2020年に商用サービスが開始されると言われている次世代通信規格「5G」活用のため、ソフトバンクは「5G×IoT Studio」のお台場ラボというトライアル環境を法人のお客さま向けに開放し、新たなサービス作りのサポートを行っています。
その「5G×IoT Studio」お台場ラボの運営をしているのが、ソフトバンクの先端事業企画部。
先端事業とはいったいどのような内容なのか、お台場ラボの運営責任者である先端事業企画部の山田大輔に5GとIoTに関する取り組みや、自身がソフトバンクで描くキャリアについて話を聞いてきました。
ソフトバンクの「5G×IoT Studio」お台場ラボとは?
5GやIoTを活用した新たなサービスなどの提供を目指す企業向けに、5Gの実験機器で技術検証ができるトライアル環境が「5G×IoT Studio」お台場ラボです。5Gの利用シーンをイメージしやすくするため、業種別のデモンストレーションを用意しお客さまの新たなサービス開発をサポートしています。
新たなサービス作りをサポート
「5G×IoT Studio」お台場ラボの役割と、ご自身の業務内容を教えてください
「5G×IoT Studio」お台場ラボは、法人のお客さまと共に、5GとIoTを利用した新たなB2B2X※のビジネスの共創をサポートする目的で開設しました。私は運営や企画、現場でのデモンストレーションに加え、法人のお客さまと新しいビジネスの企画推進業務を担当し、実証実験も進めています。
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- ※パートナー企業とサービスを共創し、エンドユーザーの利便性や生活の向上を目指すビジネスモデル。
どのような実証実験を進めていますか?
お台場ラボには幅広い業種の方々に来ていただき、すでに多くの企業と実証実験を開始しています。当初は製造業やサービス業が中心かと思ったのですが、意外なことに金融業・航空業界などからの問い合わせもありました。どうIoTを導入すべきか、悩まれている方も多いですね。最近では、3月11日に三菱地所さまと5Gを活用した防災訓練の実証実験を実施しました。5Gを活用して4Kや8Kの映像を伝送し、避難所を可視化して避難者の誘導や物資の搬入を円滑化するという取り組みを行っています。
5Gでビジネスや生活にどういった変化が起きる?
「5G×IoT Studio」お台場ラボは、11月のリニューアル以降、ドローンを利用した基地局の設備点検がデモ展示に追加されました。こちらは点検物をドローンに搭載した高画質カメラで撮影し、瞬時に誤差が数mmもない3Dモデリングを実現します。現時点ではWi-Fiを利用し制御やモデリングを行っていますが、将来的にはドローンの制御や高画質映像を5G経由で伝送し、どこでもサービスが利用できるような5Gの活用も考えているそうです。
5GとIoTでビジネスや私たちの生活はどう変わるのでしょうか
5Gは大容量・低遅延を実現するインフラで、法人向けの産業分野に強い通信規格です。現在は工場や建物の問題や、労働者不足の解消、コネクテッドカーなどにフォーカスしています。まずは、工場のラインやロボット、車などプライオリティーの高いものにフォーカスを当てて、ここを大きく変えていかないと世の中が変わっていかないと考えています。
救急車で大容量かつ低遅延の5Gを使って、8Kの映像を送りつつロボットアームで遠隔治療ができるといったこともあり得るでしょう。また、車を拠点にしてどこへ移動しても同じように仕事ができるというMaaS分野への応用も考えられます。
日常生活では「スマート○○」などと呼ばれるものがゴールになると思います。5Gに限らず、ソフトバンクのWi-Fiも含めたあらゆる通信ネットワークを活用し、家の中の冷蔵庫や電子レンジやドアノブなどあらゆる“モノ”がインターネット上でつながっていくという分野ですね。
5GやIoTについてソフトバンクならではの強みはありますか?
インフラについては、各キャリアで提供されることになると思いますが、そのような中で、IoTに関する取り組みやネットワークの在り方は各社の色が出てくると思います。
例えば、ある企業と進めている案件では、電球や街灯にMassive MIMO※1のアンテナとコンピューティングリソースを搭載し、MEC※2とローカル5Gによる、超低遅延の通信と処理を実行できる技術開発を進めています。5G単体の技術は他キャリアでも可能なものですが、こういったサービスに向けた新しい技術開発をグループ企業や過去の知見を生かし実際に進めているのはソフトバンクの強みだと考えています。
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- ※1Massive MIMO…従来よりも多くのアンテナを使って電波を送受信する技術
- ※2MEC…マルチアクセスエッジコンピューティングの略。基地局側にサーバーを配置することで、通信の遅延を抑える技術
ソフトバンクでキャリアを積むということ
これまで、どういったキャリアを歩んできましたか?
もともと理系の大学の学部卒で、2010年入社の10年目です。ネットワーク運用本部でデータセンターなどの運用管理を5年ほど、その後、新サービスの運用企画や障害復旧本部の対応に関わっていました。その後、新しくCTOオフィスを立ち上げるということで今の本部長に任命され、1年ほどジョイントベンチャーの立ち上げや出資に関わり、現在は先端技術開発本部で5GとIoTを推進するための企画・提案を担当しています。
先端技術開発本部はどういった部署なのでしょうか?
先端技術開発本部は100人ほどの部署で、モバイル事業だけでなく新しいサービスを立ち上げる新規事業の分野を手掛けています。MaaS事業を進めるモネ・テクノロジーズも手掛けていますし、他にも大規模なジョイントベンチャーを立ち上げるといった業務も行っています。
今の部門だからこそ新しく身に付いたことはありますか?
これまで営業や法人のお客さまと直接お話しする機会がなかったのですが、多くの接点を持つことができて、技術の話だけでなく、それぞれの仕事の考え方や回し方についても勉強して身に付いたのは大きいですね。
また、5Gだけでなくリチウム空気電池やMECなど先端の技術について触れ、講演などで話す機会もあります。これらは他の部署ではできないことだと思います。
いろいろな業務を経験されてきているんですね。
そうですね。新しいことを若い人にやらせてくれるという会社の風潮があります。年齢に関係なく「これがいい、これがあるべきだ」と言えば、通常は上長を通じて経営会議に出すところですが、役員に事業提案を直接持っていく人もいます。当然それなりの覚悟は必要ですが、綿密な計画、予算を担保して意見を言えば「やってみろ」となることはありますね。僕は性格から上長と連携しつつ計画を立ち上げるタイプなのですが、そういった通常のルートでももちろん大丈夫です。
これから、ソフトバンクでどのような経験を積んでいきたいですか?
5Gの超高速、低遅延を生かした車車間通信や車と人の通信、さまざまなデータを掛け合わせたモノからモノへの通信など、さらに低遅延を実現できる方法はどういうものがあるのか、サービスのより深い検証に興味があります。研究部門に寄った部署なので、やるならとことんやりたいと思っています。技術研究に寄った立場から事業の種を回し続けて、より大きく育てていきたいですね。
ソフトバンクは先端技術を用いた新たなサービス・ソリューションの実現に向け、さらなる技術開発に取り組んでいます。
(掲載日:2019年4月11日)
文:ソフトバンクニュース編集部
次世代通信技術「5G」の導入によって、人と人だけでなく、あらゆるモノとモノがつながるIoT時代が本格的に到来します。
先端技術を用いた新たなサービス・ソリューションの実現に向け、さらなる技術開発に取り組んでいます。