SNSボタン
記事分割(js記載用)

自然の迫力をそのままに! プロフォトグラファーが教えるスマホの広角・パノラマ撮影テクニック

自然の迫力をそのままに! プロフォトグラファーが教えるスマホの広角・パノラマ撮影テクニック

出掛けた先で「すてきだな」と思った風景を撮影して、SNSでシェアしたり、後で見返すのは楽しいものですよね。でも、なんだか本物の迫力が伝わらない… ということ、ありませんか?
そんなときに威力を発揮する、広角撮影とパノラマモードを活用したスマホの撮影テクニックを紹介します。

  • この記事で紹介するスマホの操作手順は、一般的な操作を掲載しています。機種によって異なる場合があります。

目次

教えてくれた人

神崎 洋治(こうざき・ようじ)さん

神崎 洋治(こうざき・ようじ)さん

TRISEC International,Inc.代表。テクニカルライター兼コンサルタント。報道写真や商業写真を年間4,000枚以上撮影。デジタルカメラやレタッチ関連の書籍も多く執筆、監修しているほか、初心者向けに撮影やレタッチ講座の連載、人を引きつける写真の撮り方の講演実績など多数。

Twitter:@internetman

見たままの迫力を捉えたいなら「広角」撮影

「広角」とは、「撮影する範囲(画角と呼びます)が広い」ことです。
同じ場所から同じスマホで「標準」と「広角」で撮った写真を比較してみましょう。

標準

標準

広角

広角

「標準」に比べて「広角」は、撮影する範囲が広いことが確認できますね。このように、雄大な風景など幅広い範囲を撮りたいときには「広角」が適しています。

「広角」で撮ると実際このような写真になります。

見たままの迫力を捉えたいなら「広角」撮影がベスト

見たままの迫力を捉えたいなら「広角」撮影がベスト

見たままの迫力を捉えたいなら「広角」撮影がベスト
見たままの迫力を捉えたいなら「広角」撮影がベスト
望遠と広角の違い

撮影モードにはその他に「望遠」がありますよね。「広角」とは反対に、遠くのものを大きく撮りたいときには「望遠」を使います。遠くのものが大きく写るということは「撮影する範囲が狭い」ことになります。

同じ場所から同じスマホで「望遠」と「広角」で撮った写真を比較してみると、撮影する範囲が随分と違うことが確認できます。

望遠

望遠

広角

広角

撮りたい被写体や主題によって広角や望遠を選択

同じ風景でも、撮りたい被写体や主題によって、標準、広角、望遠を上手に使い分けて撮影することが重要です。

広角

今まさに太陽が沈もうとしている雄大な景色全体を、広角撮影で捉えました。

広角

標準

広角撮影に比べて小さな島々や水平線に被写体を絞って撮りました。

標準

望遠

水平線に近い幻想的な風景や、雲の間から差し込む太陽の光線「天使のはしご」に主題を絞って撮りました。

望遠

望遠

このように同じ景色でも、広角や望遠を使うことで、全く違う表情の写真を撮る楽しみが生まれます。

「広角」や「望遠」で撮影する方法

スマホのカメラアプリを起動したとき、スマホのプレビュー画面の横や下には「1x」という表示が点灯されています。これを「標準」や「1倍」と呼びます。「1倍」を標準(基準)として、「2x」(2倍)などをタップして遠くの被写体を拡大すると「望遠で撮影」、「0.5x」(0.5倍)をタップして幅広い範囲を撮影するのが「広角で撮影」と、便宜的に覚えておくとよいでしょう。

  • スマホの機種によっては広角「0.5x」や「3x」以上がないものもあります

iPhoneの場合

iPhoneの場合

丸いボタンをタップして倍率を変更します。広角の場合は「0.5x」をタップします。

Androidの場合

Androidの場合

丸いボタンをタップして倍率を変更します。広角の場合は「.5」をタップします。

広角レンズで撮影(0.5x)

「.5」(広角)

標準のレンズで撮影(1x)

「1x」標準

望遠レンズ・2倍で撮影(2x)

「2x」(望遠:2倍)

望遠レンズ・3倍で撮影(3x)

「3x」(望遠:3倍)

ピンチイン・ピンチアウトの操作で微妙な倍率指定が可能
プレビュー画面を指でピンチインすることで「広角」に、ピンチアウトすることで「望遠」で撮ることができます。微妙な倍率に指定したいときは、この操作方法を使ってみましょう。

「広角」の特性を生かして、雄大な風景を効果的に撮影するテクニック

展望台や山の頂上、広場など、雄大な景色を幅広い範囲で撮影したいときに「広角」は効果を発揮します。

「広角」の特性を生かして、雄大な風景を効果的に撮影するテクニック

「標準」や「望遠」だと、見てもらいたい被写体を絞って明確にする、つまり主題をはっきりとさせることができますが、「広角」は写真を見る人に何を伝えたいのかがはっきりと伝わらない場合があります。例えば、ただ「山々の写真を撮ったの?」「見晴らしが良いところなんだね」と思われてしまいがち…。

「広角」には「感動を伝える」被写体や光景を撮る、という難しさとおもしろさの両面があるのです。

そこで、広角で見栄えのする写真を撮るコツを紹介します。

遠近感を使ってダイナミックに表現

「広角」には広い範囲を撮るという用途だけではなく、ダイナミックな構図を作る楽しさがあります。広角は近くのものは大きく写り、遠くのものは小さく写る「パースペクティブ」(遠近感)が強調される特性があります。具体的には、構図の端(四隅)にかけて像がゆがみます。

遠近感を使ってダイナミックに表現

これを利点と捉えて構図を工夫することで、ダイナミックな写真を撮ることができます。片側に被写体を置いて大きく(長く)見せたり、下から上に向かって「あおり」撮影したりすることで、より実際の印象に近い雄大な景色を撮ることができます。

このテクニックを意識すると、このような写真が撮れます。

連なるイチョウ並木を幅広く撮るために広角を選択。右上の空の部分にはあえて手前のイチョウの葉を入れて、写真一面の多くが黄色に彩られるように構図を配置しました。

遠近感を使ってダイナミックに表現

富士山の湧き水を水源とした白糸が横に長く連なる様子を、奥の滝つぼや清流も構図に加えて、雄大さを広角で表現しました。

遠近感を使ってダイナミックに表現

原生林の木々の大きさと、木道の遊歩道を一つの構図に収めるには広角が最適です。木道を歩く人が原生林の大きさを感じさせてくれます。

遠近感を使ってダイナミックに表現

広角の歪曲収差を生かして、人の視界とは異なる新鮮な風景として、森の深さを表現しました。道しるべが原生林の風景に安心感を与えてくれています。

遠近感を使ってダイナミックに表現

神秘的な「苔(こけ)の森」の中に、ひときわ彩りを感じる紅葉。苔は構図の手前に置き、紅葉とのコラボレーションです。

遠近感を使ってダイナミックに表現

紅葉と石灯籠を一つの構図に収めることで「和」の美しさを撮りました。しゃがんでアイレベルを低くして下からあおるように広角で撮ることで、紅葉がトンネルのように覆いかぶさって見えます。

遠近感を使ってダイナミックに表現

少し怖く感じる森を、深く覆いかぶさるように広角で撮りつつ、その先に広がることを予感させる、爽やかな紅葉と青空を中央に据えて、あえて日の丸構図を使って撮りました。

遠近感を使ってダイナミックに表現

「ゆがみ」の注意点 ~人は中心に配置して撮ろう~

広角の特徴でもあり欠点が、構図の端(四隅)にかけて像がゆがむこと。専門用語で「歪曲収差」(ディストーション)と呼びます。人を隅に配置した構図で写真を撮ると、顔や姿がゆがんでしまったり、実際より太って見えてしまったりするので注意が必要です。広角で人を入れた写真を撮るときは、人を中心近くに配置してゆがまないよう配慮して撮影しましょう。

「標準」(1x)で撮影した場合

「標準」(1x)で撮影した場合

「広角」(0.5x)で撮影した場合

「広角」(.5)で撮影した場合

「広角」(0.5x)で撮影すると、四隅に向かって画像が大きくゆがむことが分かります。

周囲の状況を広く捉えたいときにはパノラマモードで撮影

広大な自然や、周囲の状況を広く捉えたいとき「パノラマ」撮影を使う方法があります。「パノラマ」はスマホの機種によって、最大240~360度の景色が撮影できます。もちろん120度や180度など、任意の位置で止めることができますので、撮りたい景色の範囲に合わせて活用してみましょう。

周囲の状況を広く捉えたいときにはパノラマ撮影がベスト

とはいえ、慣れないと意外と撮影は難しいもの。基本的な使い方と失敗を防ぐポイントを解説します。

パノラマモードと広角撮影の比較

広角写真と比べて、パノラマ写真は撮れる範囲が格段に広くなります。VRやグリグリと視点を変えられる240度や360度画像などで見ると迫力のある自然な写真に見えますが、平面写真で見たときには独特なゆがみが発生します。

広角レンズで撮影(0.5x)

広角「.5」

パノラマ

パノラマ

独特のゆがみが生じるパノラマ写真

独特のゆがみが生じるパノラマ写真

つり橋の両端が見える端から端までをパノラマ撮影したもの。このように大きなゆがみが生じてしまうことがあります。

パノラマモードの撮影方法

パノラマ撮影の方法

幅広く撮影するのでスマホを横持ちするとイメージしがちですが、パノラマ撮影時にはスマホを縦に持って撮影します。

iPhoneの場合

iPhoneの場合

①カメラアプリを起動し、画面下のモード選択(画像の赤い枠)から「パノラマ」をタップ(右から左に撮りたいときは矢印をタップすると右端からの撮影に変更できます)。

②撮影したい端にプレビュー画面を合わせてシャッターボタンを押し、「→」の方向にゆっくりと水平に、体を回転させるようにしてスマホを右に移動させていく。手やスマホが上下にぶれないように注意しましょう。

③撮りたい範囲をスライドさせたら、シャッターボタンを押して撮影終了(スマホのパノラマ撮影の最大角度まで達した場合は自動的にそこでパノラマ撮影が終了します)。

Androidの場合

Androidの場合

①カメラアプリの下の選択肢から「モード」を選び(❶)、表示されたオプション(❷)から「パノラマ」をタップ。

Androidの場合

②撮影したい端にプレビュー画面を合わせてシャッターボタンを押し、左右のどちらかにスマホをゆっくりと水平に、体を回転させるようにしてスマホを移動させていく。手やスマホが上下にぶれないように注意しましょう。

③撮りたい範囲をスライドさせたら、シャッターボタンを押して撮影終了(スマホのパノラマ撮影の最大角度まで達した場合は自動的にそこでパノラマ撮影が終了します)。

パノラマモードの撮影を失敗させないコツ

スマホの角度が水平ではないことを示す画面(Androidの例)

スマホの角度が水平ではないことを示す画面(Androidの例)

パノラマ撮影では、水平に動かしている最中に、スマホ内部で自動的に複数枚の撮影を行っています。パノラマ撮影の終了時に、複数枚の画像を自動的につなぎ合わせる合成処理によって1枚の画像を作成しています。そのため上手にパノラマ撮影するコツは以下2点。

  • スマホを傾けず、できるだけ正確に水平に動かす
  • ゆっくり動かす

パノラマ撮影中に、スマホを動かす動作が水平からずれたり、スマホが傾いたりすると、プレビュー画面上に注意を促すアイコンが表示されますので、それに従って修正しながら慌てずにゆっくりと撮影しましょう。

手が大きくぶれたり、水平から逸脱すると上下に黒い部分ができてしまう場合があります。そうなってしまった場合は撮り直すか、写真の補正で範囲を切り抜いて仕上げると良いでしょう。

パノラマ失敗写真の例

パノラマ失敗写真の例(画像の上部に黒い乱れが発生してしまっています)

なお、パノラマ撮影は横長のパノラマだけでなく、縦長の写真も撮影することができます。

パノラマ撮影を失敗させないコツ

パノラマ撮影を失敗させないコツ

【番外編】360度撮影をしてみよう

【番外編】360度撮影をしてみよう

Androidスマホによっては、360度撮影が可能な機種があります。Pixel7の場合、カメラアプリの下の選択肢から「モード」を選び、表示されたオプションから「360°写真」をタップして選択します。

パノラマ撮影では、スマホを水平にスライドしながら撮影しましたが、360度撮影の場合は、プレビュー画面に丸いアイコンを合わせて、360度、カメラ撮影していきます。

【番外編】360度撮影をしてみよう

Facebookなど、SNSによってはパノラマ写真を投稿すると、閲覧者がスマホ画面上でグリグリと動かして見られる写真として投稿されます。楽しいですよね。

撮影が楽しめるお出かけスポット探してみませんか?

Yahoo!トラベル

今回学んだ、広角による撮影やパノラマモードの撮影テクニックをお出かけ先でぜひ試してみてください。Yahoo!トラベルでは、全国のお出かけスポットを紹介しています。

Yahoo!トラベルで
お出かけスポットを探す

(掲載日:2023年4月28日)
文・写真・監修:神崎洋治
編集:ソフトバンクニュース編集部