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公道での実証実験を開始。JR西日本とソフトバンクが取り組む次世代モビリティ「自動運転・隊列走行BRT」は次のフェーズへ

公道での実証実験を開始。JR西日本とソフトバンクが取り組む次世代モビリティ「自動運転・隊列走行BRT」は次のフェーズへ

西日本旅客鉄道株式会社(以下「JR 西日本」)とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、自動運転と隊列走行技術を用いたBRTの実証実験を、2021年10月から滋賀県野洲市の専用テストコースで実施してきました。

2023年9月15日に実施された実証実験結果に関する記者会見と、専用テストコースでの試乗会の様子をご紹介します。

  • BRT(Bus Rapid Transit):連節バスや、バス専用道・バスレーン、運行管理システムなどを組み合わせることで、輸送力・定時性・速達性の向上が期待できる高機能なバスシステムのこと

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

記者会見に登壇した西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役副社長兼執行役員 鉄道本部長 中村圭二郎氏は、今回のプロジェクトのビジョンについて、まちづくりと連携した持続可能な地域交通の実現に向け、運転手の人材不足解消やフラットでシームレスな鉄道網の実現などを挙げ、これらを「社会に価値提供することを目指して、自動運転や隊列走行の技術の実証などをスタートさせた」と冒頭に話しました。

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

滋賀県野洲市に所在するJR西日本の車両基地内に設けた専用テストコースでの実証において、3台のバスで延べ14,000kmの試験走行を重ねたことに触れ、「単体の要素技術要素だけではなく、それらを結合させたり、イレギュラーを想定した総合的な実証ができたことが大きな意義であった」と実証について評価しました。

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

「ソフトバンクをはじめ、先進モビリティ、BOLDLY、日本信号の各社と実証を進めながら、関係省庁とも協議を重ねる中で、隊列走行における後続車のレベル4による自動運転を実現させるプロセスについても整理が進んだ」と実証における成果から得た今後の道筋を示しました。

ソフトバンク株式会社の代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一は「高齢化が進み人口減少が深刻化している日本では、マイクロモビリティからマルチモーダルな仕組みづくりが必要」とし、地域交通の課題感に触れました。

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

「BRTはコスト面でも非常に取り入れやすい未来の大型輸送システム。社会実装を目指して今回の実証実験に取り組んできた。単なる自動運転車の走行ではなく、各社の要素技術を組み合わせ、運行管理や信号システムの開発を行った」とコメント。

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

続いて、自動運転・隊列走行を安定させる通信の冗長化について、5Gと光通信を組み合わせ、車両の間隔を15メートル (プラスマイナス5メートル)に保つことに成功したと述べました。

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

また、高精度な走行維持・制御に必要な測位について、衛星と日本全国に約3,300カ所あるソフトバンクの独自基準点を使い、誤差数センチメートルの測位を実現したと説明。「実証の成果はBRTの社会実装への第一歩。実用化に向けた実証は完了と捉えている」と総括しました。

遠隔監視や信号との連携、隊列走行する車両同士の通信など、要素技術の検証が完了

公道における連節バスでの自動運転の実証実験は国内初

中村氏は、野洲市の専用テストコースでの成果を基に、BRTを社会実装していくための次のステップとして、広島県東広島市の公道で行う実証計画について説明。2023年11月より開始される実証の目的について「課題の検証・洗い出しに加え、東広島市民をはじめとした地域の人々にBRTや自動運転・隊列走行など新技術に対し、関心を持ってもらう機会にしたい」と述べました。

公道における連節バスでの自動運転の実証実験は国内初

公道での実証実験は、JR山陽線西条駅と広島大学東広島キャンパスを結ぶ片道約5kmの県道・市道の一部区間での走行を予定しています。公道において、バスの自動運転車両を隊列走行させる実証実験は日本で初の取り組みです。今後、2020年代半ばの社会実装に向け、さらなる実証が進められていきます。

公道における連節バスでの自動運転の実証実験は国内初

多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?

多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?

記者会見同日、滋賀県野洲市の専用テストコースで、遠隔監視および信号連携を含む、連節バスをはじめとした車種が異なる3台のバスの自動運転および隊列走行などの乗車体験が行われました。連節バス、大型バス、小型バスが走るコースは、総延長は約1.1km、直線は最長約600m、角度がついたカーブ(2カ所)などで構成されています。一般道とBRTの専用道が交差することを想定した信号機や踏切制御の動きも確認できるようになっていました。

多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?
多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?
多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?
多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?

車体には、隊列走行や自動運転の制御に必要となるLiDARセンサー、GNSSアンテナ、カメラ、磁気センサー、RFIDリーダーなどが取り付けられています。

多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?

先頭の連節バスの自動運転はレベル3、後続の2台はレベル4です。

  • 自動運転のレベル
    レベル3:システムが自動で運転操作を行う。何かあればドライバーが運転を代わる。
    レベル4:システムが自動で全ての運転操作を行う。ドライバーの乗車は必須ではない。

車両の位置は、GNSS(衛星測位システム)とソフトバンクが独自に設置した基準点を利用したRTK-GNSS技術に加え、路面に設置した磁気マーカーも利用して測定し、安全な運行を実現しているそうです。また、走行中の車両間の通信は、「V2N2V(Vehicle to Network to Vehicle)」、「V2V(ミリ波、Vehicle to Vehicle)」、「光無線通信」の複数の方式で冗長化されています。

コースに取り付けられた磁気マーカーをバス床下のセンサーで読み取る

コースに取り付けられた磁気マーカーをバス床下のセンサーで読み取る

停車時に縁石ぎりぎりで自動で停車

停車時は縁石ぎりぎりに自動で停車

実際に乗車してみると、乗り心地はとても快適でした。専用テストコースでは、3種類のバスを隊列走行する場合の最高時速は40km、1台のみで走行する場合の最高時速50km。走行時の車間距離は10〜20m、停車時は1〜3mをキープするよう制御されています。

カーブを曲がるときは先頭の車は、後続の車がカーブを曲がり終えるまでスピードを落として、車間距離が自動で制御されます。運転手は同乗していますが、ハンドルには一切触れることはありませんでした。

多数のセンサー、通信装置で3種類のバスを自動で隊列走行。車両の乗り心地は…?

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(掲載日:2023年9月27日)
文:ソフトバンクニュース編集部