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スマホを使う姿勢がシワの原因に!? 医師が教える首や顔の「スマホジワ」対策と予防法

スマホを使う姿勢がシワの原因に!? 医師が教える首や顔の「スマホジワ」対策と予防法

首まわりの横ジワや眉間などのシワ、気になっていませんか? もしかしたらそれ「スマホジワ」かもしれません。スマホジワは悪い姿勢でスマホを見続けることでできるもの。20代で現れる人もおり、老けた印象を与えてしまいます。そんなスマホジワの効果的な対策法や、すでにできてしまったシワの改善法を、「カオキン体操」で知られる医師の奥田逸子さんに教えていただきました!

奥田逸子(おくだ・いつこ)さん

話を聞いた人

加齢画像研究所株式会社 所長・医師

奥田逸子(おくだ・いつこ)さん

川崎医科大学卒業後、虎の門病院を経て国際医療福祉大学三田病院 放射線診断センター准教授に。専門の画像解剖学の観点から、自らの顔を実験台に「いかに顔の造形を老けずに維持できるか」を研究し続け、自分でできる美顔体操を考案・普及している。著書に『すぐ実感!「マイナス10歳」カオキン体操(青志社)』『顔のたるみ しわ 老け 顔太り 自力で一掃!名医が教える最新1分美顔術(文響社)』がある。

気になる首や顔まわりのシワ。もしかしたら「スマホジワ」かも?

現代の私たちの生活にとって、スマホは手放せないツールです。そんなスマホを使っているうちに忍び寄ってくる「スマホジワ」とは一体どのようなものなのでしょうか?

奥田さん 「『スマホジワ』とは、悪い姿勢でスマホを使い続けることによってできるシワの総称です。特にできやすいのが、ほうれい線、首の横ジワ、額から眉間のシワ。スマホを見ているときって、下を向いて無表情になりがちですよね。顔に重力がかかり、表情筋を動かさない状態が、たるみを増長させ、首の横ジワやほうれい線を深くさせてしまいます。また、加齢などによって視力が落ちてくると、焦点を合わせようと目の周りについ力が入るので、額や眉間のシワもできやすくなります」

首や顔まわりにできるスマホジワ一覧

首や顔まわりにできるスマホジワ一覧

では、具体的にどのような姿勢でスマホを見ると、スマホジワの原因になるのでしょうか?

奥田さん 「スマホジワができやすい姿勢や習慣として、大きく次の3点が挙げられます。

  1. うつむいてスマホを見続ける
  2. ソファなどに浅く腰掛けて、もたれながらスマホを見る
  3. 長時間スマホを凝視する

②は体全体を斜めにして首を前に出すことで、体に力を入れることなくスマホを見ることができます。楽なのでついやりがちですが、この姿勢は特にスマホジワができやすくなりますよ」

気になる首や顔まわりのシワ。もしかしたら「スマホジワ」かも?

奥田さんによるとスマホジワの一番の原因は重力なのだそう。この3つの姿勢に共通しているのも、顔まわりにかかる重力の強さです。

奥田さん 「うつむいて首を前に出す姿勢は、顔の皮膚が下に引っ張られて、たるみを増長させてしまいます。さらに、首の横にある胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)、あご下の顎二腹筋(がくにふくきん)などが使われずに凝り固まって、スマホジワを悪化させる原因となってしまいます」

そもそも、首や背中の骨はゆるやかに湾曲しているのが自然な状態。ソファにもたれる姿勢や、うつむいてスマホを凝視する姿勢は、自然な湾曲を保持する筋肉があまり使われないため、ストレートネックや猫背になってしまう可能性もあります。さらに、スマホを長時間見ていると目が疲れて側頭部が凝り固まり、頭痛や肩こりにつながったりと悪循環だらけなんだとか。

奥田さん 「スマホジワを防ぐには、まずは姿勢を正すことが大切です。同じ姿勢を続けるのであれば、ある程度時間が経ったら体を動かしましょう。肩をぐるぐる回すだけでも大丈夫。猫背を治すと血行が良くなって肩こりも軽減しますし、いいことだらけですよ」

1日1分で1カ月後には効果を実感? スキマ時間にすぐできる簡単スマホジワ対策法

先ほど紹介した悪い姿勢に心当たりがあってドキッとした人も、すでにスマホジワに悩む人もご安心ください。実は、スマホジワはちょっとした体操で改善できるものなんです! 今回、奥田さんに手軽にできるスマホジワの対策法や改善法として、「カオキン体操」を教えていただきました。

「カオキン体操」とは、その名の通り顔の筋肉を鍛える体操のこと。考案者の奥田さんによると、1日1分程度行うだけで、3〜4週間後には効果を実感できる方が多いそうです。最初は筋肉痛を起こしてしまうかもしれないので、1つの動きを5秒キープすることを目標に1セット5回行い、慣れてきたらキープの時間を10秒に延ばしていきましょう!

①「ウーイー体操」で首まわりのシワを撃退!

まずは首のシワ対策に「ウーイー体操」をご紹介。この体操では、首の前側から鎖骨まで広がる広頚筋(こうけいきん)を鍛え、うつむいてスマホを見ることで深くなってしまう首の横ジワにアプローチ。年齢が出やすい首元を美しく鍛えることができます。

①「ウーイー体操」で首まわりのシワを撃退!

  1. 正面を向いて背筋を伸ばし、顔を上に向け、口をとがらせて「ウー」と言ながら5秒キープ
  2. 顔を正面に戻し、口を閉じる。口角は少し上げる
  3. 口を横に広げて「イー」と言いながら5秒キープ

奥田さん 「『ウーイー体操』を行う際は、首筋を出すように意識しましょう。『ウー』であご下から首の前側、『イー』で首の横が鍛えられます。二重あごの改善やフェイスラインのシェイプアップにも効果的ですよ」

②おでこや眉間のシワには「シワ消しプッシュ」

額に横ジワができるのは、目を開けるときにまぶたではなく、額の筋肉を使っているから。加齢によってまぶたが下がってくると、さらにスマホを一生懸命見ようとして、ますます額に力が入ってしまいます。「シワ消しプッシュ」で、まぶたの力だけで目を開ける練習をして、まぶたの本来の筋力を取り戻していきましょう。

②おでこや眉間のシワには「シワ消しプッシュ」

  1. 眉間のあたりを指で押さえて、おでことまゆが動かないことを確認する
  2. おでことまゆが動かないように、まぶたを閉じる
  3. おでことまゆが動かないように、まぶたの力だけで目を開ける

奥田さん 「まぶたの力だけで目を開ける練習をすることで、目の周りの眼輪筋(がんりんきん)や、まぶたの中の眼瞼挙筋(がんけんきょきん)がしっかり使えるようになります。額がぎゅっと上に上がることもなくなるので、額の横ジワの防止・解消にぴったりの体操です」

③ほうれい線が薄くなる! 「ニパニパ体操」

スマホを見るときは、誰でも無表情で下を向きがち。表情筋を使わずに、重力のままに皮膚がたるむと、ほうれい線も深くなってしまいます。この「ニパニパ体操」では、口角を上げる大頬骨筋(だいきょうこつきん)を鍛え、ほうれい線を改善することができます。

③ほうれい線が薄くなる! 「ニパニパ体操」

  1. 口を閉じ、口角を少し上げる
  2. 口角を上げ、ニッと笑う。頬の筋肉が固くなっているのを確認しながら5秒キープ
  3. パッと力を抜き口を閉じる

奥田さん 「この体操をすると頬がきゅっと持ち上がります。『ニッ』としたときに、頬を触ってみると、中で大頬骨筋がプリッと動いていたら効いている証拠。『ニッ』で力を入れ、『パッ』で力を抜いてください。私はデスクワーク中、1人で密かにやっています(笑)」

④目の下のたるみに効果的! 「目パッチリ体操」

まばたきを忘れてスマホを凝視していると、目の周りの筋肉が弱くなり、重力によって押し出された脂肪によって目の下にたるみができてしまうことも。「目パッチリ体操」で凝り固まった筋肉をほぐして、たるみを改善し、はっきりした目元を目指しましょう!

④目の下のたるみに効果的! 「目パッチリ体操」

  1. 口を閉じ、口角を少し上げる
  2. 力を入れてぎゅっと目を閉じて、10秒キープ
  3. 力を抜いて、パッと目を開ける

奥田さん 「『目パッチリ体操』をすることで、眼輪筋が鍛えられ、たるみの原因となる目の周りの脂肪の膨らみを抑えてくれます。スマホを見すぎて目が疲れたときにもおススメです」

  • 「カオキン体操」は、奥田さんが自身の研究をもとに開発したオリジナルの体操です。

今日から実践! スマホジワを作らないためのルーティン3選

スマホジワを作らないためには、普段のちょっとした意識や一手間も大切です。「カオキン体操」と一緒に行うことで、スマホジワの改善をいち早く実感することができる3つの方法を教えてもらいました。

①スマホを見るときは姿勢をよくする

繰り返しになりますが、スマホジワを改善する第一歩は姿勢を正すこと! 椅子に座るときは骨盤を立て、頭頂部とお尻が一直線になるような意識を持ちましょう。なるべくうつむかないように、スマホを目線の高さに持ってくることも重要です。

奥田さん 「スマホスタンドなどを利用して、画面が目の高さに来るように工夫してみてください。そうすると良い姿勢を保ったままスマホを見ることができます。立っている場合は、スマホを持っている側の肘の下に反対側の手を挟んだり、肘をバッグに引っ掛けて高さを調整したりすると、楽に目線の高さを調整できますよ」

②首まわりの保湿をしっかりと

乾燥はスマホジワを含むシワ全般の大きな原因です。乾燥によってできた小ジワが定着すると、徐々にシワが深くなってしまうこともあるので、顔のスキンケアと同様に、首やあご下の保湿も忘れずに行いましょう。

奥田さん 「特にあご下の保湿は忘れがちなので、手をチューリップのように開いてあごの骨に沿わせて、しっかり保湿しましょう。どんな化粧水を使ってもOKですが、ポイントはとにかくたっぷり使うこと。化粧水の量が少ないと、摩擦によって小ジワやシミが増えてしまう可能性があるので、ケチらずにたくさんつけてくださいね。重ねづけしたり、パックを使ったりするのも効果的です。また、紫外線によって皮膚のコラーゲンが減少し肌のたるみにつながるため、日焼け止めも顔だけでなく首まで塗るのがおススメです」

③こまめなマッサージ

凝り固まった筋肉をほぐすためにセルフマッサージを行うことも効果的。スキンケアと同様に、クリームや乳液をたっぷり使って摩擦を起こさないように注意しながら、痛気持ちいいくらいの力加減で行うのがポイントです。

奥田さん 「握りこぶしを作ったときにできる指の第一関節から第二関節までの面で、顔の筋肉に適度な圧を加えましょう。特におススメなのは、頬骨の下のくぼみをほぐすこと。また、こめかみあたりの側頭筋(そくとうきん)をほぐすのも効果的です。目の疲れにも効きますよ。『カオキン体操』と併用することで、スマホジワ改善の効果がより早く出ると思います」

③こまめなマッサージ

「約3〜4週間『カオキン体操』を続けるだけで顔の筋肉が鍛えられ、効果を感じられることが多いです。実践前後で自撮りをして見比べると、変化が分かりやすくモチベーションが上がりますよ」と奥田さん。スマホジワができるような姿勢を続けていると、シワだけでなくストレートネックや肩こりなど別の症状が出てくる可能性もあります。正しい姿勢を意識して、セルフケアを行いながら、スマホジワを防いでみてくださいね。

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(掲載日:2023年8月29日)
イラスト:POP CORN STUDIO
文:飯嶋藍子
編集:エクスライト