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顔や首のむくみ・たるみ・二重あごの原因はスマホ? 「スマホ二重あご」の原因と今からできる対策を専門家が解説

顔や首のむくみ・たるみ・二重あごの原因はスマホ? 「スマホ二重あご」の原因と今からできる対策を専門家が解説

現代人のマストアイテムとなったスマートフォン。便利な半面、使いすぎによってストレートネックと呼ばれる「首の病」をわずらう人も多いのだとか。さらに、ここ数年のマスク生活が影響し、首だけでなく顔まわりの筋肉もカチコチに…。こんな状態を放置していると、むくみやたるみによってフェイスラインがぼやける、「スマホ二重あご」を招いてしまうかもしれません。

そこで、ボディワーカーとして身体づくりや顔のシェイプアップ法などを発信している森拓郎さんに、スマホ二重あごの原因や対策のほか、自宅で簡単にできるセルフマッサージについても教えていただきました。

森 拓郎(もり・たくろう)さん

森 拓郎(もり・たくろう)さん

足元から顔までを美しくする「ボディワーカー」として、運動の枠だけにとらわれず、さまざまな角度からボディメイクを提案する運動指導者。2014年に『運動指導者が断言! ダイエットは運動1割、食事9割』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が15万部のベストセラーに。トレーニング至上主義であるフィットネス業界に一石を投じ、ダイエットは食事改善こそが最も重要であると発信している。

目次

肥満とは違う? スマホ二重あごの主な原因とセルフチェック

首の骨は本来、緩やかなS字を描いています。しかし、スマホやパソコンをうつむいた姿勢のまま見続けると、首の骨がまっすぐになり、頭が前に出る「ストレートネック」の原因に。ストレートネックになると、首が本来の位置より前に出て骨が縮まるため、首のシワが増えたり、顔まわりの筋肉がたるんだりしてしまいます。

森さん

首が前に出ていると頭の可動域が狭くなります。そのため、体ごと動かさなければ横を向けなかったり、横を向いたときにあごが下がったりします。

加えて、首が前に出ると、上あごは前へ、下あごは後ろに引っ張られ、本来は上あごにくっついているべき舌先が、下へと落ち込みます。これにより、下あごと舌を支える舌骨筋(ぜっこつきん)が衰え、フェイスラインのたるみにつながるのです。このように、肥満が原因ではない二重あごを、ここでは「スマホ二重あご」と呼びます。

肥満とは違う? スマホ二重あごの主な原因とセルフチェック

また、コロナ禍以降のマスク生活もスマホ二重あごを招く原因のひとつ。鼻呼吸だと息苦しいから、といって口呼吸にしたり、マスクで隠れるから、と口を開けっ放しにしたりしていませんか? これらが習慣化すると、やはり舌先が下に落ち込んでしまい、スマホ二重あごになる可能性が高くなります。

早めの自覚が肝心! スマホ二重あご因子チェックリスト

自分はスマホ二重あご予備軍かもしれないという人は、下のチェック表を確認してみましょう。3つ以上チェックが入る場合は、早めに対策をしたいところです。

早めの自覚が肝心! スマホ二重あご因子チェックリスト

スマホ二重あごが招く「あごの病」のリスク「顎(がく)関節症」

スマホ二重あごは上あごと下あごが違う方向に引っ張られてしまうことで発生します。これによってあごが緊張しやすくなると「顎関節症」を引き起こす可能性が高くなるといいます。顎関節症になると、あごがスムーズに開けられなくなるため、やわらかいものばかり食べることが増え、そしゃく回数が減ることも。そうすると、満腹中枢への指令が滞り、食欲が乱れて太りやすくなるといった悪循環に陥ってしまいます。

ほうれい線、たるみなどに注意! スマホ二重あごを予防する正しい姿勢と食生活

スマホ二重あごは、顔の老廃物を排出するリンパがふさがっていたり、舌の付け根にある「舌骨筋」が衰えていたりする兆候かもしれません。そのまま放置していると、気づいたときにはむくみだけでなく、ほうれい線や「梅干しあご」と呼ばれるシワができている可能性も…。スマホ二重あごを防ぐには、正しい姿勢を保つことと、「そしゃく」を意識した食生活を送ることが重要です。ここからは、正しい座り姿勢、立ち姿勢と、食事の際に注意すべきことについて、チェックしていきましょう。

①正しい立ち姿勢の作り方

まっすぐ立っているつもりでも、実はかかとやつま先に重心が偏っていて、バランスがとれていない人は多いそうです。正しい立ち姿勢を知るために、膝をほんの少し曲げて立ってみましょう。体の重心が下がり、足の裏全体が地面につく感覚がわかったら、そこからゆっくり膝を伸ばしていきます。骨盤・肋骨・首がまっすぐつながり、背骨がきれいに伸びた姿勢になります。

森さん

膝を伸ばしすぎると、重心がかかとや爪先に偏り、体のバランスが崩れる感覚を覚えるはず。膝がカクンと抜けるギリギリ手前が、あなたにとってのベストポジションです。

①正しい立ち姿勢の作り方

②正しい座り姿勢の作り方

椅子に座るときは、裏ももの付け根の部分に重心を置くようにして浅めに腰掛けます。座骨を少し前に倒し、尾てい骨を浮かすようなイメージで座ると、骨盤が立ちやすく背中が丸まりにくくなります。

森さん

体を鍛えている人でも、この姿勢を長時間キープし続けるのはつらいはず。15〜20分たったら背もたれに背中を預けてリクライニングしたり、立ち上がって休憩したりしましょう。

②正しい座り姿勢の作り方

正しいスマホ姿勢は?

椅子に座り、足の付け根に手を置いて、軽く胸を張ってみてください。すると、基本の正しい姿勢を簡単に作ることができます。スマホを使うときは、この姿勢のまま脇をしっかり締めて、画面を目線の高さに合わせるのが理想です。

他に気をつけたいのが、横になってスマホを見る姿勢。横向きに寝転がってスマホを長時間使うことで、片方の目の視線が鼻側に寄る「急性内斜視」になる人も増えているそうです。不自然な姿勢のため、当然ながら首にも負担がかかりますし、失明につながる恐れもあるのでやめましょう。(「スマホ首」の対策方法

正しいスマホ姿勢は?

食生活を見直し、よくかむことで、あごまわりのむくみを解消!

食べ物の選び方やそしゃくの仕方を変えるだけでも、フェイスラインのたるみやむくみ解消につながりやすくなると、森さんは提案しています。ここでは、スマホ二重あご予防に効果的な、そしゃく回数を確保するための食生活のポイントを3つご紹介します。

①加工・精製されていないものを食べる

あごの筋肉や内臓の消化機能を正しく保つポイントは、食材の形が見える食べ物を選び、それらをしっかりかむこと。例えば、りんごジュースを飲むよりも、りんごをむいて生のまま食べたほうが、そしゃくの回数が多くなりますし、余計な糖分を取らずに済みます。

②麺類や丼物よりも、小皿に分かれているメニューを選ぶ

ラーメンやうどんなどの麺類、牛丼などの丼物、パンやサンドイッチなど片手で食べられるものは、よくかまないうちに喉の奥に流し込んでしまいがちです。スマホを眺めながらの「ながら食べ」の原因にもつながってしまいます。おかずが小皿に分かれている定食を選ぶほうが、器を持ち替える手間がかかるため、自然とそしゃく回数が上がり、食べるスピードもゆっくりになります。

③水分はなるべく遠くに置く

食べるスピードが速い人の中には、食べ物をかみ切ってしまわないうちに、水や汁物で流し込んでしまう人も多くいます。食べ物を唾液でやわらかくしてから飲み込む癖をつけるためにも、水分は体を伸ばさなければ取れない位置に置いておきましょう。

③水分はなるべく遠くに置く

自宅やオフィスで簡単に! スマホ二重あごを解消するためのセルフケア

肥満が原因ではない二重あごは、耳の下から鎖骨付近までをつなぐ「胸鎖乳突筋」や「舌骨筋」などのマッサージやストレッチで、すっきり解消できるかも。最後に、自宅やオフィスでできる簡単な4種類のマッサージやストレッチをご紹介します。

①肩こり解消にも役立つ「胸鎖乳突筋のもみほぐし&引き伸ばしマッサージ」

胸鎖乳突筋とは、耳の下から鎖骨までつながっている筋肉のこと。顔を横に向けるとモコッと盛り上がるため、見つけやすいと思います。筋肉の位置がわかったら正面を向き、耳から鎖骨までつまむようにしてほぐしていきます。

A:胸鎖乳突筋のもみほぐしマッサージの手順

  1. 耳の下にある胸鎖乳突筋を親指と人さし指でつまみ、10回もみほぐす
  2. 耳の下から鎖骨へと移動しながら、同じようにもみほぐす。反対側も同様に行う

森さん

胸鎖乳突筋が凝っている人は、このマッサージをすると痛いはず。あまり圧をかけず、「痛気持ちいい」くらいの力でほぐしていきましょう。胸鎖乳突筋がやわらかくなると、フェイスラインのむくみがとれるだけでなく、肩こりも楽になりますよ。爪を伸ばしている人や立体的なネイルをしている人は、ツボ押し器具やマッサージガンなどのアイテムを活用するのもいいですね。

胸鎖乳突筋がやわらかくなったら、ストレッチをして伸ばしてあげましょう。最初のうちは、鏡の前で、耳から鎖骨までが垂直になっていることを確認しながら行うのがおすすめです。

B:胸鎖乳突筋の引き伸ばしマッサージの手順

  1. ほぐした胸鎖乳突筋側の鎖骨に手を当て、首を逆方向に倒す
  2. そのまま斜め上を向くように頭を傾ける
  3. 胸鎖乳突筋が伸びきったところで5〜6回ゆっくり鼻呼吸をする。反対側も同様に行う

肩こり解消にも役立つ「胸鎖乳突筋の揉みほぐし&引き伸ばしマッサージ」

②フェイスラインが引き締まる!?「舌骨筋のぐりぐりマッサージ」

続いて、あごのエラの内側の骨をなぞるようにして、舌骨筋をほぐしていきましょう。特に、あごのエラに近い部分が硬くなりやすいため、重点的にマッサージすると効果的です。

舌骨筋のぐりぐりマッサージの手順

  1. 舌骨筋の辺りに親指を当てる
  2. 骨を上に押し上げるようにして、あご先から耳の下まで往復しながら30秒もみほぐす。反対側も同様に行う

指を差し込む位置は、複数アングルを記載した以下イラストを参考にしてください。

舌骨筋のぐりぐりマッサージの手順

③電車・オフィスなど気づいたときにできる「舌を上あごに密着トレーニング」

次に、舌のトレーニングです。繰り返し行うことで、落ち込んだ舌骨筋を上に引き上げることができます。

舌を上あごに密着トレーニングの手順

  1. 舌の表面を上あごのスポット(上あごのドーム状になった部分)にぺたっとつける
  2. そのまま口を閉じて10秒キープ。3セット繰り返す

森さん

電車の中やオフィスで気軽にできるトレーニングです。毎日気づいたときに行うことで、フェイスラインがかなりすっきりしてきますよ。

舌を上あごに密着トレーニングの手順

④気づいたときにこっそり…舌を前に突き出すだけトレーニング

「舌を前に突き出す」だけでも、舌骨筋を引き上げるには十分なトレーニングになります。マスクの下でこっそり続けられますね。

舌を前に突き出すだけトレーニングの手順

  1. 舌を前に突き出す
  2. 突き出した舌を上下左右に動かす

森さん

複雑なことをしなくても、とにかく「舌を前に出す」。これさえ意識しておけば、自然と効果は現れてきます。

舌を前に突き出すだけトレーニングの手順

正しい姿勢と日々の心がけで、あごを美しく健やかに保とう

二重あごやほうれい線などの兆候が見えると、紫外線対策や保湿など、肌表面のケアに力を入れようとしてしまいがち。しかし、顔まわりのエイジングサインは、正しい姿勢や食生活、マッサージでも改善できるのです。今回ご紹介した生活習慣やストレッチなどを実践して、すっきりとしたフェイスラインを目指しましょう。

不調の原因は別にあるかも……「スマホ首」や「ストレートネック」についても確認しよう

あなたは「スマホ首」や「ストレートネック」になってない? 専門家が教える正しい姿勢&解消ストレッチ方法

首や肩の凝りがほぐれない、頭が重い感じがする、眼の痛みやかすみで集中できない……。悩ましい不調の原因は、首が正常な位置より前に出てしまっている「スマホ首」かもしれません。スマホ首の原因や予防法、改善につながる簡単なストレッチを紹介しています。

あなたは「スマホ首」や「ストレートネック」になってない? 専門家が教える正しい姿勢&解消ストレッチ方法

(掲載日:2022年11月11日)
文:佐藤由衣
編集:エクスライト
イラスト:POP CORN STUDIO