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広大なキャベツ畑で生きる最新テクノロジー。北海道鹿追町の「スマート農業実証プロジェクト」

広大な農地で最新テクノロジーを駆使したキャベツ作り。北海道鹿追町の「スマート農業実証プロジェクト」

一面に広がるキャベツ畑。端の方は少しかすんで見えるほどの広さです! ここは北海道鹿追町。十勝平野の北西部に位置しており、大雪山系のふもとの冷涼な気候条件を生かして、春から秋にかけて寒冷地作物やキャベツなどが栽培されています。

現在、鹿追町では「スマート農業実証プロジェクト」が行われており、その一部にソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill」が利用されているんです。一体どのようなプロジェクトなのでしょうか?

畑も農機も全てが大きい! 日本屈指の大規模農業地帯

眺望

鹿追町がある十勝平野はとにかく大きい。高台から臨むと、見渡す限り畑が広がっていて、農家一戸当たりの耕地面積も全国平均の約20倍なのだそう。十勝平野は、日本屈指の大規模農業地帯なんです。

鹿追町へのアクセスは十勝地方の空の玄関口「とかち帯広空港」から車で1時間ほど。その道中には、馬横断の注意標識があったり、トラクターが公道を走っていたりと、大規模農業地帯ならではの風景が広がっています。

馬
公道

それにしても、このあたりのトラクターは……

トラクター

大きい!

広大な農地をカバーするために農機も非常に大きく、海外製のものも多いそうです。風景も、農機も、全てが大きい。同じ日本とは思えないダイナミックな場所なんです。

労働力不足の解消や効率化を目指す「スマート農業実証プロジェクト」

現在、日本では農業の労働力不足が叫ばれていますが、鹿追町も例外ではありません。近年は機械を稼働させるために必要な人員確保が難しくなり、収穫機が十分に稼働できず、農地面積の拡大が停滞しているそうです。

そこで農林水産省が公募していた「スマート農業実証プロジェクト」に応募。「加工キャベツを導入した大型畑作経営でのスマート農業技術(鳥獣害対策を含め)の低コストを目指したマシーネンリング体系の実証」というプロジェクトが採択されました。

農機

2020年4月から2022年3月までの2年間、労働力不足をカバーするためのスマート農機の導入、農機を計画的に運行して効率化するためのスケジュール管理(マシーネンリング)、そして農機導入による経済性の検証などが行われています。

プロジェクトを推進しているのは「鹿追町スマート農業実証コンソーシアム」。鹿追町農業協同組合が代表機関を務め、多数の企業や大学が参画しています。ソフトバンクはこのプロジェクトに協力する立場で、コンソーシアムに対して高精度測位サービス「ichimill」を提供しているんです。

※高精度測位サービス「ichimill」はこちらの記事で詳しく解説しています。

移植機・収穫機の走行軌跡の取得に「ichimill」を活用

位置情報の活用

「ichimill」の具体的な利用方法は、キャベツの移植機・収穫機の走行軌跡の取得です。農機に取り付けた「ichimill」で位置情報を取得し、キャベツを植えた場所、面積、時間などをデータとして保存します。

この高精度な位置情報を活用することで、人工衛星やドローンの撮影画像で生育状況を確認する際にピンポイントで場所を特定したり、農地ごとの収穫適期予測の精度を上げたり、自動収穫機や運搬機の走行ルートの設定に活用できたりするんです。一言で位置情報といってもいろいろな使い方があるんですね。

受信機

農機に設置されたichimill受信機。割と小型です

鹿追町のキャベツ収穫シーズンは9月後半。本来であれば、収穫の様子を見学できる現地検討会が実施される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響によりオンラインで収穫の様子が紹介されました。それでも、立派に育った大きなキャベツを自動収穫機が次々と刈り取っていく様子は圧巻でした。

収穫

オンラインで紹介された収穫の様子

コンソーシアムの代表を務める鹿追町農業協同組合の今田伸二さんは「キャベツ収穫機などは高価なので、効率的に利用するためには、いつ、どこで、どれくらいの量が収穫できるか把握する必要があり、ichimillの位置情報は非常に重要です。将来的には取得したデータを農協支援システムに組み入れ、リアルタイムで分析したり、別データと連携できるようにしていきたいですし、農家の方々が簡単に使えるようにカスタマイズしていきたいと考えています」と今後の展望を語ってくれました。

また、「これから先、日本では作物の精密な出荷予測システムが構築されていくでしょう。出荷予測のためには移植データが必要ですから、今後は移植機に位置情報が分かる機器をつけるのが当たり前になっていくかもしれませんね」ともお話しされていました。今後、農業でも「ichimill」のような位置情報サービスの活用がもっと進んでいくのかもしれませんね。

(掲載日:2021年11月4日)
文:ソフトバンクニュース編集部