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世界をつなげる、“HAPSエコシステム” の構築へ。HAPSアライアンス、初の公式イベントを開催

世界をつなげる、“HAPSエコシステム” の構築へ。HAPSアライアンス、初の公式イベントを開催

地球上のどこでも “つながる” 。そんな世界を目指して、地上約20キロメートルの上空で成層圏通信プラットフォームの構築に挑む業界団体、「HAPSアライアンス」。ソフトバンク株式会社とその子会社であるHAPSモバイル株式会社が創設メンバーとして参画しています。11月15日から2日間にわたって行われた「HAPSアライアンスサミット」では、初日にオンラインで公開会議を初めて開催。HAPSを活用した気候変動や山火事対策の最新事例が紹介されました。世界17カ国の登録者約270名から大勢が集まり、HAPSへの高まる期待が感じ取れるサミットとなったようです。

HAPSアライアンスについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

  • 本イベントは英語のみで開催されました

6Gの世界で、重要な役割を果たす通信インフラ

「世界をつなげる」というビジョンの下、HAPSエコシステムの構築を目指し、設立以来メンバーをどんどん拡大させているHAPSアライアンス。サミットの冒頭で、HAPSアライアンス代表のKen Riordan会長は、「HAPSアライアンスのメンバー企業は、航空機技術、通信技術、アンテナ機能などで大きな進歩を遂げている」と報告しました。また、HAPS技術は、地上、空、宇宙由来の通信インフラと一緒に活用される必要性があると指摘。

ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 本部長 湧川隆次は、基調講演で、ネットワークの観点からHAPSが果たす今後の役割について言及。「2030年の6Gの世界を見据えて、完全なデジタル化社会を実現するためには、ネットワークインフラを一変させる必要がある」「地上の基地局に加えて、HAPSや衛星もネットワークインフラの一部となり、産業や消費者、社会を支えていくことになるだろう」と語りました。

6Gの世界で、重要な役割を果たす通信インフラ

6Gネットワークのインフラとして重要な役割を果たすHAPS

“山火事” や “気候変動” 対策としても効果を期待

通信ネットワークへの活用だけでなく、他の分野でも活用が期待されてるHAPS。HAPS飛行船を製造するSceye社のCEO 兼 創業者であるMikkel Vestergaard Frandsen氏は、欧州宇宙機関(ESA)と共同で行うメタンガスのモニタリングについて「ESAの衛星では、7km×7kmのピクセル解像度でメタンガスの排出を監視しますが、成層圏では1m×1mの解像度で見ることが可能です。つまり、メタンガスの排出がガスパイプラインの漏れによるものなのか、その横に立っている牛のゲップによるものなのか、見分けることができるのです」と説明。

“山火事” や “気候変動” 対策としても効果を期待

成層圏を飛ぶSceye飛行船は、人工衛星よりも高い解像度でメタンガスの排出量を監視することが可能

北アメリカなどを中心に森林火災の発生が懸念される中、HAPSアライアンス各社は政府機関と連携して山火事の拡大防止にも取り組んでいます。山火事対策については、NASAと米国農務省森林局からのゲストが研究開発の取り組みについて説明。HAPSアライアンスメンバーであるエアバス社とレイブン エアロスター社は、それぞれ欧州と米国で活用している火災監視の事例を紹介しました。

“山火事” や “気候変動” 対策としても効果を期待

米国農務省森林局、NASA、エアバス社、レイブン エアロスター社の専門家で、山火事の軽減に対してHAPSがどのように役立つかを議論

HAPSアライアンスのメンバー限定で開催された2日目の内容は、参加者同士の交流やワークショップなど。成層圏のデータや分析結果をまとめたLoonコレクションの活用方法、成層圏以外の高度も視野に入れたマルチ高度戦略とコラボレーション、HAPS電波伝搬推定法などのトピックについて議論が交わされました。

今回のイベントの盛り上がりを受けて、HAPSアライアンスは今後もさらなる成長を目指し、HAPSエコシステムの発展を推進していきます。

本サミットに関心がある方はこちらの動画から視聴できます(英語版のみ)。

HAPS について、さらに詳しく知りたい方へ

HAPSアライアンスでは、HAPS事業の認知度向上を目指し、ホワイトペーパーを発行しています。初心者にもわかりやすい内容で成層圏事業を解説し、各社の実績も紹介しています。

世界をつなげる、HAPSアライアンス
世界をつなげる、HAPSアライアンス

HAPSアライアンスのミッションは、成層圏に位置する通信プラットフォーム(HAPS)を利用することで、デジタルデバイドを解消し、世界中のより多くの人、場所、モノに接続性をもたらすこと。HAPS技術を推進するために2020年に設立され、現在では通信、技術、航空、航空宇宙の分野で世界的に有名な企業が参加しています。

HAPSアライアンスの活動内容や参加方法については、公式ウェブサイト(英語版のみ)をご覧ください。

(掲載日:2021年12月8日)
文:ソフトバンクニュース編集部