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障がい児の学習・生活支援を行う「魔法のプロジェクト」成果報告会。コロナ禍での遠隔学習など11事例を発表

障がい児の学習・生活支援を行う「魔法のプロジェクト」成果報告会。コロナ禍での遠隔学習など11事例を発表

1月23日、ソフトバンク株式会社と東京大学先端科学技術研究センターが主催する、ICT(情報通信技術)を活用して障がい児の学習・生活支援を行う実践研究プロジェクト「魔法のプロジェクト2020 ~魔法のMedicine(メディスン)~」の成果報告会がオンラインで開催。優れた実践研究の事例発表、基調講演、シンポジウムなど、延べ7時間にわたるプログラムが行われ、全国から約350人の教育関係者や保護者が参加しました。

激変する時代の特別支援教育を考える

成果報告会では、最初に魔法のプロジェクトディレクターでソフトバンク CSR本部所属の佐藤里美による概要説明が行われ、次にプロジェクトを後援している文部科学省の深草瑞世特別支援調査官よりあいさつが述べられました。

魔法のプロジェクトディレクターの佐藤(左上)と事例発表に登壇する先生たち

魔法のプロジェクトディレクターの佐藤(左上)と事例発表に登壇する先生たち

深草特別支援調査官は、「ICTは障がいのあるなしを問わず、子どもが主体的に学ぶために有用なものであるとともに、特別な支援を必要とする子どもに対しては、学習効果を高めたり障がいによる学習や生活上の困難を改善・克服するための指導に効果を発揮することができる重要なもの。ICTを子どもたちの状態に応じて効果的に活用するには、皆さまの授業実践や研究の成果、課題をふまえていくことが重要だと考える」と、ICT活用への期待を述べました。

文部科学省の深草特別支援調査官(左)魔法のプロジェクトプロデューサーで東京大学先端科学技術研究センターの中邑教授(右)

文部科学省の深草特別支援調査官(左)魔法のプロジェクトプロデューサーで東京大学先端科学技術研究センターの中邑教授(右)

続いて、魔法のプロジェクトプロデューサーで東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授による「インクルーシブ教育・GIGAスクールの先に求められる教師の力」と題した基調講演が行われました。

中邑教授は、「特別支援教育の前提は子どもがテクノロジーで”武装”すること。インクルーシブ教育の時代だからこそ、特別支援教育だからできる教育の議論がもっと必要になっていく。GIGAスクール構想でのタブレット導入による、経済格差、能力格差の解消や、オンラインとオフラインが融合する教育の可能性の中で、既存の学校や制度の課題が見えてきた」とし、「特別支援教育は激変する時代に対応できているか?」と問いかけ、「未来に向かって、子どもの特性が発揮される環境を整え、長期的・総合的な視点から教育を進められる場が特別支援教育の場でありたい」と思いを語りました。

  • 障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に教育を受けること

休校中でも「自分で学べる」を目指すICT活用を

実践事例報告では、特別支援学校、通常学級などの教諭が、ASD、ADHD、肢体不自由、不登校などの子どもに対し、タブレットや人型ロボット「Pepper」などのICT機器やさまざまな学習支援ツールを活用したことで、子どもの学習意欲や生活に変化が現れた事例を紹介。

不安や緊張が強く不登校の子どもが「Zoom」で学校とつながった事例

好きなプログラミングを通して学びや経験が広がった事例

不安や緊張が強く不登校の子どもが「Zoom」で学校とつながった事例(左)病弱な子どもが、好きなプログラミングを通して学びや経験が広がった事例(右)

不安や緊張が強く不登校の子どもが「Zoom」で学校とつながった事例(上)病弱な子どもが、好きなプログラミングを通して学びや経験が広がった事例(下)

松江市立意東小学校の井上賞子教諭は、「新型コロナウィルスでの休校で、初めて使うツールはZoomだけでした。その他のICT機器は以前から活用していたので緊急時に役立った。また、休校中『家にいるからこそできる学び』の宿題を追加したことで、日常生活での体感が子どもにとってより実感を伴った理解へとつながった」と紹介しました。

カップラーメンには何mLのお湯が必要か調べる「身の回りのmLをさがそう」という宿題により、自分の周りの世界を理解する学びにつながった

カップラーメンには何mLのお湯が必要か調べる「身の回りのmLをさがそう」という宿題により、自分の周りの世界を理解する学びにつながった

「魔法のプロジェクト2020 ~魔法のMedicine~」成果報告会 実践事例

奈良県平群町立平群中学校 中山めぐみ 教諭

Find a fun way to learn ~自分に合った学び方~

北九州市立八幡西特別支援学校 鬼塚正人 教諭

Yさんの『伝えたい』を叶えるために ~コミュニケーション手段の主体的な選択と活用を目指して~

沖縄県立泡瀬特別支援学校 大野晴菜 教諭

たくさん教えて! Aさんのこと

北九州市立小倉総合特別支援学校 坂本匡耀 教諭

Pepperを使った、Kくんの主体的な活動を目指した実践

広島市立広島みらい創生高等学校 堀川淳子 教諭

自己肯定感を高めて社会へ

広島市立己斐上中学校 田中勤子 教諭

不登校生徒を支える

大阪府立寝屋川支援学校 日置節子 教諭

Yさんと、友達、家庭、学校をつなぐICT

千葉県立東金特別支援学校 押塚雄史 教諭

自分を見つめ直す ~不登校生徒の実践を通して~

香川県立高松養護学校 佐野将大 教諭

楽しみながら実践の視点を共有していくための工夫をした事例

沖縄県立泡瀬特別支援学校 澤岻圭祐 教諭

児童にあった「学び」を目指して ー「好き」から「学び」をー

松江市立意東小学校 井上賞子 教諭

「自分で学べる」を目指して

実践事例の詳細は、「魔法のプロジェクト」ウェブサイトに掲載している成果報告書【実践事例】をご覧ください。

「魔法のプロジェクト」の
ウェブサイトをみる

(掲載日:2021年1月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部