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世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

ソフトバンクのDNAである「挑戦」と「進化」。通信事業者の枠を超えた革新的なサービスを生み出し、時代を変える企業を目指す上で鍵となるのが「研究開発」です。ソフトバンクで、最先端の技術調査から事業化に向けた研究までを担う先端技術開発本部の本部長に、現在の取り組みについて話を聞きました。

湧川隆次

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット
技術戦略統括 先端技術開発本部 本部長
湧川 隆次

先端技術は「5G」から「Beyond 5G/6G」へ

世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

最初に、先端技術開発本部の概要を教えてください。

先端技術開発本部は、新しい技術開発やそれを活用した事業開発を一貫して行う本部です。ソフトバンクでは「新しい技術は事業に結びついてこそ意味がある」という考えが浸透しています。

その中で、われわれの本部は専門的な基礎研究から、技術を評価・改良していく応用研究まで幅広く技術開発をしています。また、技術を事業化する企画、財務、営業などを担当するメンバーも在籍。研究開発の上流から下流までカバーし、組織として非常に多様性に富んでいるのが特徴です。

本部で取り組んでいる研究開発の内容はどのようなものですか?

直近数年間で特に注力してきたのは「5G」に関する研究開発です。5Gの基礎評価から、普及を見据えてトライアル環境を体験できるラボを運営するなど、エンターテインメントでxRを生み出すための活動、放送分野での5G活用などに取り組んできました。

  • xR:「x」にはさまざまな文字が入り、「R」はRealityを表している。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実には存在しないことを体験できる技術の総称。

世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

法人のお客さま向けに5Gのトライアル環境を提供していた「5G×IoT Studio」お台場ラボ

昨年3月に商用サービスが開始された5Gは、今年から本格的に普及していき、さまざまな分野で活用されるでしょう。しかし、言い換えるなら「先端技術」ではなくなっていくわけで、われわれの研究開発の中心はすでに「Beyond 5G/6G」へと移行しています。

5Gが登場したばかりですが、すでに次世代通信の研究開発を始めているんですね。

と言っても、まだ基礎研究の段階で、初めて通信ができたのが2019年。そこからアンテナを改良して1月13日に小型アンテナを使った無線通信成功を発表できました。Beyond 5G/6Gは「テラヘルツ帯」と呼ばれる300GHz(ギガヘルツ)から3THz(テラヘルツ)の高周波数帯域を使って通信を行います。5G以上の超高速通信が期待できる一方で、通信として使いこなすのは非常に難しい周波数で、用途の検討から始めています。

世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

Beyond 5G/6Gの実験で私用している小型誘電体アンテナおよび関連機器

われわれは岐阜大学やNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)と連携して研究を進めています。大学に蓄積されたアカデミックな知見、そしてソフトバンクが通信事業を行う中で直面する課題やビジネス要件がうまく噛み合っており、この分野では世界最先端の研究を行うことができていると自負しています。

通信のために全長78メートルの無人航空機を作る。壮大なコンセプトをかたちにできる会社

世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

Beyond 5G/6G以外では、どのような研究開発を行っていますか?

ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルと実施している、成層圏から通信ネットワークを提供するプラットフォーム「HAPS」も先端技術開発本部が注力するプロジェクトです。Beyond 5G/6Gが通信の質を向上させるための研究開発とするなら、HAPSは通信エリアを拡大させるための挑戦ですね。

地上20キロメートルの成層圏にソーラーパネルとバッテリーを搭載した無人航空機を飛行させ、広範囲なエリアに通信を提供することを可能にするプロジェクトです。HAPSを商用化できると、大規模災害などで地上の基地局が支障しても通信エリアを維持することが可能になります。また、人が少なくて基地局を建設できなかった地域も通信エリアにできるので、自動運転やドローンなどのサービスがより広範囲で提供可能になるでしょう。

成層圏で無人航空機を飛行させる。かなり壮大ですね。

そうですね。通信のためとはいえ、実際に航空機を設計から試験機まで作って飛ばしてしまうわけですから。これだけ壮大なコンセプトをかたちにしてしまうのは、ソフトバンクくらいではないでしょうか。私も全長78メートルの機体が離陸するのを見たときは、鳥肌が立ちました。プロジェクト自体も有意義なものですが、夢のような事業に挑戦する会社が存在することを示せたことも価値があると思っています。

HAPSの機体を組み立てる工場の様子

すでにHAPSを用いたスマホ同士の通信には成功しています。技術として確立できており、バッテリーやソーラーパネルも日々進化しているため、商用化までの道のりは遠くありません。最近はライバルとなる企業の参入も増えてきているのですが、成層圏基地局という分野を切り拓いてきた自負を持って、これからも先頭を走り続けていくつもりです。

5Gでも、Beyond 5G/6Gでも。通信の進化が革命を生む

世界を変える“革命”のために。先端技術に挑み「通信」を進化させていく|ソフトバンクの研究開発

研究開発で大切にしていること、実現したい未来について教えてください。

研究開発全般について言えるのは、失敗は存在しないことですね。挑戦してうまくいかなかったとしても、それは1つの発見です。「このやり方はうまくいかない」という知見は、非常に大きな価値があります。常にこの原則を忘れないようにしているつもりです。

また、われわれが取り組んでいるモバイル通信を進化させるための研究開発は、未来の“革命”を支えるものだと考えています。どのような革命なのか、それはまだ分かりません。しかし、私たちの生活を、世界のかたちを根本から変える素晴らしい進化であることは確かです。3Gでスマホが登場し、4Gでさまざまなインターネットサービスが生まれたように、5Gでも、そしてBeyond 5G/6Gでも、新たな革命が生まれます。

ソフトバンクの通信インフラが存在することで、革命が生まれてほしいですよね。先端技術開発本部としては新しい技術を積極的に取り込み、通信インフラを進化させるとともに、「Beyond Carrier戦略」を実現するために新しいサービス・事業を次々に展開していくつもりです。

(掲載日:2021年1月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部