SNSボタン
記事分割(js記載用)

あのとき弟を捜してくれた消防士という職業に 2014年12月 東日本大震災 被災地の今

ソフトバンクグループでは、公益財団法人 東日本大震災復興支援財団の「『あの日』を忘れない宣言」の趣旨に賛同し、皆さまと共に「チャリティホワイト」など、さまざまな支援を行ってきました。

「被災地の今」では、支援先である非営利団体からの活動レポートや被災地の現状を紹介しています。

震災を乗り越え、あのとき弟を捜してくれた消防士という職業に

宮城県石巻市

震災以降、子どもたちの支援を行っている公益財団法人 東日本大震災復興支援財団の活動報告会が、2014年11月9日に開催されました。報告会では、東日本大震災で被災した高校生に給付される奨学金制度「まなべる基金」の支援を受けていた鈴木 利英さんから、震災当時から現在に至るまでの思いが語られました。鈴木さんは東日本大震災で被災し、震災当時は中学3年生でしたが、現在は消防士採用試験に合格し、現場での消防に関する基本的な知識や機材の扱い方などを学ぶ消防学校で、日々厳しい訓練に励んでいます。

震災を乗り越え、あのとき弟を捜してくれた消防士という職業に

「2011年3月11日。その日は、僕の通う中学校の卒業式でした。突然大きな揺れを感じて、家や家族のことが心配になりました。今思えば、そのまま逃げていたら、僕と弟の二人とも助かっていたかもしれません。
僕は当時小学生だった弟を学校まで迎えに行き、自宅に戻って大切にしていた野球道具をかばんに詰め込んでから、知人の車で避難しました。途中、津波が押し寄せ、僕と弟は引き離されるように流されました。僕は民家に流れ着いて無事でしたが、弟の姿は見当たりませんでした。

『あのとき、僕が弟の手を離さなかったら』

しばらくして、弟は変わり果てた姿で見つかりました。母と会えたのは震災から2日後でした。母に会ってどんな言葉をかけたらよいか分かりませんでした。

高校卒業後に大学へ進学するか就職するか迷いましたが、夢は既に決まっていました。それは消防士になることでした。震災当時、弟を懸命に捜してくれた消防士の姿を見て、自分も消防士になると心に決めていたのです。なりたいものが決まっているなら早い方がいい。そう決意し、野球部引退後に猛勉強を始めました。試験勉強に必要な参考書や専門書の購入に、東日本大震災復興支援財団の『まなべる基金』の奨学金を利用しました。その結果、消防士採用試験に無事合格することができました。支援してくれる方がいたからこそ、僕は消防士になるという目標をかなえることができたと思っています。
消防士の訓練では体力的に大変なことが多いですが、辛いと思ったことはありません。むしろ一つ一つの課題を乗り越えるたびに、弟を捜しに行きたかったあの日にできなかったことが、できるようになっていると実感できてうれしくなります。

東日本大震災を経験した自分が今、消防士として皆さんに伝えたいことがあります。それは災害時には何より命を優先してほしい、とにかく生きてほしいということです。僕はこれから消防士として一人でも多くの命を救えるよう精進していきたいと思います。」

「まなべる基金」はこれからも「学べる幸せ」を届け続けていきます。皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

震災を乗り越え、あのとき弟を捜してくれた消防士という職業に

参考情報:高校生対象給付型奨学金「まなべる基金」(公益財団法人 東日本大震災復興支援財団)

撮影日:2014年11月

「みなさん館」の芋煮会から「300回のありがとう」

宮城県本吉郡南三陸町

2014年11月2日、宮城県本吉郡南三陸町の歌津にある直売所「みなさん館」で第2回芋煮会が開催されました。昨年の第1回に続き、第2回のテーマは「300回のありがとう」です。300名の方に来ていただき、南三陸町のおいしい食材を通じて、「たくさんの応援や支援をありがとうございました」とお礼したいという意味が込められています。

芋煮会を企画したのは、小野 政道さん(農業・「小野花匠園」)、高橋 直哉さん(漁業・「金比羅丸」)、高橋 芳喜さん(漁業・「高芳丸」)の3名です。第1回、第2回芋煮会を主催したメンバーの一人である小野さんは「震災後、全国の方からたくさんの力をいただきました。その方々に自分たちができることで感謝の気持ちを伝えたいと思ったのが開催に至ったきっかけです。さらに芋煮会を通じて南三陸町のおいしい食材も知っていただきたいです。」と意気込みを語ってくださいました。

芋煮会は、この企画に賛同した地元の漁師や農家の方など、多くの方々の協力を得て実現することができました。当日は芋煮鍋のほか、焼きホタテ、焼きがき、焼きシュウリガイ、サケのちゃんちゃん焼き、おこわが振る舞われました。東北の方はもちろん、関東、関西ナンバーの車も多く見受けられ、結果、想定の300名を上回る400名以上の方が南三陸町の料理に舌鼓を打ち、全てが売り切れとなりました。

2015年11月には第3回芋煮会の開催を予定しています。食・人を通じて、復興に向かう南三陸町のパワーを感じてください!

「みなさん館」の芋煮会から「300回のありがとう」

「みなさん館」の芋煮会から「300回のありがとう」

小野花匠園
金比羅丸
高芳丸

撮影日:2014年11月

3.11 TOHOKU 応援はつづく ~忘れない、あの日を。つなげよう、未来へ。

「そのとき、つながるということ」 東日本大震災から10年、進化し続けるソフトバンクの災害対策

(掲載日:2014年12月10日)