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カルビーポテトのジャガイモ栽培の実証実験に農業AIブレーン「e-kakashi」が導入。データを活用し収量最大1.6倍増に貢献

カルビーポテトのジャガイモ栽培の実証実験に農業AIブレーン「e-kakashi」が導入。データを活用し収量最大1.6倍増に貢献

ポテトチップスなどの原料となるジャガイモ栽培の実証実験にソフトバンクの農業AIブレーン「e-kakashi」が導入されました。気象変動によるジャガイモの収量減少という課題に対して、「e-kakashi」はどのように活用されたのでしょうか。

干ばつなどの気象変動に影響されず高品質のジャガイモを安定的に収穫

今回「e-kakashi」を導入したのは、カルビー株式会社の子会社で、「ポテトを改革する」「契約生産者を世界一にする」「じゃがいもを魅力的な野菜・商品にする」をミッションに、ポテトチップスなどの原料となるジャガイモの調達を担うカルビーポテト株式会社(以下、「カルビーポテト」)です。

カルビーポテトでは、近年、北海道の一部地域で気象変動の影響で干ばつになる年において、ジャガイモの収量が減少するといった課題に対し、約3年前からデータを活用した栽培に取り組んでいました。

干ばつなどの影響下でも高品質なジャガイモを安定調達するために、2021年6月から10月まで実証実験を行い、データを活用して、「かん水」と呼ばれる農作物や植物に水を与える作業を最適化することの有効性を検証。北海道地区のカルビーポテトおよび契約生産者のほ場に「e-kakashi」を導入しました。

農業AIブレーン「e-kakashi(イーカカシ)」

農業AIブレーン「e-kakashi(イーカカシ)」

IoTセンサーを活用して屋内外のほ場から収集した環境データを、植物科学の知見を取り入れたAI(人工知能)で分析することで最適な栽培方法を提案し、農業従事者を支援するサービスです。

ジャガイモの収量が最大約1.6倍に増加

効果検証のため、従来通り降水だけで水分を補うほ場(「慣行区」)と、データを使って最適なタイミングでかん水作業を行うほ場(「試験区」)に分けて、それぞれに「e-kakashi」を設置して土壌体積含水率※1などの精緻なデータを収集しました。

区分 実施内容
慣行区
  • データのモニタリングのみを実施
試験区
  • 分析したデータを基に最適なかん水作業のタイミングを契約生産者のスマホに直接通知し、作業の実施を促す
  • 各種アプリを活用して、ほ場のデータや栽培作業を可視化・管理・共有し、科学的な栽培と効率的な作業管理・指導を行う環境を整備

e-kakashiで取得したデータを基にかん水する様子(提供:カルビーポテト)

試験区でかん水する様子(提供:カルビーポテト)

その結果、「試験区」は「慣行区」に比べ、ジャガイモの収量が最大約1.6倍※2に増加し、「e-kakashi」を活用したかん水管理の有効性が確認されました。

「試験区」(青枠)と「慣行区」(緑枠)を上空から撮影した画像(提供:カルビーポテト)

「試験区」(青枠)と「慣行区」(緑枠)を上空から撮影した画像(提供:カルビーポテト)

「試験区」と「慣行区」におけるジャガイモ収量の比較(品種別)

「試験区」と「慣行区」におけるジャガイモ収量の比較(品種別)(提供:カルビーポテト)

今回の実証実験の結果について、カルビーポテト 女満別支所 支所長の小林篤史氏は「気象変動に影響されることなく、契約生産者の皆さまに高品質のジャガイモを安定的に収穫していただけるよう、データに基づく科学的栽培に取り組んできました。今回『e-kakashi』を導入したことで、より精緻なデータ取得や分析、作業の効率化を実現し、収量の大幅増という成果を得ることができました。この成功事例を生かして、引き続きソフトバンクと連携し、『e-kakashi』を活用した科学的栽培を推進することで、契約生産者と共に効率的かつ収益性の高いジャガイモ栽培を追求し、高品質なジャガイモをお客さまにお届けすることを目指します」とコメントしています。

ソフトバンクは、引き続き「e-kakashi」を活用した科学的栽培の普及を推進し、自治体や農業協同組合、農家、契約生産者、食品メーカーなどが抱える農業課題の解決を支援し、農業振興に貢献できるように努めていきます。

  • ※1
    土壌に含まれている水分の割合です。
  • ※2
    3品種のジャガイモを対象に検証(トヨシロ、ぽろしり、スノーデン)。品種別の収量結果のうち、ぽろしりで約1.6倍増加。

「e-kakashi」について
詳しくみる

(掲載日:2022年2月25日)
文:ソフトバンクニュース編集部