「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。21回目は、子育てに関する情報配信や発達課題の早期発見をサポートし、子育て支援を行うウェブアプリ「デジタルこども手帳『てくてく』」です。
話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 デジタルトランスフォーメーション本部
髙橋 育未(たかはし・いくみ)
デジタルこども手帳「てくてく」ビジネスオーナー
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社に出向し、ヘルスケア領域で事業企画を担当
ソフトバンク株式会社 CSR本部 多様性・情報化推進課
佐藤 里美(さとう・さとみ)
デジタルこども手帳「てくてく」における発達アセスメントを担当
子どもの困りごとをICTで解消する「魔法のプロジェクト」ディレクター
忙しい子育て世代の相談相手。子どもの発育を一緒に見守るウェブアプリ
高橋 「デジタルこども手帳『てくてく』は、小さなお子さんがいる保護者の方と自治体の架け橋となるスマホ用のウェブアプリです。昔に比べて、三世代で子どもを育てる家族やご近所付き合いが減り、子育てに関わる『第三者』が少なくなってきています。人に相談しづらい環境では、助けが必要なときでも一人でどうにかしようと抱え込んでしまう方が多くいらっしゃいます。
多くの自治体はそうした課題に着目し、子育てで困ったとき頼りになる情報の提供や相談会・交流会を開催していますが、日々忙しく過ごす中で子育てに関する情報を探す余裕がない方も多くいます。子育て世代の情報格差を解消し、保護者の方を孤立化させないことを目指して、『てくてく』ではお住まいの地域で発信される子育ての情報を分かりやすく集約しています。
自治体にとっても、せっかく用意した支援が情報伝達の壁によって利用者が増えないのはもったいないですし、予算を割いても使われないと支援自体がなくなってしまう可能性もある。従来のチラシや紙媒体に加えて『てくてく』というITツールを使うことで、子育て層が日々接するスマホに最新情報が集約されるため、自治体からも利用者からも喜ばれています。
人とのつながりの希薄化に加えて、情報過多も育児不安の要因になると言われています。どれが正しいのか分からない。自分の子を他人の子どもと比べてしまう。顔見知りには言いづらい。そもそも誰に相談したらいいか分からないということもあります。『てくてく』は子どもの成長記録を残すデジタル版の母子手帳としての機能からスタートしましたが、子育て世代や自治体の声に耳を傾けながら、情報発信機能など価値を追加しているところです。妊娠期や子育て期間の不安なときに相談できる地域システムをより強化するために、オンラインで24時間健康医療相談ができるヘルスケアアプリ『HELPO(ヘルポ)』とあわせて導入している自治体もあります」
佐藤 「他にも、発達課題を早期発見するサポートをしています。文章を読むときに行を目で追うのが苦手な小学校中学年くらいのお子さんに接することがありました。もっと早い段階で、眼球が滑らかに動いていないと気づくことができていたら、なぜ今まで気づかれなかったのだろうと残念に思いました。いつ頃に何ができるようになるのかに目を向けていただき保護者の方が簡単に発達状態のアセスメントができる『できたね!チェック』という機能も搭載しています」
きっかけは「子どもへの虐待をなくしたい」という思い
佐藤 「元々、企画段階では『子どもへの虐待をなくしたい』というコンセプトがありました。子どもの困りごとをICTで解消する『魔法のプロジェクト』に私は携わっていますが、もう少し早い段階から介入できていれば、違う結果になったのではないかと、幼少期から発達や成長を見守っていきたいという思いがありました。
学校で給食の出ない夏休みに子どもが痩せてしまうなど、虐待の背景には子育てのしづらさやご家庭での環境が関係していることがあります。そこも含めて『てくてく』でフォローできるようにしていきたい。子どもが1時間座って発達の検査を受けるのはなかなか難しいですが、このアセスメントは保護者が普段から見ている子どもの姿から判断することができます。
もちろん子どもの発育は一人一人異なり、育つ環境や家族構成などの影響もありますが、『周りの子どもと比べてうちの子は少し違うかもしれない』と感じたとき、見過ごさずに発達状態のアセスメントを行うことで、課題があれば早期に検知し、適切な介入につなげたいと思っています」
子どもを育てることで、未来を創っていく
佐藤 「子どもを育てることは未来を創ることです。少子高齢化や人手不足に対して、ソフトバンクでテクノロジーの力を使えば人間の努力だけでは成し遂げられないことができるようになると信じています。
例えば、SDGsの目標5『ジェンダー平等を実現しよう』は子育てがしやすい環境が整えば仕事との両立もしやすくなるはずです。目標17『パートナーシップで目標を達成しよう』でいうと、社内外の療育や医療の知見を保有する学術機関などと連携したからこそ『できたね!チェック』の搭載を実現できたように、社内外のパートナーと連携することで、さらによい効果が見込めると思っています。今後は親御さんのメンタルヘルスのケアも視野に、力を入れていきたいです」
高橋 「SDGsへの貢献というとおこがましいですが、子育てや街づくり、健康を育むことは人々の生活の基盤です。健康でいることを当たり前に、その土台の上で個人が活躍できる社会づくりに貢献していきたい。『てくてく』は、全国のソフトバンクのCSR部門の皆さんや、ヘルスケアテクノロジーズの多くの部署、そしてグループ会社など本当に多くの方が関わり作り上げています。皆さん社会に貢献したいという意志を持っている方が多いので、日々の業務がどうSDGsにつながっているのか伝えたり、話し合う機会を増やしていく必要があると思います。身近だけどお節介すぎない、いい距離感を保って子育て世代を支援する存在を目指して、今後もデジタルこども手帳『てくてく』の普及に取り組んでいきたいです」
SoftBank SDGs Actions
「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。
(掲載日:2023年10月24日)
文:ソフトバンクニュース編集部
ソフトバンクのサステナビリティ
今回紹介した内容は、「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」することで、SDGsの目標「1、3、4、8、9、10、11」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。