを使い倒せる環境を実現する取り組みとして、生成AIを利活用するための基盤整備や学習コースの提供、累計15万件ものアイデアが集まった1位賞金が1,000万円のコンテストなどを紹介するとともに、このコンテスト案件の事業化をサポートするCEO直轄の新組織を2月に新設したことも発表しました。

社員の成長=会社の成長。ソフトバンクの考える人的資本経営

女性活躍をはじめ、数多くの取り組みを推進

その他にも、採用やインターンシップ、女性活躍推進、最適な働き方などさまざまなテーマについて説明。中でも将来のダイバーシティ&インクルージョン推進につながる女性活躍推進については、全社を挙げて多面的な取り組みを続けており、FY35に掲げている「女性管理職比率20%」の目標達成が射程圏内に入るところまで来ていると、良好な進捗状況を報告しました。

女性活躍をはじめ、数多くの取り組みを推進

また、健康経営や最適な働き方への取り組みに対する外部からの評価について「これらの受賞を励みに、人事としては、実際に働いている社員が働きやすさを実感して『この会社で働き続けたい』、また外部の方が『こういう会社で働きたい』と思えるような、そんな環境を作っていきたい」と述べて締めくくりました。

女性活躍をはじめ、数多くの取り組みを推進

説明会資料はこちら

代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川潤一
ESG説明会(PDF形式:8.53MB/22ぺージ)

CSR本部 本部長 兼 ESG推進室 室長 池田昌人
ソフトバンクの中長期成長を見据えたESG戦略と環境対応の推進(PDF形式:3.92MB/53ぺージ)

執行役員 人事本部 本部長 兼 総務本部 本部長 兼 Well-being推進室 室長 源田泰之
ソフトバンク流人的資本経営(PDF形式:7.67MB/72ぺージ)

ソフトバンクのESGへの取り組み

ソフトバンクのESGへの取り組み

「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」をコンセプトに、持続可能な社会の実現に向け、ESG活動などを通じて、さまざまな社会課題の解決に取り組んでいるソフトバンク。その取り組みをまとめた「サステナビリティレポート」や、ESGに関する各種データを記載した「ESGデータブック」を公開しています。

ソフトバンクの
サステナビリティ

(掲載日:2024年2月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部