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過去最大の赤字を真摯に反省。新規投資を厳選し守りに徹する-ソフトバンクグループ株式会社 2023年3月期 第1四半期決算説明会レポート

2022年8月8日、ソフトバンクグループ株式会社(以下「SBG」)の2023年3月期 第1四半期決算説明会が開催され、代表取締役 会長兼社長執行役員 孫正義が、連結業績について説明しました。

世界的な株式市場の低迷と急速な円安が影響

冒頭、孫は、徳川家康が三方ヶ原の戦いでの敗戦後に自戒のため描かせたとされれる「顰像(しかみぞう)」の肖像画を引き合いに出し、「この6カ月間で約5兆円の赤字を出したことをしっかりと反省し戒めとして覚えておきたい。今日はわれわれの実態がどういう状況であるかを反省をこめて語りたい」として、説明を始めました。

赤字

2022年4月から6月の四半期の純損失が約3.2兆円、その前の四半期が約2兆円の赤字となった要因について、世界的な株価下落と急速な円安の二つを挙げ、前者についてはソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下「SVF」)が保有する多数の銘柄の公正価値が下落したことなどを反映して評価損失を計上したことを説明。

ビジョンファンド

後者については、この3カ月間で急速に円安が進んだことにより、国内会社の外貨建ての純負債が円ベースで増加した影響で約8,200億円の為替差損が発生。SVFの約2.3兆円の評価損失と合計して約3.2兆円の赤字となり、「創業以来最大の赤字を出したことを真摯に反省すべきと考えている」と語りました。

新たな投資を抑え守りを固める

SBGが最も重要な経営指標とするNAV(時価純資産)は、ドル建てでは3月末から3カ月で約160億ドル減少したが、円建てでは為替影響によって約18.5兆と横ばいであったことに言及。また、ピークから見た増減についてはアリババの影響が大きな要因であり、アリババ以外の部分については「それなりのペースで推移している」としました。

時価純資産(NAV)

もう一つの重要指標であるLTV(純負債/保有株式)は14.5%に改善したと報告。平常時は25%未満、株式市場暴落などの異常時でも35%を上限として、平常時の目安ラインを守って運用していることと、2年分の社債償還資金を手元資金として保有する財務方針を堅持し、守りに徹することを強調しました。

LTV

手元流動資産

続いて、SVFについては運営コストの大幅削減を行う他、新規投資をさらに厳選して徹底的に抑え、既に投資している473社の価値向上に注力する当面の方針を明示。「新たに投資しなくてもここに金の卵がたくさんあるということを信じながら、そこをしっかりと育てていくということを今はやるべきだと考えている」と語りました。

ビジョンファンド

新たな自己株式の取得枠の設定を発表

SBGは2021年11月8日に決議された最大1兆円の自己株式取得枠※1のうち、2022年7月末までに7,048億円を取得していますが、この自己株式の取得期間が終了した後も、市場環境などを考慮しながら自己株式の取得を継続できるように、新たに最大4,000億円の自己株式取得枠を設定することを決定したと発表。※2

ビジョンファンド

自己株式の取得は、株主還元の充実を図るとともに、SBGの株式がNAVに比べてディスカウントされて取引されている状況を是正し、適正な株主価値の実現を図ることを目的としています。「財務方針をしっかりと遵守しながら、われわれの身の丈に合わせて4,000億円の自己株式の取得枠の設定を新たに今日発表させていただきたい」と語り、説明会を終了しました。

  • ※1
    ※1 財務方針・投資機会・NAVディスカウントなどを考慮のうえ実施。2021年11月9日から2022年11月8日までの1年以内に取得額が1兆円に達しない可能性もあります。
  • ※2
    財務方針・投資機会・NAVディスカウントなどを考慮のうえ実施。これらのバランス次第では、今回決議した取得期間内に自己株式の取得が4,000億円の上限に達しない可能性もあります。

関連プレスリリース

自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(2022年8月8日ソフトバンクグループ株式会社)

2023年3月期 第1四半期決算説明会

免責事項

(掲載日:2022年8月5日、更新日:2022年8月10日)
文:ソフトバンクニュース編集部