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時代の変化が求めるワークスタイルとは〜ソフトバンク流「働き方改革」の事例~

時代の変化が求めるワークスタイルとは〜ソフトバンク流「働き方改革」の事例~

最近、ニュースや新聞などでよく目にする「働き方」という言葉。

1日の大半の時間を仕事が占める私たち社会人。人それぞれ「理想の働き方」は千差万別ですが、きっと誰もが気になるテーマですよね。

今回は、この4月から働き方に関する三つの新施策を導入したソフトバンクの長崎 健一 人事本部長に、「働き方改革」推進の狙いなどを聞いてみました。

時代に合わせ、社員一人一人が働き方を変えていく

新たな人事制度を導入するなど、「働き方改革」を強力に推進しているそうですね。この制度を導入することになった背景は?

長崎:今回の新制度導入には、主に二つの背景があります。

一つは、日本政府の方針をはじめとした世の中の動きです。最近ニュースでもよく取り上げられていますが、日本人の働き方のありようについて、政府が本腰を上げて取り組み始めたことが挙げられます。日本の将来には「少子高齢化に伴う人口構造の変化」という課題が立ちはだかっていますが、これは労働人口が減る反面、寿命が延びることにより、医療や年金の費用が増大することを意味しています。従来の日本の労働人口は「長時間働ける男性」が支えることを前提としてきましたが、これでは国自体が立ち行かなくなることはもはや明白です。

ソフトバンク 人事本部
長崎 健一 本部長

そのため政府の中期ビジョンとして、育児中の女性、シニア層、家族の介護をしている人など、時間に制約のある人でも安心して働ける環境を整備することで、労働人口を確保することを目指しています。また若手や中堅世代についても「長時間労働を前提とするやり方は正していこう」というのが政府の方針であり、世の中の大きな動きです。いわゆるブラック企業と見なされてしまうと、優秀な人材を求めることができない時代になっています。

もう一つは、ソフトバンクが取り組んでいる事業の変化です。
移動通信市場は成熟期に入り、今までのやり方では継続した成長は難しく、またソフトバンクの事業自体、「AI」「IoT」「ロボット」など次の市場へと移り変わりつつあります。そのような変化に合わせ、社員の考え方や働き方を変えるタイミングに立たされていると思っています。

ソフトバンク社内では、「Smart & Fun!」というスローガンを掲げているそうですが、詳しく教えてください。

長崎:社内スローガンとして、2年ほど前に「Half & Twice」というキーワードを打ち出しました。これは「半分の時間で生産性を2倍にしよう」という考え方でしたが、さらに「楽しみ」を加えて進化したものが新たなスローガンである「Smart & Fun!」です。

ここで肝心なのは、「ITの力を駆使して働き方を変えていく」ということ。つまり社員一人一人が自身や部署の業務などをいかに効率の良いものにしていけるかということであり、自分たち自身が業務改革に対してしっかり考え、行動することがポイントです。その結果、空いた時間で、「AI」や「ロボット」にはできない、より付加価値のある人間になれるよう自分を磨いたり、あるいは新しい仕事やサービスを創出すること。それが「Smart & Fun!」に込められたテーマです。

ところで経済産業省と経団連が主導する「プレミアムフライデー」が、2月から始まりましたね。こちらの成果はいかがでしたか?

長崎:3月の結果はこれからですが、第1回の2月24日(金)については、対象となる社員の約8割が、定時より前に退社しています。実施前はどうなるかと心配していましたが、経営層が率先して取得を奨励するなど、こういうことも徹底的にやるのが、まさにソフトバンクならではの文化です。「プレミアムフライデー」については、今後も毎月盛り上げていきたいですね。

約8割の社員が取得!?初「プレミアムフライデー」の一日はどうだったの?

第一回プレミアムフライデーの日、本社ロビーは、帰宅する社員で大混雑

時間の有効活用で生産性と成果を最大化

今年度から新たに導入した三つの施策について教えてください。

長崎:先ほどの背景を踏まえ、現在のソフトバンクに最もマッチする「働き方改革」は何かということを、さまざまな角度から検討した結果、第一弾として打ち出したのが新たに導入した「スーパーフレックスの全社導入」「在宅勤務の拡充・拡大」「Smart & Fun!支援金の給付」です。

政府は「労働時間の削減」を掲げており、企業としてこれを遵守しなければなりません。その一方で、やるときは徹底的にやるという「ソフトバンクらしさ」を失ってはいけないということも、大前提として強く意識しています。いくら労働時間を削減したといっても、その結果、お客さまにご迷惑を掛けることや、利益を落とすようなことになっては意味がありません。政府の目標とソフトバンクの企業風土を両立させるべく、議論と熟考を重ねました。これらの施策に共通するのは、「時間を有効活用することで、生産性の向上と成果の最大化を行う」ということです。

スーパーフレックス

従来のフレックス制度から、コアタイムを撤廃。業務状況などに応じて始業時刻・終業時刻を日単位で変更できる

長崎:「スーパーフレックス」制度は、繁忙期はしっかり働き、逆に余裕のあるときは早く帰るなどフレキシブルに勤務する、いわば「時間の有効活用」をテーマにしています。各人や部門には、時間のマネジメントが求められますが、制度をうまく活用したメリハリのある効率的な働き方を期待しています。

在宅勤務

在宅勤務可能な回数を増加し、対象となる社員の範囲も拡大

長崎:在宅勤務制度は、通勤にかかる「時間」を有効活用するため、旧制度では育児や介護をしている社員を対象としていましたが、妊婦やケガなどによって通勤が負担になっている人も新たに対象としました。業務上で問題がないことが前提ですが、最大で週3回まで利用できます。

自宅から会議に参加するケースも出てきますので、ITの活用を考える機会にもなるでしょう。今後も在宅勤務に関しては、制度の拡大を検討していきます。

Smart & Fun!支援金

自己成長機会への投資を目的に、全正社員に毎月1万円を給付

長崎:業務効率化でできた時間で、自分磨きをするための“軍資金”となるのが「Smart & Fun!支援金」です。語学の勉強や、IT技術の習得でもいいですし、社外や他部署など普段会う機会の少ない人と食事をするためでもいいです。「プレミアムフライデー」とセットで使うのも良いでしょう。

2年間支給されますので、社員には、ぜひ普段とは違う刺激を受けて、自分自身の成長につなげてもらいたいと思います。

働き方が大きく変わる中で、社員側の考え方もリセットする必要がありそうですね。

長崎:まさにそのとおりです。
ソフトバンクは、変化の大きい業界でゴールに向かってひたすら全力で走ってきたことが多くの社員の成長につながったのは事実でしょう。しかし時代が変わり、私たちを取り巻く環境も大きく変化しつつある今、その成功体験の一面を美化するだけではいけない。

今回の「働き方改革」では、社員もマネジメント側も、ソフトバンクに所属する全員がマインドを変え、状況を受け入れて進化に結びつけていかなければなりません。社員一人一人が「ソフトバンクらしさ」を持ち続けながらも、時間の配分をしっかりと考える。ITをフル活用して、業務改革を実行していく。マネジメント側も部署全体の業務効率化についてこの機会に見直していく必要があると思います。

4月から導入する三つの施策は第一弾で、「働き方改革」がより良い方向に向かっていけるよう、第二弾、第三弾の施策を検討しています。また、社内で良い事例があれば、全社で共有していきたいです。さらに、ダイバーシティ(多様な人材の活用)という観点も盛り込みながら、「働き方改革」を推進していきたいと考えています。

スマートワークスタイルの推進

ソフトバンクでは、多様な人材が活躍できる環境づくりにも取り組んでいるそうです。ダイバーシティプロジェクト担当者へのインタビューはこちら!

“他者を理解し受け入れること”
誰もが自分らしく働き、活躍できる企業とは?

(掲載日:2017年4月12日)
文:ソフトバンクニュース 編集部