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グループ企業の “横の糸” を紡ぐ。各社の強みをかけ合わせてシナジーを創出

グループ企業の “横の糸” を紡ぐ。各社の強みをかけ合わせてシナジーを創出

ソフトバンク株式会社には、ソフトバンクのグループ企業間の “横の糸” を紡(つむ)ぐことでシナジー(相乗効果)を生み出すことをミッションとしているシナジードライブセンターという部署があります。

ソフトバンクグループで「さとふる」などを展開するSBプレイヤーズ株式会社は、ITで地域社会に活力を生み出すことをミッションとして、地域のニーズを捉えたソリューションを提供しています。

両者は “横の糸” を活用し、SBプレイヤーズが取り組む「未来へつなぐ農業プロジェクト」の一環で、農業高校の生徒たちに「農業×ICT」の思考を刺激する取り組みを行いました。どのような内容だったのか、担当者に話を聞きました。

本郷 寛(ほんごう・ひろし)

ソフトバンク株式会社 シナジードライブセンター グループシナジー推進課

本郷 寛(ほんごう・ひろし)

ソフトバンクのグループ企業それぞれの強みをつないで相乗効果を高める活動をしている

滝石 茉莉子(たきいし・まりこ)さん

SBプレイヤーズ株式会社 経営企画部 ESG経営グループ グループマネージャー

滝石 茉莉子(たきいし・まりこ)さん

ふるさと納税「さとふる」や公営競技「オッズ・パーク」などを展開するSBプレイヤーズでサステナビリティに関する活動を推進している

グループの “横の糸” を紡ぎ、グループ全体でシナジーを創出

まず、本郷さんが所属されているシナジードライブセンターはどのような部署なのか教えてください。

グループの “横の糸” を紡ぎ、グループ全体でシナジーを創出

本郷 「シナジードライブセンターは、ソフトバンクのグループ各社間でのシナジーを推進している部署です。設立の経緯は、当時の宮内会長による “横の糸” を紡ぐという思いを実現するプロジェクトとして2021年7月に立ち上がり、現在3年目に突入しています。

約60社・グループが集まるコミュニティを作っていて、メンバーは各社のCEOの他、アンバサダーと呼ばれる各社の中でシナジーを推進する担当者がいます。アンバサダーは会社全体をCEOと一緒に見渡しているようなポジションの方たちで、その方たちを含めると200人程度のコミュニティになります。設立当時から定期的にCEO会議やアンバサダー会議というものを開催して、情報共有、シナジーの提案・合意形成、シナジーの具現化への活動といったことを行っています」

今までどのぐらいのシナジーが生まれたのでしょうか。

本郷 「ざっと100件程度のシナジーが生まれています。一番多いのは、事業シナジーであり、各社の事業の中で連携することで、お互いの商材をお互いのチャネルで販売し合ったり、お互いのサービスを組み合わせた新たなソリューションの開発をする、といったような収益拡大のシナジーです。一方でコスト削減のシナジーとして、仕入調達をグループ共同で行うことや、各社の商材をグループ企業内で利用することによる外部へのキャッシュアウト抑制の取り組みも積極的に推進しています。

また、事業シナジー以外でも、各社が持つ情報やノウハウを共有し合いグループ内で活用するということも中長期的に見ると重要なシナジーだと認識しておりまして、最近ですとCEO会議の中で、生成AIの最新技術動向に関するテーマについて詳しい企業に事例を発表していただいたり、今後の新規事業の提案をしていただいたりしています」

さまざまな角度からグループシナジーを促進しています

さまざまな角度からグループシナジーを促進しています

100件とは、かなり多いですね。

本郷 「CEO会議での合意形成をより現場で具現化していくために、アンバサダーが会議の後に必ず集まって動かしていくという活動をしています。われわれは会議体の事務局運営の他、新たに出来上がった分科会やシナジー事案の推進、各社間の連携、現場の巻き込みなどを行い、シナジーを加速させています」

地域活性化に特化し、地域とのシナジーを生み出す企業グループ

今回はSBプレイヤーズとの事例についてご紹介いただきますが、滝石さんの担当業務を教えていただけますか。

地域活性化に特化し、地域とのシナジーを生み出す企業グループ

滝石さん 「私はSBプレイヤーズのESGやサステナビリティに関することを担当しています。主な取り組みは、一つは人権や環境といった会社としての基盤をしっかりと守っていくところ。もう一つは、地域貢献というSBプレイヤーズの経営理念に関わるところです。

SBプレイヤーズのミッションである地域活性化は、サステナビリティと密接な関係にあります。社会の持続可能性を考える上で、地域の活性化は欠かせません。それは、環境課題などのいわゆる社会課題だけでなく、経済面での持続可能性も必要だと考えています。

地域の方々の思いや技術を尊重しながら、SBプレイヤーズの専門分野をかけ合わせることでシナジーを生み、一緒に何かを実現していくというところをいかに広げていくかがいま私が担当していることです」

SBプレイヤーズは地域社会の活性化を事業ドメインとして、「さとふる」や「オッズ・パーク」などを展開していますね。

滝石さん 「SBプレイヤーズは『ITで地域社会に活力を』を経営理念に掲げています。ふるさと納税事業の『さとふる』、公営競技事業の『オッズ・パーク』、農業事業の『たねまき』『たねまき常総』も、最先端のテクノロジーによって利便性や専⾨性を追求してサービスを提供し、地域社会に貢献していくことを目指しています。

自治体や行政向けのサービス・ソリューションを提供している企業はたくさんあると思いますけれども、ITという軸で地域活性化に特化して事業展開をしている企業は珍しいのではないかと思います」

SBプレイヤーズ株式会社

SBプレイヤーズは「ITで地域社会に活力を」を企業理念に掲げ、ソフトバンクグループで行政ソリューションに特化した事業を推進しています。

SBプレイヤーズグループ

https://www.softbankplayers.co.jp/

SBプレイヤーズとのシナジーはどのようなものでしょうか。

本郷 「これまでにも身近なところでは、ソフトバンクショップのスマホ教室でふるさと納税の『さとふる』をご案内するといったものがありました。SBプレイヤーズはアンバサダーの方が非常に熱心で、ちょっと頼みづらいようなことも無理を言い合えるような関係になっています。それで今回は『未来へつなぐ農業プロジェクト』で、高校生がAIについて勉強したりスマートビルを体感できるような場を設けてほしいと相談がありました」

地域とともに農業の新たな可能性を見いだす「未来へつなぐ農業プロジェクト」

SBプレイヤーズが取り組んでいる「未来へつなぐ農業プロジェクト」の概要を教えていただけますか。

地域と共に農業の新たな可能性を見出す「未来へつなぐ農業プロジェクト」

滝石さん 「私たちのステークホルダーである自治体や地域というのは一次産業が盛んで、その中でもお米、稲作というのは大きなウエイトを占める部分です。しかし、農業には担い手不足や農業収入の減少、収益性という社会課題、また、一見、自然に優しいと思われがちですが、温室効果ガスを発生させているという環境課題もあるんです。

これらを解決できるような取り組みが何かできないかと考えたとき、お米全体の需要が減っていることに着目し、お米の新しい需要を生み出そうと考えたのがこの『未来へつなぐ農業プロジェクト』でした。

具体的には、食べることを目的として生産されたお米ではない、 非食用米をプラスチック原料として活用していく実証実験です。栃木県那須塩原市内の農家の方に栽培をお手伝いいただきながら、地元の那須拓陽高等学校の生徒さんと一緒になって、田植えから収穫、製品化まで、どんな形で実現できるのかということの検証を行う取り組みです」

地域と共に農業の新たな可能性を見出す「未来へつなぐ農業プロジェクト」

非食用米を使ったバイオマスプラスチック製品化のプロジェクトなのですね。

滝石さん 「石油由来のプラスチック原料とお米を混ぜて使うことによって、燃焼時のCO2が削減されるというものです。市場では、テイクアウト用のスプーンやフォーク、レジ袋や自治体指定のゴミ袋など、さまざまなバイオマスプラスチック製品がすでに利活用されております。現在、われわれもこういった製品の製作段階に入りました。

プロジェクトに参加しているのは農業経営科の生徒たちで、多くは実家が農家です。将来の地域農業を担っていく若者たちですから、農業をとりまく社会課題や環境課題に対して、『自分たちが新しい農業を作っていくんだ』という視点で参加してもらい、一緒に何かを生み出していけたらと思っています」

ソフトバンク竹芝本社で高校生がAIや最新テクノロジーを体験

このプロジェクトの中でソフトバンクでも研修をすることになったのはなぜでしょう。

滝石さん 「プロジェクトでは、カリキュラムを学校と一緒に作らせてもらっています。田植えや栽培をする以外に、ドローンを飛ばして生育状況を見るとか、センサーを使って水位や水温を確認するとか、学校で行わなかったテクノロジーの活用を体験してもらっています。そうした中で、先生からのご依頼でした。

テクノロジーの先端を行ってるのはやはり東京。しかもソフトバンクは、自分たちが知ってる身近な会社でありながら最先端のものを生み出している。その会社に行って、『ここで何かが生まれているんだ』と、生徒たちに刺激を受けてもらいたい。自分たちも頑張ればいろんなことを生み出していけるんだと感じてもらいたいとのご依頼がありまして、シナジードライブセンターの本郷さんを通して、ソフトバンクにAIの講義と会社見学ツアーご相談させていただきました」

どのような講義と見学ツアーだったのでしょうか。

ソフトバンク竹芝本社で高校生がAIや最新テクノロジーを体験

本郷 「講義は、生徒たちがAIについて基本的な理解をし、今後の自身の生活や夢の実現に役立ててもらうということをゴールにした説明中心のものでした。見学ツアーは、本社がある竹芝のスマートビルについての紹介や、一部体験を取り入れた内容でした」

AIを活用した需要予測サービスの説明を聞く生徒たち

AIを活用した需要予測サービスの説明を聞く生徒たち

ソフトバンク竹芝本社で高校生がAIや最新テクノロジーを体験

生徒さんの反応はいかがでしたか。

滝石さん 「少し緊張した様子でしたが、『農業も危険な作業が多いのでAIを使って危険を取り除いていけると良い』『農業機械の自動運転や安全装置を普及させるためにAIがとても生かせそうだなと思った』といった意見や感想がありました」

ソフトバンクのグループ全体で創り出すシナジーで社会のDX推進に貢献したい

本郷 「『LINEやPayPayがソフトバンクのグループだと知らなかった』というコメントもありましたが、逆にソフトバンクが、自分たちの身近でさまざまな新しいことを行っていて、自分たちの生活が変わっていっているということを感じてもらえたようです。オフィス見学ツアーについても、ITや最先端技術を肌で感じることで、農業×ICTの思考を少しでも刺激することにお役に立てたのではないかと思います。

シナジードライブセンターとしては、今回のようなAIのテーマの他にもフィンテックやデジタルマーケティングなど、さまざまな領域での新しい活動を事務局としてサポートしています。グループ企業間はもとより、グループ企業とステークホルダーの皆さんをつなぎ、社会のDXをご支援していくことに貢献できればと思っています」

関連情報

(掲載日:2024年4月2日)
文:ソフトバンクニュース編集部