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山道でも電波がつながる安心感を届けたい。社会の課題解決に現場で挑む理由|SoftBank SDGs Actions #14

山奥でも電波がつながる。入社2年目の社員が語る、通信インフラに取り組む理由|SoftBank SDGs Actions #14

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。14回目は、日本各地の5Gエリア化を目指して行われる電波対策の中でも、富山県で有名な観光地としてにぎわう立山黒部アルペンルートにあるターミナル「立山室堂」での取り組みを、入社2年目の担当者が語ってくれました。

今回、話を聞いた人

稲 航洋(いな・こうよう)

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット エリアネットワーク本部 北陸ネットワーク技術部 エリア技術課
稲 航洋(いな・こうよう)

毎年多くの登山者や観光客が訪れ、遭難者も後を絶たない

毎年多くの登山者や観光客が訪れ、遭難者も後を絶たない

黒部ダムや雪の大谷などで有名な立山黒部アルペンルートは、富山県で1、2を争うほど人気の観光地で、標高は2,000mを超えますが、登山者だけでなく年間100万人ほどの観光客が訪れます。富山地方鉄道の立山駅から特別に通行を許可されたツアー専用バスが出ているため観光客もアクセスしやすく、特にゴールデンウイーク前から秋頃にかけて訪れる人が増えます。上級者はもちろんですが、初心者でもアクセスできる山岳観光ルートがあることが特徴で、ここに訪れる人たちが最初に立ち寄る立山室堂というターミナルで、5Gのエリア化を行いました。

初心者でも登山を楽しめるといっても、そこは山ですので遭難者が出ることが多々あるため、富山県や山岳救助隊から通信環境を整えてほしいという要望があり、2Gの時代から北陸エリアの中でも優先して基地局の整備が行われてきました。冬の間でも遭難者の救助や設備維持のために常駐している人がいます。雪の大谷付近でビデオ通話をする海外からの観光客や、天気が変わりやすい登山には欠かせない雨雲レーダーを確認する登山客などにとって、山中でも電波は欠かせません。5Gエリアの構築を計画している段階で、立山室堂は真っ先に候補に上がりました。

私も学生時代に観光で行ったことがありますが、黒部ダムまでの道中にあるので、ぶらぶら散歩をしたことを覚えています。立山室堂の山小屋に掲載されている1日ごとの遭難者数を初めて見たときは少し怖いなと感じましたね。未来の自分が仕事で立山室堂に来ることになるとは当時は思いもしませんでしたが、電波が届いて通っていることの必要性を強く感じたことを覚えていますので、それだけ思い入れがある場所に、今度は重要な責務を負っていると感じながらやってきました。

毎年多くの登山者や観光客が訪れ、遭難者も後を絶たない

基地局に命を吹き込む。基地局の建設から電波を発射するまで

基地局に命を吹き込む。基地局の建設から電波を発射するまで

私が所属するエリアネットワーク本部の北陸ネットワーク技術部エリア技術課は、10人ほどのメンバーで北陸エリアの基地局の建設業務を担当しています。その中でも私は、基地局の建設業務の最終工程である電波を発射するインテグレーション業務や電波発射に必要な免許管理を担当しています。インテグレーション業務とは、現地調査や基地局の建設、データの送受信に必要な伝送路の確保といった一連のフローの最後に、電波を発射するためのデータを投入し、電波発射を行う作業です。インテグレーションを行っていない基地局はただの構造物でしかないので、命を吹き込むような作業だと思っています。

私が入社してすぐの2021年6月に立山室堂での取り組みを開始して、1年ほどかけて5Gエリア化を行いました。立山室堂のある場所は大きい構造物を建てることについて環境省からの許可が必要だったり、山小屋では使える電力に制限があるなど、難しい条件の中での建設でした。5Gの周波数帯によって通信速度は変わってきますが、立山室堂には最も速度が出る29GHz帯のアンテナを付けているので、速度はかなり速くなっていると思います。電波を発射した後に現地で電波強度の測定をしたところ、実際に約2.8Gbpsの速度を計測できたのでかなりの爆速でしたね。測定時に当初想定していた速度と異なる結果が出たら、品質改善のために基地局の設定を調整するといった作業も行います。29GHz帯は電波の直進性が強いため、障害物があると届きにくい傾向がありますが、あの辺りは山で開けているため、29GHz帯の基地局を設置できました。写真や動画のアップロードもかなり速いと思いますね。

立山室堂のターミナルや雪の大谷付近で電波測定中

立山室堂のターミナルや雪の大谷付近で電波測定中

電波を発射した2022年6月は、ちょうど観光客も増えていく時期だったので、少しでも早くお客さまに5Gを提供したいという思いでした。一番苦労したのは、伝送装置と無線機の間をつなぐ伝送路が確保できていないためにデータを投入できないという事態が発生したとき、その区間を調べて原因究明するために、施工会社の担当者や社内の別の部署の社員を現地や局舎に派遣するといった調整でした。さまざまな方が基地局の建設に携わる中で、最後の電波発射に立ち会い、「今日は何局の電波を送出した」と毎日報告することへの責任感と誇らしさを感じて業務に取り組んでいます。

誰かの役に立ちたい。通信インフラに感じた可能性

大学院時代から元々通信分野には関わっていて、大学の人工衛星開発プロジェクトの中で衛星の通信機能の構築を担当し、大学屋上の地上局と衛星間でデータ通信を行うシステム開発に取り組んでいました。ただ、開発していた人工衛星のミッションは重力波の観測であり、学術的な目的でした。ソフトバンクに入社したのは、人々の生活を支えるインフラである通信分野で、学術的な目的ではなく、すぐに誰かの役に立つことに関わりたいという思いがあったからです。今の業務は、電波発射を行った瞬間から携帯電話やスマートフォンを使えるようになる人がいると思うと頑張ろうと思えます。

観光客や遭難者も多いとされる立山黒部アルペンルートに、5Gが開通することは大きな意味があると思っています。もし、ドローンを活用して遭難者の捜索・救助を行うサービスが今後社会実装されるとしても、サービスを支える土台として欠かせないのは高速・大容量の通信ができる5Gです。5Gならではのサービスが生まれたときの基盤として、いつでもシステムやサービスを提供できる状態にしておくことが私たち通信事業者の使命だと感じています。立山室堂の5Gエリア化を第一歩として、北陸の他の地域でも5Gのエリア拡大に取り組んでいきたいです。

誰かの役に立ちたい。通信インフラに感じた可能性

「つながることが当たり前」の維持を目指して

ソフトバンクのお客さまの中には、東京でも富山でも5Gが「つながって当たり前」と感じる方がいると思っています。私たちは、その「当たり前」が当たり前であるように維持をしていかなければならない。1日でも早く、1局でも多く、お客さまに電波を届けて1人でも多くの人に喜んでいただきたいと思っています。地域の技術部として、地域のお客さまの声に耳を傾け、場所に関わらず同じサービスを提供することを目指して頑張っていきたいです。

SDGsは目標とするゴールや指標も幅広く、壮大な印象を受けますが、個人ができる小さな積み重ねが大事なのかなと感じています。私が日々携わる基地局の建設の仕事で目指すことは、ソフトバンクが掲げるSDGsのコンセプト「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」にもあるように、5Gエリアの拡大を通して、街中でも山中でも同じように、より多くの人が平等にソフトバンクの5Gサービスを使える世界です。立山室堂の5Gエリア化を通して、立山黒部アルペンルートを訪れた経験を誰か大切な人に共有したいと思う観光客や登山者の方もそうですし、遭難者の救助に当たる山岳救助隊の方々、毎年多くの人を迎え入れる立山室堂のターミナルの施設維持のために常駐する方々にとって、少しでも生活の支えになれたらうれしいですね。

「つながることが当たり前」の維持を目指して

(掲載日:2022年12月6日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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今回紹介した内容は、「質の高い社会ネットワークの構築」に全力を尽くすことで、SDGsの目標「9、11、13、16」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。

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