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「おいしい」が人と人をつなげる 2014年11月 東日本大震災 被災地の今

ソフトバンクグループでは、公益財団法人 東日本大震災復興支援財団の「『あの日』を忘れない宣言」の趣旨に賛同し、皆さまと共に「チャリティホワイト」など、さまざまな支援を行ってきました。

「被災地の今」では、支援先である非営利団体からの活動レポートや被災地の現状を紹介しています。

そうまうま定期便~「おいしい」が人と人をつなげる~

福島県南相馬市

「ついにこの日がやって来ました! 愛情を込めて梱包しました!!」
そう笑顔で話しながら、一つ一つ大切に梱包作業を行うのは、福島県立相馬高等学校3年生の門馬 千紗さんと相馬市出身で仙台高等専門学校3年生の深谷 華さんをはじめとする福島県相双地区出身の高校生6人です。

門馬さんは地元の生産者を取材し、「おいしい!」と思った商品と一緒に、生産者の思いやストーリーを、郷土料理のレシピや地元のイベント情報などを添えて全国に発送する「そうまうま定期便」という活動をしています。発送するのは福島県沿岸部のスイーツや野菜、果物、水産物の加工品など5千円相当の商品。年間4回(10月、1月、4月、7月)の配送を計画していて、この日は記念すべき第1回目の発送作業でした。

活動のきっかけは、昨夏に参加した「TOMODACHIサマー2014 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」でした。このプログラムは、ソフトバンク株式会社が将来の復興のリーダーを担う人材を育成するために、被災地の高校生を無償で招待しているもので、門馬さんも「英語を勉強したい!」という理由で参加しました。しかし、米国にあるカリフォルニア大学バークレー校で3週間、リーダーシップスキルと地域貢献について学んでいくうちに意識が変化していったと言います。

「プログラムに参加した同じ境遇の高校生は地元愛が強く、地元を盛り上げようと色々なことに取り組んでいました。冷めている人なんていません。一方自分は、地震、津波、原発事故で大きな被害を受けた福島県相双地区で生活しているにもかかわらず、なぜ何もしていないのだろう。私にも何かできるはず!」そんな風に考えるようになりました。

そして帰国後、復興に向けて頑張る大人の姿を、高校生の目線から全国に伝えようと、留学プログラムで知り合った仲間と共に「trees」を立ち上げ、地元高校生が選んだ地元の商品を定期便で届ける「そうまうま定期便」をスタートさせました。

「被災地との新たな『つながり』をつくりたい」と真剣に語るtreesメンバー。
一人一人の思いが、相双地区の未来への懸け橋となることでしょう。

そうまうま定期便~「おいしい」が人と人をつなげる~

そうまうま定期便~「おいしい」が人と人をつなげる~

trees
trees(Facebook)

撮影日:2014年10月

宮城県の今を伝える「やまもと語りべの会」

宮城県亘理郡山元町

東日本大震災の記憶を後世に語り継ぐため、歴史や自然など山元町の魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと、2013年7月に宮城県亘理郡山元町で「やまもと語りべの会」が発足しました。そこで「山元案内人」として被災地ガイドの会長を務めるのが、渡邉 修次さんです。
「震災後、地域の情報発信が重要となり各地で語り部ガイドができる中、山元町には観光協会がなく、予算や人手も足りずになかなか発足できませんでした。私はもともと個人的にガイドの活動をしていたこともあり、何度か研修会を開いて仲間を募り、『やまもと語りべの会』を立ち上げました。山元町の歴史だけでなく、震災当時の被害状況や、さらには現在の仮設住宅や復興の状況も案内の一つとして伝えていくことで、山元町の活性化、住民の交流、観光地振興にもつなげることができるのではないかと考えました」と渡邉さんは当時を振り返ります。

宮城県の今を伝える「やまもと語りべの会」

震災当時、山元町立山下中学校の校長をしていた渡邉さんは、4名の教え子を亡くしました。
「一人の生徒は祖母を助けに戻って亡くなりました。その生徒の母親も姉妹も、同じように祖母の命を守ろうとして命を落としました。一人一人がまずは自分の安全を確保した上で他の人をどう助けるかと考えて行動していれば、もしかすると助かったかもしれません。自分の命は自分で守らないとダメだと、4名の生徒を亡くして今更ながらに思っています。語り部としても“自分の命は自分で守る”ということを伝え続けます。震災で起きたことを悲しむだけでなく、言葉にすることによって記憶の風化を防ぎたいと思います」

山元町の今と震災から学んだ教訓を伝えるため、渡邉さんは今日もガイドを続けます。

宮城県の今を伝える「やまもと語りべの会」

撮影日:2014年8月

ワークショップ「いわき志塾」が開催されました

福島県いわき市

福島県いわき市教育委員会は、「東北の復興を担ういわきの子どもたちのキャリア形成」を目的に、公益財団法人 東日本大震災復興支援財団が実施している「ふくしま子ども力プロジェクト」の支援を受け、各分野のリーダーたちから「リーダーとして、人生や仕事で大切にしていること」を学ぶワークショップ「いわき志塾」を開催しています。今年度は9回のワークショップが計画されており、2014年9月28日には第5回のプログラムがソフトバンク株式会社(東京都港区、以下「ソフトバンク」)で開催されました。

この日は、本プログラムに参加を希望した福島県いわき市内の約100名の中高生がソフトバンクを訪れました。午前中は、世界初の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」の開発者や、SBエナジー株式会社にて自然エネルギーの普及・促進に携わる社員など、ソフトバンクグループの社員10名(以下「講師」)から、これまでの経歴や仕事内容、自身の人生哲学やリーダーシップ論などについてレクチャーを受けました。

いわき志塾の特長は講師だけが話す、一方的な講義形式ではないこと。生徒たちは事前に講師について下調べをするなど予習を済ませているため、当日はかなり具体的な質問が飛び出し、双方向型の活気のあるワークショップになりました。生徒たちは自ら進んで参加しているだけに、意欲的に取り組んでいる姿が印象的でした。

午後からは、ワークショップで感じたことや学んだことを班ごとにまとめ、最後に全員で発表を行いました。参加した生徒からは、「今日聞いた話を糧に、自分も記憶に残る濃い人生を歩んでいきたい」「将来、自分も背中で語れるリーダーになりたい」といった感想を発表しました。

また講師からは、「生徒たちのまとめ方がうまくて驚きました。しかも発表の際には盛り上げ方がうまいだけでなく、内容も当を得ており、1分ごとに進化していく学生たちに講師の方が圧倒されました」、「日本の未来は、震災を経験した東北から発信されるのではないかと感じるほど、パワーに満ちた学生ばかりでした。これからもチャレンジを続け、後悔しない人生を歩んでほしい」といった感想が寄せられており、大人にとっても学びの多い一日となりました。

いわき志塾を主宰している、いわき市教育委員会の平山 明裕さんはこの日の様子を次のように話してくださいました。「今日一日で、子どもたちの表現力やコミュニケーション能力が劇的に伸びたと思います。そして、子どもたちの充実感いっぱいの表情が印象的でした。かっこいい大人をたくさん見て、その情熱を受け取った子どもたちは、多くのことを学んだのでしょう。きっと将来のリーダーとして活躍してくれると、確信しています」

教育委員会が旗を振り、20年30年後の地域(故郷)活性を担うリーダーの育成に取り組む福島県いわき市。未来を担う生徒たちの活躍に期待します。

ワークショップ「いわき志塾」が開催されました

ワークショップ「いわき志塾」が開催されました

いわき志塾(いわき生徒会長サミット)

撮影日:2014年9月

3.11 TOHOKU 応援はつづく ~忘れない、あの日を。つなげよう、未来へ。

「そのとき、つながるということ」 東日本大震災から10年、進化し続けるソフトバンクの災害対策

(掲載日:2014年11月10日)