月経や出産、不妊、更年期など、年齢とともに変化する女性特有の身体の悩み。いきいきと仕事に励み、キャリアアップを目指したいと思っていても、約7割の女性が「職場でも健康や体に関する十分な支援がないと感じている」という調査結果※も。
そんな女性特有の健康課題に寄り添う一つの手段として、ソフトバンクの子会社であるヘルスケアテクノロジーズ株式会社より「HELPO actio+(ヘルポ アクティオプラス)」が登場。女性のキャリアを健康面でサポートするサービスについて聞いてみました。
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出典:「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(経済産業省)
ソフトバンク株式会社 法人統括 ヘルスケア事業統括部
長谷川 良江(はせがわ・よしえ)
女性活躍支援サービス「actio+」のビジネスオーナー。ヘルスケアテクノロジーズ株式会社に出向し、ヘルスケア領域で事業企画を担当。また、ソフトバンク法人統括内の女性活躍推進の役割も担うコミュニティ「Terra's」(テラス)のメンバーも兼任。
目次
年齢と共に変化する女性特有の健康課題
女性特有の健康課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
アンケート結果の傾向やHELPOの健康相談に寄せられる悩みを分析すると、年齢によって悩みが異なります。20代では月経困難症や生理の量、PMS関係の悩みが多く、30代に入ってくると妊活や不妊の問い合わせが増えてくるのと並行して、女性の病気で健康診断に引っかかる人が出てくる。40代になってくると、更年期のお悩みが多くなります。
働き盛りの年代だと、健康と仕事のバランスの取り方が難しいですよね。
年代に応じた健康課題に加え、そこにキャリアが絡んでくると、皆さんいろいろと大変な思いをしていらっしゃいますね。20代に多い悩みである月経やPMSのつらさは生産性の低下につながる一方、更年期はずっともやもやと体調が良くない状態が続くことから、仕事への自信がなくなってきたり、このまま続けられる気がしないという回答が多かったです。子どもに関しては、いつ産むかという問題があります。早めに産んだ方が良いと聞くけど、早く産んで復職できるのか、肩身の狭さを感じないかなど。逆に、ある程度仕事もできるようになってからとなると、今度は高齢出産や不妊の可能性が心配という声もあります。
国としても健康経営を推進する中、女性特有の健康課題が問題になっているとか。
経済産業省が2024年の2月に公開したレポートによると、女性特有の健康課題のうち、規模が大きく経済損失が短期で発生すると考えられる月経、不妊、更年期、婦人科系のがんによる経済損失は、年間3.4兆円になるそうです。
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各数値の四捨五入の関係で、必ずしも合計が総和と一致しない
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乳がん・子宮がん・卵巣がん
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妊娠 (不妊)/出産は、“女性のみの課題” ではなく、“男女双方に関係する課題だが、女性に負担がかかりやすい課題” 。特に不妊は男性側の身体にも原因がある
ケースが一定比率を占める。ただし今回経済損失を算出する際には、女性側への身体的負担・就労への影響が大きいことから、女性側の就労への影響を算出 - ※
出典:「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(経済産業省)を加工して作成
3.4兆円ですか。女性が感じる働きづらさというだけではなく、社会全体としてみたときのインパクトが大きいですね。
働きたくても働けないという状態は、女性自身のやりがいや幸福度に直結するだけではなく、企業からみても生産性の低下や、離職につながる恐れがありますよね。
国や企業側がこの問題に真摯(しんし)に向き合い、生産性を向上できれば、人を増やさずとも業務量を増やすことができる。また、働く側の立場としても、理解を示してもらえ、大事にしてもらえていると思えると、会社への貢献意欲や帰属意識が高まると思います。
だからこそ、今「フェムテック」が注目されているということなのでしょうか。
フェムテックの一つとして女性のキャリアを健康面でサポートするサービス「HELPO actio+」を企業に提案していますが、肌感としてはフェムテックへの理解はまだまだなのかなと思っています。サービスの説明を初めてする際も「必要ない」という企業はほとんどないのですが、社内で話しづらいというのが実情のようです。自分で話せない、どのように話していいかわからない、未知の世界で単語を発しただけでセクハラじゃないかと。女性男性に関係なく、意識改革が必要なんでしょうね。
身体の変化・困りごと。まずはチャットで相談「HELPO actio+」
「HELPO actio+」は、スマホから健康医療相談をチャットでできるHELPOアプリ内のサービスの一つ。女性特有の体の悩みを調べたり、相談できるコンテンツです。
女性の悩みを幅広く網羅
「HELPO actio+」にはどんな特長がありますか。
定期的に来る体調の悪さが、女性特有の症状(PMSや女性の更年期症状など)から来るものなのか、なかなか自分では判断が難しいこともありますよね。「HELPO actio+」では、女性が気になる月経PMS、妊娠・不妊、女性の病気、更年期などのカテゴリを幅広く網羅しているので、不調であるという状況や漠然としたお悩みから相談していただくことができます。
気軽にチャットで健康相談ができる
ただ自分で調べるのも限界があると思うんです。
そうですね。セミナーやコンテンツ、セルフチェックで事前に知識を得ることも大切ですが、何か気になる症状があれば行動に移し、改善しないと意味がないので、婦人科を受診する前にスマホからチャットで健康相談ができるようになっています。物理的に足を運び対面で診断を受ける病院よりも、まずはチャットで相談できる方がハードルは低く、行動しやすいはずです。どの診療科を受診した方が良いかや、この症状は病院に行った方が良いか、という内容も相談ができます。この点が『HELPO actio+』の大きな特長で、実際の行動に移せるように働きかけています。
女性を取り巻く環境にも働きかけを
環境の変化も必要になってきますね。
性別特有の症状に関しては、異性の理解も必要になってきますので、(男性)管理職向けのセミナーも準備しています。(男性)管理職だけではなく、パートナーにもご覧いただけるような内容になっていますので、直接言いづらいことでも、まずは予備知識として受講いただけると良いのではないかなと思います。
女性の声をさらに反映し、男性にも活用されるサービスへ
ソフトバンクの女性社員の声もサービスに反映されていると伺いました。
ソフトバンク 法人事括のダイバーシティ&インクルージョン・女性活躍推進の役割も担うコミュニティ「Terra's」では、部門や役職を横断して関心があるテーマで活動を行っています。この活動と連携して、フェムテックアイテムの体験談などを「HELPO actio+」で紹介しています。
また、「Terra's」メンバーの一人が卵子凍結をしたという自分の体験談を共有してくれるということで、卵子凍結のセミナーを開催しました。社員の実際の体験がコンテンツ化された一例ですね。
今後もサービスは拡充されていくのでしょうか。
妊活・不妊と更年期のニーズが高いので、プログラムを検討しています。妊活/不妊プログラムは現在準備中で、妊活から不妊治療に入った方が良いかというモヤモヤとした時期に、ヘルスケアテクノロジーズの医療スタッフが寄り添うような内容を考えています。
また、不妊や更年期は性別に関係ない話なんです。男性の更年期も、鬱(うつ)っぽくなるとか、怒りっぽくなるとか、なんとなくやる気がなくなるとか。症状としては女性と大きな違いがないと分かると、相互理解がしやすくなっていくと思うので、男性にも利用していただけるサービスを検討したいと考えています。
どの方も働くうえで健康はベースとなります。特定の人たちだけを対象としたサービスを導入するということではなく、健康で過ごせるためのサービスを提供する中の一つとして、性差に特化したサービスを展開していきたいと思っています。
(掲載日:2024年5月24日)
文:ソフトバンクニュース編集部
女性活躍推進健康支援サービス「HELPO actio+」
企業の女性活躍推進を健康面で支援するサービス「HELPO actio+」は、「月経・PMS」「更年期」「妊活・不妊」に加え、表面化しづらい「女性の病気」もサポート。女性社員やその家族に対する企業の健康支援を目指しています。