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離陸から着水までコックピットの様子をライブ配信。鳥人間コンテストにソフトバンクが技術協力

鳥のように大空を飛んでみたいー。誰もが思い描いた夢に挑戦する夏の風物詩「鳥人間コンテスト」。琵琶湖を舞台に、手作りの機体で果敢に空へと挑む鳥人間たちのドラマに感動を覚えた経験のある方もいるのではないでしょうか?

7月29〜30日に開催された「第45回 鳥人間コンテスト2023」ではライブ配信が行われ、人力プロペラ機部門の配信にソフトバンクが技術協力しました。

大会当日の様子をレポートします。

鳥人間コンテストの新たな楽しみ方。飛行中のパイロットの様子をリアルタイムに配信

抜けるような青空の中会場に到着すると、応援席には大勢の観客が詰めかけていました。盛り上がってますね〜!

この日行われる人力プロペラ部門は、ペダルをこぐことでプロペラを回し飛行する機体にパイロットが乗り込み、琵琶湖上に設定した最長70kmコースの完全制覇を目指す競技です。

飛行距離はもちろんのこと、猛暑の中限界までペダルをこぎ続けるパイロットの奮闘ぶりも見どころの一つ。

「鳥人間コンテスト」は以前、並走するボートやヘリコプター、ドローンによる機体の外からの映像と、小型カメラで録画した操縦席の映像を着水後に回収し、テレビでのみ放映していました。

2022年の大会で初めて人力プロペラ機部門のライブ配信を開始するにあたって、ソフトバンクが技術協力。機体の操縦席に設置したスマホを通して、パイロットの映像と音声のリアルタイム配信を実現しました。

映像はコンテストの公式YouTubeのほか応援席の大型モニターにも配信

絶対に失敗できないミッション。繊細な機体に搭載したスマホから途切れることなく映像を配信せよ

風向きの変化やささいな操縦のミスが明暗を分ける鳥人間たちのフライトはまさに予測不可能。一瞬たりとも目が離せません。

広大な琵琶湖上を飛行する機体からの通信、しかもやり直しのきかない1回限りのライブ配信。テイクオフから着水まで途切れることなく映像を届ける絶対に失敗できない挑戦には、さまざまな試行錯誤があったようです。

今回現地でライブ配信をやり遂げたソフトバンクの担当者に話を聞きました。

ソフトバンクグループ株式会社 テクノロジーユニット統括 プロダクト技術本部 HAPS企画部

河瀬 弘樹(かわせ・ひろき)

2022年ソフトバンクに入社。高度20kmの成層圏から通信を提供する無人飛行機、HAPS(High Altitude Platform Station)の機体戦略および機体運用の企画に携わる。2022年大会より「鳥人間コンテスト」ライブ配信プロジェクトに参加。今大会ではチームリーダーを務める。

失敗できないミッション①:映像を途切れさせず着水まで中継

コックピットのライブ配信を成功させるため、どのような準備をしたのでしょうか?

大切なのは、どんな環境下でも中継を停止させずに映像を届けることでした。

昨年のライブ配信では、並走するボートとコックピットのスマホをWi-Fiでつないで配信を行いましたが、今年は携帯電波を使って上空から直接通信に挑戦しました。

電波法の審査基準に適応する仕様や条件を洗い出し、上空利用を行える包括免許とSIMのひもづけ、免許条件に合った周波数になるような端末の調整などを一つ一つ確認しながら地道に取り組みました。また、熱暴走によるスマホ停止を防ぐための冷却対策や、広大な琵琶湖での飛行で通信の強度が下がっても継続して配信できる配信アプリの選定など、あらゆる面で入念な準備を行いました。こういった機材の調整は、通信事業者である私たちソフトバンクのノウハウが生きたと思います。

大会に先立ち、実際に琵琶湖で事前の配信テストも実施しました。

配信テストですか。 実際に飛行機を飛ばして行うのですか?

さすがに飛行機は飛ばせないので、ボートに取り付けたポールの先端にスマホを設置して航行し、配信の試験を行いました。

ボートにスマホを取り付け

複数種類のスマホで試験

東京の本社ビルから映像を確認

湖上では、地上と電波の入り方が異なるので、実際のコースの飛行ルートイメージと昨年の電波データをもとに作成した試験コースで1日かけて配信を行い、周波数を変えた複数の種類のスマホを比較してソフトバンク本社のある竹芝で配信映像の品質をチェックしました。

また、熱暴走を想定した耐熱試験として、実際にボート上でスマホの表面温度を大会本番の機内と同じ温度まで上昇させ、端末の動作状況を検証しました。

実際のコースの飛行ルートイメージをもとに作成した試験コース

失敗できないミッション②:繊細な機体への端末取り付け

鳥人間コンテストで使われる機体は、極限まで余分なものをそぎ落とした繊細な作りですよね。スマホを取り付けるのも緊張したのでは?

それはもう緊張しましたね。わずかなシワや傷があるだけでも飛行性能に影響が出てしまうほど繊細なので、コックピットに取り付ける際も「絶対に」機体に身体が触れないよう細心の注意を払いました。

いざ取り付けようと思ったら、スマホのわずかな厚みがうまくフィットしない機体もあるなど、現場で臨機応変に対応するのが大変でしたね。

それはハラハラしますね。どう解決したのですか?

諦めかけたのですが、スマホを冷却するための部品を取り付ける両面テープの表面をわずかに削ることで厚みを減らし、なんとか事なきを得ました。

機体がプラットフォームに向かうまでの待ち時間もギリギリまでスマホを冷やしたり、チームで知恵を絞りながら、どうにか対象の機体全てに無事取り付けることができてほっとしました。

いざ、テイクオフ! 鳥人間たちの喜怒哀楽を臨場感たっぷりにお届け

大勢の観客に見守られ次々と鳥人間が大空へと旅立つ中、湖岸に設営されたテントでは、配信チームの面々が息をのんで配信の状況を見守ります。

YouTubeには、気力・体力の限界を超えた過酷なフライトに挑むパイロットの姿が途切れることなくばっちり映っていました!

パイロットの息遣いや自らを鼓舞するつぶやきも聞こえてくる臨場感たっぷりの映像が届けられ、配信は大成功!

大会を終えてみて感想はいかがですか?

私は入社2年目で、昨年の配信にも参加したのですが、今回は初のチームリーダーとして臨みました。

準備期間中、課題だらけで押しつぶされそうにもなりましたが、チームメンバーはもちろん、上司や同僚の協力と手厚いサポートのおかげで全ての機体で配信成功という難しいミッションを達成することができました。

今回のチームメンバーは1年目・2年目の若手中心で、東京だけでなく、広島、仙台などさまざまな拠点のメンバーによる混成チームです。実は、このプロジェクトは若手にチームでのプロジェクトを経験させる教育的な側面もあったのですが、密にコミュニケーションを取り、全員が本気で楽しみ、時には苦しみながら、「今自分たちにできることは全てやりきれた!」という達成感を分かち合うことができたと思います。

ソフトバンクでは、将来的にどこでも通信がつながる世界を実現させるべく、高度20kmの成層圏から無人航空機で通信を提供するHAPS(High Altitude Platform Station)事業を推進しています。

想像の話ではありますが、鳥人間コンテストの機体の上空をHAPSの機体が飛行し、通信が提供されるというような未来が実現すると、現在より通信の品質も飛躍的に高まり、より臨場感ある映像体験を皆さんにお届けできるようになるかもしれません。

このような未来を実現すべく、引き続き本務であるHAPSの業務についても精進していきたいですね。

配信を担当したチームメンバー

ありがとうございました。

(掲載日:2023年8月23日)
文:ソフトバンクニュース編集部
写真提供:読売テレビ

「第45回 鳥人間コンテスト2023」の模様は、8月30日にテレビでオンエア!

「鳥人間コンテスト2023」の模様は、8月30日にテレビでオンエア!

ライブ配信を見逃した方もご安心ください!

8月30日(水)19時より、読売テレビ・日本テレビ系列にて全国ネットで放映されますよ。夏の琵琶湖に舞う鳥人間たちの戦いを堪能してくださいね。

読売テレビ「鳥人間コンテスト」 公式ページ