最近は地震や津波、台風、大雨などによる大規模な災害も多発していますが、防災で必要なことの一つは、「今、何が起きているかできるだけ早く知ること」。
今回は、緊急地震速報、津波情報、気象特別警報などの危機通知や避難情報を教えてくれる「緊急速報メール」がどのように私たちのスマホに届くのかについての仕組みを解説します。
「緊急速報メール」の基礎知識や仕組みを知ろう
「緊急速報メール」とは
気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報・気象などに関する特別警報、国・地方公共団体が配信する災害・避難情報を、回線混雑の影響を受けずにスマホで受信することができるサービス。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信各社から提供されていて、受信料・サービス料・申し込みが不要です。
どんな条件やタイミングで配信されるの?
最大震度5弱以上の地震発生時や、津波/大津波警報の発令時など、各災害ごとに規模の基準を設けており、それに応じて、各省庁や自治体から情報が配信されます。以下は一部の例。
配信項目 |
条件 |
配信元 |
---|---|---|
緊急地震速報 |
最大震度5弱以上の地震発生時 |
気象庁 |
津波警報 |
大津波/津波警報の発表時 |
|
特別警報 |
数十年に1度の降雨量となる大雨など |
|
洪水情報 |
指定河川が危険水位に到達および氾濫時 |
国土交通省 |
国民保護情報 |
弾道ミサイルなどの武力攻撃事態時 |
総務省消防庁 |
災害・避難情報 |
避難勧告、避難指示(緊急)などの発令時 |
地方自治体 |
どんな仕組みで届くの?
各省庁や自治体から自動もしくは手動で配信された速報がいくつかのシステムを経由して皆さんのスマホに届けられます。
緊急地震速報の場合
緊急速報メールが届く設定になってますか?
「緊急速報メール」は、気象庁が配信する「緊急地震速報」「津波警報」および「特別警報」、国・地方公共団体が配信する「災害・避難情報」などを、対象エリアにいるお客さまにブロードキャスト(同報)配信するサービスです。
-
- ※対応機種はウェブサイトをご覧ください。
受信設定のON/OFFの確認方法は以下となります。
- iPhone の場合:設定>通知>緊急速報
- Android 端末の場合※:設定>アプリと通知>詳細設定>緊急速報メール>緊急速報メールの許可
-
- ※Android 端末=Android™ 8.1 以上
- ※機種により異なります。
受信設定のON/OFFの確認方法は以下となります。
- iPhone の場合:設定>通知>緊急速報
- Android 端末の場合※:設定>アプリと通知>詳細設定>緊急速報メール>緊急速報メールの許可
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- ※Android 端末=Android™ 8.1 以上
- ※機種により異なります。
より多くの人々に「緊急速報メール」を届ける「Android向け緊急速報メール共通受信仕様」
「緊急速報メール」をより多くのスマホユーザーに届けるために、「Android向け緊急速報メール共通受信仕様」を実現したプロジェクトに参画したお二人に話を伺いました。
ソフトバンク 顧客基盤推進本部 松本さん
緊急速報メール、災害用伝言板など災害対策系サービスを担当。また、電気通信事業者協会(TCA)安全・信頼性協議会 緊急速報メールワーキンググループに参画。防災士。
電気通信事業者協会(TCA) 企画部長 濱谷さん
日本テレコム入社後、経営企画部・総務省対応部などを経て、現在、ソフトバンクから電気通信事業者協会へ出向中。防災士。※
※ 2019年3月25日時点
「Android向け緊急速報メール共通受信仕様」について教えてください。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で「緊急速報メール(エリアメール)」の共通仕様化を2016年から取り組み始めました。これにより、SIMロックフリーのAndroid 端末などでも各社の「緊急速報メール」を受信することが期待できるようになり、より多くの人々に安心を届けることにつながりました。
この取り組みを行った経緯を教えてください。
以前は、携帯電話事業者ごとに開発を行っていたため、各事業者が提供する携帯電話以外では受信時の挙動が異なっていたんです。その一方で、SIMロックフリー端末を中心にスマホが多様化されるなか、「生命に関わる緊急性の高い情報を届ける」という使命をまっとうするため、OSレベルでの共通仕様化を目指してプロジェクトがスタートしました。
そのとき、私は事業者に関わらず、通信課題などを解決するための一般社団法人電気通信事業者協会(以下「TCA」)という業界団体に出向していました。なので、このプロジェクトが始まったときは、フラットな立場で総務省などの省庁と3社の取りまとめを行いながらプロジェクトを進めました。
共通仕様化によって何が変わったのでしょうか?
大きく2つの特長があります。
① SIMロックフリー端末でも災害・避難情報が受信可能に
これまで携帯電話事業者の端末以外での受信が難しかった特別警報、洪水情報、Jアラートや自治体が配信する災害・避難情報を、SIMロックフリー端末など多様な端末で受信することが期待できるようになりました。
わが国においては地震はもっとものこと、近年は出水期(毎年6月から10月の期間)における台風などに伴う豪雨や河川はん濫の大規模な水害が続いていて、自治体などからの緊急速報メールの配信も増加しており、昨年度は対前年比3倍にあたる「緊急速報メール」が配信されています。
-
- ※特別警報は気象庁、洪水情報は国土交通省、Jアラートは総務省消防庁が提供
② 警報音や設定メニューが日本仕様になり、使いやすさが強化
日本人が直感的に緊急事態を理解できるように、警報音を切迫した危機が伝わる音※にして、分かりやすい設定メニューにしました。
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- ※携帯電話で採用されている警報音をSIMロックフリー端末などでも利用可能に
今後やりたいことを教えてください。
ユーザーに対して、サービスの分かりやすさを追求していきたいです。例えば、サービス名称を3社共通に変更してもいいかな、と。提供しているのは同じサービスにもかかわらず、ドコモは「エリアメール」、KDDI・ソフトバンクは「緊急速報メール」となっているためです。
今後は衛星データなどを活用した災害対策にも取り組んでいきたいですね。また、2019年はアポロ11号の月面着陸から50周年の年でもあります。将来、宇宙空間や月面でも危機情報が受け取れる方法なども考えていきたいと思います。
ありがとうございました!
「第5回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)」において、最優秀レジリエンス賞を受賞しました
取り組みが評価され、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が主催する、強靭な「国づくり」「地域づくり」「人づくり」「産業づくり」を目的とした、活動・技術開発・製品開発などを行う企業・団体を表彰するアワードを一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)安全・信頼性協議会 緊急速報メールワーキンググループとして受賞しました。
(掲載日:2019年4月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部
監修:一般社団法人電気通信事業者協会
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