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拠点名が「のくのくハウス」に決定! 2015年5月 東日本大震災 被災地の今

ソフトバンクグループでは、公益財団法人 東日本大震災復興支援財団の「『あの日』を忘れない宣言」の趣旨に賛同し、皆さまと共に「チャリティホワイト」など、さまざまな支援を行ってきました。

「被災地の今」では、支援先である非営利団体からの活動レポートや被災地の現状を紹介しています。

ふたば未来学園高等学校開校式「変革者たれ」

福島県双葉郡広野町

2015年4月8日、「東北に春を告げる町」として知られる福島県双葉郡広野町にて中高一貫校「福島県立ふたば未来学園高等学校」 の開校式・入学式・レセプションが行われました。高校の新設は、通常なら5年以上の準備期間を要するそうですが、実質1年での開設となりました。2018年の新校舎完成まで、高校は福島県立双葉郡広野町立広野中学校の校舎を借り、広野中学校は広野小学校の校舎を間借りします。まさに地域全体で新しい高校を受け入れることになったその背景には、震災と原発事故から4年が経った現在も、先を見通すことが難しい地元の方々の深い苦しみがあったと思います。

思い起こせば2012年12月18日に福島県双葉地区教育長会が設置を決定した「福島県双葉郡教育復興に関する協議会」にて「主体的にふるさとの復興を担う『生き抜く力』を身に付けるには、魅力ある学校づくりをはじめとした双葉郡ならではの復興教育を進めることが必要」として教育復興ビジョン実現に向けての議論が始まりました。しかし、被災状況が異なる双葉郡の八つの町村にそれぞれの思いがあり、なかなか意見は一致しませんでした。

ふたば未来学園高等学校開校式「変革者たれ」ふたば未来学園高等学校開校式「変革者たれ」

それを打開したのは子どもたちの力でした。
当事者である子どもたちや保護者の方々の率直な意見を反映させるため、対話の場として「双葉郡子供未来会議」を10回以上開催しました。小学生から高校生までの地元の子どもたちの声や思いに大人たちが丹念に耳を傾け、共に考え、対話を続けることで徐々にビジョンを形作ってきました。
入学式後の新入生主催のレセプションでも、オープンな対話形式は受け継がれるなど「子どもたちと共に対話すること」がこの地の復興に息づいています。

「自らを変革し、地域を変革し、社会を変革する『変革者たれ』」。
初代校長になられた丹野校長が建学の精神として掲げたメッセージと校舎の外の雪と桜が新しい時代をつくるであろう子どもたちの未来を照らしていました。

仮設住宅内で子どもに「まなび場」を提供

宮城県仙台市

NPO法人 アスイクでは、2011年4月から宮城県仙台市内の避難所や仮設住宅で暮らす家庭の子どもを対象に居場所づくりと学習サポートを行っています。また、休日には民間企業や市民講師と連携して、職業体験や金銭教育などの課外プログラムも実施しています。2014年度までの4年間で、参加した子どもは366名、ボランティアは372名、活動回数は総計2,077回に上り、仙台市内の仮設住宅で唯一、活動を続けている団体です。

活動のきっかけは、東日本大震災後に満足な環境で勉強することができない子どもたちに、避難所内でも安心して勉強ができる「まなび場」を用意したことでした。経済的負担の少ない「まなび場」を多くの子どもに提供したいという思いから今日に至ります。

代表の大橋 雄介さんは、「参加者の中には、単にお金に余裕がなく塾に行けない子どもだけではなく、震災によって自分の感情にふたをしていたり、DV(ドメスティック・バイオレンス)など辛い過去を背負っている子どももおり、家庭環境や成育歴が複雑な場合も多くあります。だからこそ、この『まなび場』を通して、子どもたちが安心できる場所や人間関係をつくり出すことを大切に活動してきました。また、学習支援を通じて生まれた孤立しがちな家庭とのつながりや信頼関係を生かし、地域のさまざまな機関と連携して、多様な生活課題を軽くしていくことにも力を注いでいます」と活動について語ってくださいました。

昨年秋の課外プログラムでは、企業や非営利団体が連携して、「起業体験プログラム」を実施しました。子どもたちが中心となり、宮城県の特産品を販売する店舗の企画から仕入れ・販売までを一貫して手掛け、最後は、東京都港区赤坂のマルシェでプロに混ざって販売をするなど、本格的なプログラムとなりました。

参加した子どもからは、「人と話すのが苦手だったけど、話す自信がついた」、「将来、小売りの仕事をやりたかったのでイメージが湧いた」、「世の中はそこまで甘くないと思った」など、さまざまな感想が出てきました。

震災の発生から4年が経過し、仮設住宅内の「まなび場」は6カ所から1カ所に減っていますが、NPO法人 アスイクは学びたいと思う子どもがいる限り、「機会」と「つながり」を提供し続けていきます。

仮設住宅内で子どもに「まなび場」を提供

NPO法人 アスイク

親子が不安や悩みを気軽に相談できる場を

特定非営利活動法人 ベビースマイル石巻

子育て支援事業を行うための拠点施設設置に向け、準備が進んでいます。建設場所は石巻市蛇田に決定し、土地の調査が終わって、いよいよ建設が始まります。完成は8月を予定しています。
蛇田地区の付近には復興公営住宅が建ち、仮設住宅からたくさんの方が移り始めていますが、新たなコミュニティーで生活を再建する方たちの「孤立」を未然に防ぐ取り組みの必要性を感じています。加えて、子育て支援は生活支援につながり、結果として町づくりに大きく寄与することができる活動だと実感しています。

親子が不安や悩みを気軽に相談できる場を

施設完成まで事務所の空きスペースを活用して開催する子育てひろば「スマイル」も2015年4月1日にオープンしました。にぎやかな日もあれば、のんびりした日もあり、今日はどんな親子が来るのだろうとスタッフ一同心待ちにしています。初めて出会う方同士が子どもの成長する様子を伝え合ったり、地域の子育て情報を交換する姿が見られます。

イベントも開催しており、お誕生日会では手形をとったり写真を切り抜いたり、パネルシアターを楽しみました。
また、保健師さんや助産師さんと連携して、子育て相談日も設けました。相談内容は限定せずに受け付け、もしこちらで対応できない場合は関係機関へつなぎます。不思議とイベントや相談の後のくつろいだ時間にこそ、震災のこと、子どもの成長や住居の不安などを話してくれます。

これまで「出張ひろば」としてイベントを開催してきましたが、それぞれの拠点で人々のつながりや信頼が築かれているのを感じています。それらの積み重ねが、不安や悩みを気軽に相談できる場になっていくことを体感する日々です。
活動のご支援をいただき本当にありがとうございます!

特定非営利活動法人 ベビースマイル石巻

拠点名が「のくのくハウス」に決定!

NPO法人 にじいろクレヨン

いよいよ拠点の名前が「のくのくハウス」に決定いたしました。遊びに来てくれる子どもたちやスタッフで意見を出し合い、30件以上の候補の中から選ばれました。名前の由来は、以前遊び場に来てくれた男の子が描いた絵に添えられた「のくのく」という言葉。「のんびり」「すくすく」「ぬくぬく」など、何とも温かなイメージが伝わる不思議な響きだと思いませんか。

拠点名が「のくのくハウス」に決定!

2015年3月下旬よりプレオープンしていた「のくのくハウス」ですが、4月15日より毎週火・水・木・金曜の週4日、午前10時から午後5時まで開館しています。午前中は近所の赤ちゃん連れのお母さんやおばあさん、放課後の時間になると小学生のお友達が「ただいま~」と元気にやって来ます。
若手スタッフの“なっつ”や“エンジン”は子どもたちの人気者で、いつも子どもたちが周りに集まって来ます。“きみさん”や“みっちゃん”は温かく母性たっぷりにみんなを見守ってくれます。他にも地元ボランティアの“ムラさん”、“せんじい”、“れつさん”など、頼りになるメンバーも加わり、「のくのくハウス」は一日一日を積み重ねています。

4月22日には安倍 昭恵首相夫人が見学にお越しになり、子どもにとっての遊び場の大切さを話しておられました。

これからも「のくのくハウス」で、たくさんの方の笑顔に出会えますように。
また次回のお便りをお楽しみに。

NPO法人 にじいろクレヨン

読み聞かせ講座を開講 子どもの伸びやかな成長を支える

読書ボランティアおはなしころりん

子どもたちと地域住民との図書による交流スペース「おはなしサロン」には、今日も穏やかな笑い声が響きます。いろいろな方が自由に出入りしていますが、いらっしゃる目的はそれぞれ。サロンでの新たな出会いも広がっているようです。

先日は、一般向けに読み聞かせ講座を開講し、読み聞かせを通して読書の楽しさを子どもたちに伝える活動について、受講者と語り合いました。多くの本に触れる機会や、大切に思う一冊との出会いの場を提供することが、子どもの豊かな人格形成に必要不可欠であるといった議論など、話が尽きませんでした。

読み聞かせ講座を開講 子どもの伸びやかな成長を支える

読み聞かせ講座にて、一般の親子が絵本の読み聞かせに挑戦

こうして地元の住民が分け隔てなく子どもの生活環境について考えることが、地域全体で子どもを見守る意識へと結び付いていくように思います。
また受講者の方々が「おはなしサロン」での読み聞かせに挑戦しました。集まった子どもたちの瞳は、好奇心でキラキラと輝いていました。読み聞かせは、それを手段に子どもを支えたいという気持ちの表れです。読み聞かせを受けた子どもは大切にされていると感じ、安心した表情で物語に耳を傾けます。こうした時間を積み重ねることで、子どもの伸びやかな成長の基盤ができていくのだと思います。

津波浸水域に設置された「おはなしサロン」から、子どもと地域住民が育てる“気持ちの分かち合い”という大木が、夏に向けて枝葉を伸ばしていくところです。

読書ボランティアおはなしころりん

3.11 TOHOKU 応援はつづく ~忘れない、あの日を。つなげよう、未来へ。

「そのとき、つながるということ」 東日本大震災から10年、進化し続けるソフトバンクの災害対策

(掲載日:2015年5月8日)