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NTT法の見直しによる国益・国民生活に影響を及ぼす懸念がある3つのポイントについて説明会を開催

NTT法の在り方についての説明会

2023年10月31日、NTT法を巡る議論に関して、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社および楽天モバイル株式会社による合同記者説明が開催され、日本電信電話株式会社(以下「NTT」)が10月19日に発表した内容について、国益・国民生活への影響の観点から、3社が特に重要な項目と考える3点を中心に、論点整理と意見表明が行われました。

登壇者

    • ソフトバンク株式会社 執行役員 渉外本部 本部長 松井敏彦
    • KDDI株式会社 執行役員 渉外・広報本部長 岸田隆司
    • 楽天モバイル株式会社 渉外統括本部長 鴻池庸一郎

NTTの主張についての見解を表明

NTT法のあり方については現在、自由民主党の「『日本電信電話株式会社等に関する法律』の在り方に関するプロジェクトチーム」総務省情報通信審議会の「通信政策特別委員会」において、さまざまな議論が行われています。

3社は去る10月19日に、「NTT法」の廃止も含めた議論が進みつつあるNTT法の見直しについて、日本が目指すべき国民生活向上や経済活性化などにつながる情報通信インフラの将来像の実現に向けて、より慎重な議論を求める要望書を全国180者の事業者や自治体と連名で自由民主党および総務大臣に提出しました。

今回行われた記者説明会では、 NTTが同じく10月19日に発表した「NTT法のあり方についての当社の考え」(以下「NTTの考え」)におけるNTTの主張の中に、国益・国民生活に影響を及ぼす懸念がある項目があるとして、それらの項目についての正しい理解を求める論点整理と説明が行われたものです。

NTT法の見直しによって国益・国民生活への重要な影響が懸念される3つの項目

KDDIの岸田氏が3社を代表して、「NTTの考え」についての見解や日本の通信事業の構造などについて説明を行いました。

NTT法のあり方についての議論の中で、国益・国民生活への影響の観点から、特に重要な項目としたのは「公正競争」「ユニバーサルサービス」「外資規制」の3項目。これらの項目が保たれなくなった場合は、料金の高止まりやサービスの停滞、地方などにおけるサービス維持の懸念、わが国の基盤である通信インフラの安全保障が損なわれる懸念があると指摘しました。

一方、「NTTの考え」には、これらの3項目について現行の法制度の説明などに関する事実関係の言及不足や、誤認を招く懸念がある記述が見受けられるとして、3項目についての正確な認識を求めて解説しました。

公正競争について岸田氏は、「われわれ3社はNTTの通信設備の貸し出しルールを規定している電気通信事業法と、NTTの組織(あり方)を規定しているNTT法の両輪があって公正競争が機能していると認識している。一方で、NTTの説明では、電気通信事業法の設備の貸し出しルールについては言及しているが、NTT法の組織の規定についてはこれまで触れられていない」と懸念を示し、重要なポイントが抜け落ちていると指摘。

また、ユニバーサルサービスについては、不採算エリアを含む日本全国に電話サービスを提供することを義務付ける「あまねく義務」がNTT法に規定されているが、現状の電気通信事業法には不採算等に伴う撤退を禁じる規定がないことから、仮にNTTが主張するような電気通信事業法への統合に伴うNTT法の廃止が行われた場合、サービス撤退が自由になることで、地方などの条件不利地域におけるサービス維持ができなくなる懸念があるとしました。

3点目の外資規制については、NTTが電電公社から承継した、わが国の通信における基幹インフラである「特別な資産」を保有している点に言及し、「NTTの株式の多数が外国人・外国政府に所有されると、わが国の基盤である通信インフラの安全保障を損なう懸念がある。これを守るには、NTT法による外資規制が最も有効であると考えている」と、NTTが主張する外為法による外資規制では海外からの投資促進政策を考えたときにむしろ逆行するとの見解を示しました。

こうした内容について、「NTTの考え」により誤認を招く懸念がある状況の下で、自由民主党のプロジェクトチームでNTT法のあり方の議論が進められ、結果として、国益・国民生活を損ねることがあってはならないと訴えました。

NTTは国民財産により構築された「特別な資産」を有し、通信基盤をあまねく整備・維持できる唯一無二の存在

通信の歴史や通信事業の基本的な構造についても説明が行われ、日本の通信がかつて独占だった時代には東京・大阪間の通話料金が昼間3分400円だったものが、通信の自由化に伴いNTTが発足し、民間事業者も多数参入したことによって競争が促進され、通信料金の低廉化や通信技術の進歩につながり、国民への利益の還元・国民生活の向上に寄与したと説明。

また、NTT以外の通信事業者がNTTが有する特別な資産の上で通信事業を行っているという構造について、「全国に通信基盤が張り巡らされている。30年の年月、25兆円もの費用をかけて国民財産で構築されたこの特別な資産を国から承継したのはNTTのみであって、これは唯一無二の存在だということになる」と、NTTが日本の重要な公共資産を預かっている立場であることを強調しました。

今後、自由民主党のプロジェクトチームは今年11月頃をめどにNTT法のあり方に関する提言を取りまとめ政府に申し入れをする予定であり、総務省の通信政策特別委員会は、2024年夏ごろをめどに答申を行うスケジュールとなっています。

関連プレスリリースなど

(掲載日:2023年11月1日)
文:ソフトバンクニュース編集部