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ゴミ拾いもデジタルの力で楽しく。LINE APIで地域の課題を解決。

メッセージだけじゃない。LINEを自由自在に操って地域の課題を解決するLINE APIエキスパート

普段私たちが利用しているウェブやアプリの中には、より便利に簡単に使えるように、APIという便利な機能が活用されているものがあるそうです。日本でまだ21人しかいないLINE API EXPERT資格の知識を生かしながら、APIを活用したユニークなLINEアプリを生み出して地域課題の解決に取り組むソフトバンクの技術担当者に、APIの基本や、作成したアプリについて聞きました。

話を聞いた人

平野 敏範(ひらの・としのり)さん

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット 5G & IoTエンジニアリング本部 関西IoT技術部
平野 敏範(ひらの・としのり)

関西地域を中心とした企業や自治体へ向けたIoTやDX化の提案を担当。最近は、日本で21人しかいないLINE API EXPERT資格の知識を生かし、LINEを活用した開発や提案も行っている。

APIはユーザー体験をスムーズにしてくれる立役者

まずは単刀直入に。APIとは何ですか?

平野:APIとは、Application Programming Interfaceの略で、ソフトウエアやプログラム、ウェブサービスの間をつなぐインターフェースのことを指します。いろいろな機能のAPIが公開されているので、それらを連携させることで、高機能なものを簡単に、開発期間を短縮しながら開発することができるんです。

普段私たちが使っているサービスにもAPIが活用されているものはありますか?

平野:例えば、最近いろいろなサイトやアプリで、「PayPay」を使ったオンライン決済が簡単にできるようになりましたよね。それらもAPIが活用されていて、それぞれのアカウント情報もしくは決済情報を連携しているので実現できているんです。

そうなんですね。他にもありますか?

平野:LINEの例を挙げると、最近は、新型コロナウイルスのワクチン予約をLINEで受け付けている自治体もありますし、チャットボットを使った自動問い合わせ、また、お友だちになっておくと発行した会員証を専用のアプリを開かなくてもLINE上から見られるようにしているお店もありますよね。どれもLINEを開くだけで簡単に登録できたりサービスを利用できます。これらもLINEのAPIやLINEミニアプリを活用したものなんですよ。

LINE APIといえば、平野さんは日本で21人目のLINE API EXPERT認定者だとか?

平野:はい。LINE API EXPERTは、LINEが公開するAPIやプロダクト、それから関連技術に対する深い理解と高い技術力を持ち、Developer Community(LINEの開発者コミュニテイー)に影響力を持つエンジニアに認定される称号です。LINE APIを多くの人に知っていただくための講師活動も行っています。

地元の皆さんの「ちょっと不便」をアプリで解決

そんなLINE APIを活用して、広島県の福山市の住民向けに作成し、使っていただいているというのが今回ご紹介するアプリです。

ゴミ拾いした場所が地図上に表れる「ポイ捨てカウント」

ゴミ拾いした場所が地図上に表れる「ポイ捨てカウント」

ゴミ拾いした場所が地図上に表れる「ポイ捨てカウント」

ゴミを、いつ、どこで、どのような種類のものを拾ったのかを、LINEでボタンを押しながら投稿すると、データが地図上に積み上がっていき、まとめて確認できるアプリ。画像を撮って投稿することも可能です。

福山市の小学生や市の職員が、ゴミ拾い活動で活用中。

平野さん

「今までは紙に書いてクラス全体分をまとめていたものが、『拾った場所からデータを送るだけで登録できるし、写真も見られて楽しい』と地元の小学生からも好評です。
市のイベントで使っていただく時は、スタートやゴール地点で大画面に地図を表示して、途中経過を見ながら盛り上がっていただくことが多いですね。『今まではゴミを拾って終わりだったけど、可視化できて楽しい』と言っていただいています。
現在は福山市を中心に利用いただいていますが、全国の自治体からも問い合わせをいただき、徐々に展開しています」

ゴミ拾いをしながらタイムスリップ? ゴミ拾いした場所が古地図上で確認できる「福山城古地図ゴミ拾い」

ゴミ拾いをしながらタイムスリップ? ゴミ拾いした場所が古地図上で確認できる「福山城古地図ゴミ拾い」

福山城博物館藏

こちらは広島県福山市の築城400年イベントのプレイベントで利用されたアプリ。

ゴミを拾った場所をLINEのボタンで送信した後、「地図確認」ボタンを押すと……、ゴミを拾った場所が現代の地図上に表示されます。さらにそのまま地図の透過度を調整するスケールを動かしていくと……、約400年前の古地図にみるみる変化していくというものです。

APIを活用した遊び心あるアプリで、ゴミ拾いという一見単調になりがちなイベントを、より楽しいものに盛り上げました。

以下の動画で地図が変化する様子をご覧いただけます。

福山城博物館藏

平野さん

「『あのゴミを拾った場所は昔はこんな場所だったのか』と参加された皆さんに興味津々で楽しんでいただけました。今回依頼してくださった市の職員の方からも、『ゴミ拾いは多くの一般の方にとっては楽しいものではありません。しかし、このアプリを使用することで、楽しみながらゴミ拾いができたと思います』と感想をいただいています」

高校生が自習スペースを見つけて予約できる「STUily(スタイリィ 学生×街)」

高校生が自習スペースを見つけて予約できる「STUily(スタイリィ 学生×街)」

高校生が自習スペースを見つけて予約できる「STUily(スタイリィ 学生×街)」

高校生が自習スペースを見つけて予約できる「STUily(スタイリィ 学生×街)」

地元の高校生が勉強するための場所を探したいときに、地域で借りることができる場所の位置や空き状況を確認し、そのままLINEで予約ができるアプリ。貸す側も、LINEでチェックインを実施することができる。3月16日から福山市の高校生が利用を開始しました。

平野さん

「街の中に学生の居場所を作ることにより、新しい人流や交流を生み出し、福山市に新しい価値を創造することを目指す団体のプロジェクトに協力させていただきました。生徒さんの意見をいただきながらUIを工夫したこともあり、『普段使っているLINEなので違和感なく使えるし操作も簡単でわかりやすい』と言っていただけています」

LINE APIの知識を生かして、より便利で手軽なサービスを生み出す

LINE APIの知識を生かして、より便利で手軽なサービスを生み出す

これらのアプリは、どういう経緯で生まれたのですか?

平野:ソフトバンクは、社会全体がデジタル化の恩恵を受けられるよう、地域課題の解決やDX化へ向けて地域密着型の取り組みを行っています。そのような中、「せとうち Tech LAB」というデジタル化推進拠点を設置し活動している福山市の課題解決に協力したことがきっかけです。
例えば「ポイ捨てカウント」の場合は、職員の方がゴミ拾い活動の紙への記録や集計の煩雑さを課題にされていたので、皆さんが普段から使い慣れているLINEの簡単操作でこなせるように開発して、ご提案したものなんです。

困っていたことが、使い慣れたLINEで楽しく解決できるから、皆さん親しんで使ってくださっているのでしょうね。地域の皆さんのサポート活動について、今後の目標を聞かせてください。

平野:LINE APIを利用することにより、まだまだできるようになることは多いと思っています。このLINE APIを軸として、お客さまの課題を解決するために、デジタルの力でできることを皆さんと伴走しながら追求し、皆さんに喜んでいただけるサービスを今後も生み出していきたいです。

 

地域発のデジタル化推進拠点「せとうち Tech LAB」。福山市に開設した狙いを聞いてきました! - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

ソフトバンクが地域課題を解決するために福山市と開設したデジタル化推進拠点「せとうち Tech LAB」にも、「ポイ捨てカウント」が展示されています。
地域発のデジタル化推進拠点「せとうち Tech LAB」。福山市に開設した狙いを聞いてきました! - ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース

(掲載日:2022年4月5日)
文:ソフトバンクニュース編集部