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SDGs達成に向けた活動資金を調達する「サステナビリティボンド(債券)」 。その仕組みを解説します

サステナビリティボンド

サステナビリティ(持続可能性)という言葉を耳にすることが多くなり、企業や自治体がSDGs達成に取り組む中、地球環境や社会課題の解決に関連する活動が評価されるようになってきました。SDGs達成に関連する活動に充てる資金の調達のため、ソフトバンクは2022年1月末に初のサステナビリティボンド(債券)を発行します。

企業活動に必要な資金の調達手段としてボンド(債券)を発行

SDGs達成に向け、世界規模でさまざまな取り組みが行われています。環境問題、教育、エネルギー、食糧問題などの課題解決に、企業が事業活動を通じて貢献するためには、一定の資金を必要とします。資金調達の方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

資金調達には大きく分けて、借入の実行や債券(ボンド)の発行(=負債が増える)、株式を発行する(=資本が増える)の2つの方法があり、それぞれの方法において、調達のしやすさや返済などの面でメリット・デメリットがあります。

主な方法(例)

企業会計への影響

特徴

  • 借入の実行
  • 債券の発行
負債が増える
  • 返済の義務がある
  • 借入コスト(金利)を支払う
  • 一般的に借入コストは株式の発行を行う場合より低い
  • 株式の発行
資本が増える
  • 返済の義務が無い
  • 一般的に株主資本コストは借入コストより高い
  • 用途は企業側が設定できる

債券の発行と株式発行の特徴

 

債券の発行と株式発行の特徴

債券の発行と株式発行の特徴

「サステナビリティボンド」は「SDGs債」(債券)の1つ。注目される理由とは?

世界が脱炭素へと向かう中、サステナブルファイナンスと呼ばれる「グリーン」「ソーシャル」という名称を付けた持続可能な社会の実現にお金を流通させる動きを金融庁は推進しています。

「SDGs債」(債券)に分類される、企業や自治体が発行する「グリーンボンド」「ソーシャルボンド」「サステナビリティボンド」がその例です。

  内容
グリーンボンド グリーンプロジェクト(再生可能エネルギー事業、省エネ建築物の建設・改修、環境汚染の防止・管理など)に要する資金を調達するために発行する債券
ソーシャルボンド ソーシャルプロジェクト(社会的課題)に取り組む際、資金を調達するために発行される債券
サステナビリティボンド 調達資金の全てが、新規または既存の適格なグリーンプロジェクトおよびソーシャルプロジェクト双方への初期投資またはリファイナンスのみに充当される債券

近年、サステナブルファイナンスが拡大し「SDGs債」が発行されるようになった背景として、企業の環境・社会問題の解決への積極的な姿勢がアピールでき社会的な支持が得られることや、ESG投資に関心の高い投資家との関係構築が資金調達基盤の強化につながることなどが挙げられます。

ESG投資とは

企業の長期的な成長を測るための指標「ESG」は、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉です。

ESG・ESG投資とは? SDGsとの違いと企業の長期的な成長に不可欠な理由、成功事例などを専門家が解説

調達資金はすべて「つながらない」の解消に

ソフトバンクは、「質の高い社会ネットワークの構築」と「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」をSDGs達成の重要課題(マテリアリティ)に掲げています。 世界には、山岳部や離島、発展途上国など、いまだ通信ネットワークが整っていない場所や地域が多く存在し、世界の人口の約半分がインターネットに接続できないとされています。今回のサステナビリティボンド(HAPSボンド)の資金は、すべて成層圏から通信を提供する事業に充当されます。通信環境があるかないかによって生じる情報格差や教育格差(デジタルデバイド)を、HAPS(High Altitude PlatformStation)事業の推進により解消することが目的です。

(掲載日:2022年1月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部