2020年度より小学校でのプログラミング教育が必修化されるなど、IT教育が推進される中、さまざまな分野の教育を横断的に学習することで、問題解決のための論理的な考え方やそれを実行する力など、これからの時代に求められる素養を身に付けられるSTEAM教育への関心も高まっています。
プログラミングやSTEAM教育を教える教室が増える一方で、最近ではオンラインで学べるスクールも徐々に登場しています。その一つがSB C&S株式会社(以下「SB C&S」)の「STELABO Online(ステラボ オンライン)」。
オンラインで学ぶSTEAM教育とはどんなものなのか、担当者に話を聞いてきました。
STEAM教育とは
Science(科学)、Technology(技術)、 Engineering(工学)、 Mathematics(数学)にArts(芸術・教養)を加えた5つの要素を統合的に学習する教育手法。
初期はデザイン・感性などの要素だったが、近年は根本的な考え方や知識を意味する教養も要素と考えられている。STEAM教育では、文系・理系といった分類をせず、実社会の課題解決に対し、横断的に各教科の学びを生かす能力を育成する。
目次
「通いたいけど近くに教室が無い」リアルな声から生まれたオンラインのプログラム
お話を聞いた人
SB C&S株式会社 IoT・サービス事業本部 IoT営業推進本部 STEAM事業推進統括部
サービス推進室
早坂 凌平(はやさか・りょうへい)さん
2016年にSB C&Sに入社。
2019年からSTEAM事業に参画し、カリキュラムの開発担当として従事。
まずはじめに「STELABO Online」について教えてください。
もともとC&Sでは、小学生を対象とした「ものづくり学習法」をベースに、子どもが自ら考え、協力しながら学んで創造し、表現する力を育むことを目標にしたSTEAM教育・プログラミング教育のプログラム「STELABO」を対面の教室で提供していました。
低学年を対象にした物理や工学の基礎が学べるクラスから、高学年向けのモーターやセンサーを制御して、ゲーム・アニメ・アートの制作に挑戦するクラスなど、子どもの学年、興味にあわせた5クラスを展開しています。
全国各地の教室で実施している「STELABO」のコースをオンラインでも気軽に学べるように、2021年5月から新たに開講したのが「STELABO Online」です。
「STELABO」について、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
対面での教室を展開している中で、なぜオンラインでのレッスンを始めようと思ったのでしょう?
「通いたいけど近くに教室が無い」という声が市場調査で多く聞かれたのがきっかけです。都市圏には教室があるのに、地方だと教室が少なく、「STEAM教育に関心があっても学びの場が無い」という地域格差の問題を、オンラインのプログラムで解消したいという思いで、「STELABO Online」を立ち上げました。
オンラインのレッスンを受けるために、保護者が何か準備するものはありますか?
保護者の方にご用意をお願いしているのは、オンラインの講義(Zoomで実施)を受講するためのPC、タブレット、スマートフォンなどの端末です。一般的なプログラミング教室では、ロボットやブロックなどを揃える費用が別途必要になるケースがありますが、すべてのコースでブロックなどの教材、画用紙、乾電池などの備品を「STELABO Online」で用意して、ご自宅にお送りしています。保護者の方の教材購入の手間を無くしているのも特徴です。
オンラインだと、送迎の負担も無くなりますね。お子さんだけで、Zoomの接続やPCやスマホの操作は問題なくできるのでしょうか?
教室まで足を運ぶ手間が無いので、外出中に車の中で受講するお子さんもいて、時間を上手く使っているようです。
レッスンはZoomを使って行いますので、低学年のお子さんの場合は、保護者の方にPC操作やネットワーク接続のサポートをしてもらうケースもありますが、高学年になるとZoomの接続も自分でできるお子さんが増えてくるようです。
レッスンでは実際にどのような内容を学べるのでしょうか?
プログラムを書けるようになる、というのが最終目標ではなく、自分や他の誰かがプログラムを書くときに必要となる総合的な知識や思考能力を身に付けられるのが、このカリキュラムが目指しているものです。
例えば、「LEDライトをオレンジ色に光らせる」という命令を、あるプログラム上で実行したい場合、人によって考えるオレンジはさまざまなオレンジ色ですよね。プログラム上ではその曖昧さを無くすために、明確に色を決めますが、その時に、光の3原色(R:赤、G:緑、B:青)の仕組みを知っておくことで、自分が表示したいオレンジ色を指定することができるようになります。
他には、「ロボットを動かしたい」、と考えたときに、重力や摩擦などの自然現象や法則、歯車やモーターの仕組みなどを考慮したうえで、プログラムを作らないと、画面上やシミュレーター上ではうまく動いていたとしても実際のロボットでは思っていたとおりに動かないことがあります。 プログラムについてだけではなく、ものの仕組みや原理を学んでおくことが自分が本当にやりたいことが実現できると近道だと思います。
本格的ですね! ただ習い事を始める時にどうしても気になるのが、お子さんが続けられるかどうかですよね。
実際に始める前にお子さんがどのくらい興味を持つか、保護者の方も一緒にカリキュラムを見ることができる体験会を、ソフトバンクショップやオンラインで実施しています。
体験会では、教材を確認することもできますので、ぜひ気軽にお子さんと一緒に参加してみてください。
夏休みの自由研究をプログラミングで
STELABO Onlineでは、体験会で学んだことを夏休みの自由研究として活用してもらう取り組みも実施中とのことです。実施店舗や日程は、以下よりご確認ください。
オンラインのレッスンだと、授業についてこれてなかったり、課題をうまく進められていないお子さんに目が届きにくいのでは?
レッスンの流れの中で、うまく理解できていないなどフォローが必要な子どもには、講師が様子を見て声をかけてサポートしたり、Zoomのブレイクアウトルーム機能などを利用して、他の子どもが演習している間に待機しているサブ講師が個別に指導するなど、キャッチアップできるように配慮しています。
STEAM教育をオンラインで学べる教室もありますが、オンラインで講義内容を見るプログラムが一般的です。「STELABO Online」では、Zoomを使って双方向のコミュニケーションを取りながら講義を進める中で、オンラインならではのコミュニケーションのコツなども子どもたちに教えています。
また、レッスン12回ごとに講義内容をおさらいする復習レッスンを開催しています。また、受講前と受講後の論理的思考の成長度合いを確認するテストの導入も検討中です。
Pepperのプログラミングを通して、身近な問題から課題解決の思考やプロセスを身に付ける
「STELABO Online」の高学年向けのクラス(プロフェッショナルクラス)では、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を使ったレッスンを行うそうですね。
はい。高学年向けのクラスでは、プログラミングツールを使ってPepperにダンスや会話をさせるなど、おうちにいながらリモートで動かすためのプログラムを作成します。
プログラミングの基本を学ぶことはもちろんですが、Pepperを使って身近な問題を解決するレッスンでは、プログラミングを社会に役立てるための基礎となるより実践的な思考やプロセスを、Pepperを通じて体験することができます。
一気に難易度が上がったように思いますが、小学生でもプログラムを書けるものでしょうか?
プログラミングというと、一つずつコマンドを入力していくようなものを想像しますが、このコースではコマンドの入力が不要で、お子さんでも簡単に操作できる専用のアプリケーション(RoboBlocks)を使っています。プログラムの基本となる「順次・分岐・反復」が直感的に分かることが最大の特徴です。また、例えば、Pepperに繰り返し行わせたい動きを増やしたい時は、命令を出すためのブロックをコピーするだけで設定できます。
家で作ったプログラムで、離れたところにいるPepperをどうやって動かすのですか?
SB C&Sの本社内(東京・竹芝)にPepperと講師がいるスタジオがあります。出来上がったプログラムを子どもたちが順次送信すると、スタジオ内のPepperがそれに合わせた動きをします。レッスンの中で、実際にPepperを動かすためのプログラムを作るワークの時間を設けていますが、わからないところで止まってしまわないように、講師が子どもに声掛けをしてプログラムの仕上がり状況を適宜確認しています。
Pepperの頭をなでる、胸のボタンを押すなど、次の動作を開始するためにPepper本体に触る操作が必要な場合のみ、講師がPepperを触って、プログラムの動作確認をサポートしています。
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本クラスでは、ソフトバンクロボティクス株式会社の技術・監修協力のもと、同社が提供する「Pepper」やプログラミングツール「Robo Blocks」を使用しています。
スタジオでのPepperの動きは、どのように子どもたちが確認するのでしょう?
Zoomとカメラをうまく使って、リモートで受講している子どもたちにPepperの動きがわかるようにしています。
プログラミングを学んでも、実際に大きなロボットを自分で動かせる機会はあまり無いと思います。見たことがある、知っている存在のソフトバンクのPepperを自分が動かしている、という達成感は、知らないロボットを動かす時よりも大きいのではないでしょうか。
遠隔によるロボット操作は、少子高齢化など今後の社会課題解決に重要な役割を果たしていくと考えられます。小学生の頃からその仕組みに触れておくのは、将来、社会に出ていく上で貴重な経験になると思います。
ありがとうございました。
(掲載日:2021年8月12日)
文:ソフトバンクニュース編集部
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STELABO Onlineのレッスンがお近くのソフトバンクショップで体験できるほか、オンラインでの保護者説明会や体験会も開催されています。 公式サイトよりお申し込みが可能です。