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働く場所に新たな価値を。オフィスビルのスマート化支援サービス「WorkOffice+」が2023年度グッドデザイン賞を受賞

働く人に寄り添い、ニューノーマルな働き方を実現。オフィスのスマートビル化を支える「WorkOffice+」開発者インタビュー

近年、オフィスビルの老朽化や空室が社会課題となっています。加えて、コロナ禍を契機として働き方が大きく変化し、オフィスビルの在り方も変わりつつあります。このような社会課題の解決を目指し、ソフトバンクが開発したWorkOffice+が「2023年度グッドデザイン賞」を受賞。開発の中心となった3人の社員に話を聞きました。

伊佐 隆志(いさ・たかし)

ソフトバンク株式会社 法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部 スマートデバイスエヴァンジェリスト

伊佐 隆志(いさ・たかし)

WorkOffice+の立ち上げから参画。導入企業に対するコンサルティング業務やプロダクトマネジメント業務などを担当。

茶谷 昂(ちゃたに・こう)

ソフトバンク株式会社 法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部

茶谷 昂(ちゃたに・こう)

伊佐とともにWorkOffice+の立ち上げから参画。クライアントとのフロント業務や企画などを担当。

吉田 皓一(よしだ・こういち)

ソフトバンク株式会社 法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部

吉田 皓一(よしだ・こういち)

WorkOffice+のUI/UX設計から画面デザイン、ウェブサイト、カタログなどデザイン全般やデータ分析業務などを担当。

働き方が変わった。働く場所はどうあるべきか? グッドデザイン賞につながったアプリ開発の背景

働き方が変わった。働く場所はどうあるべきか? グッドデザイン賞につながったアプリ開発の背景

最初に、WorkOffice+とはどのようなアプリなのか教えてください。

伊佐

ビルオーナーやそこで働くワーカーを対象としたアプリで、ビルやオフィスの価値の向上を目的としています。アプリを導入することで、会議室予約やデスクの座席予約をはじめ、空調管理やスマートロックとの連携など、ビルやオフィスのスマート化を効率的に行うことができるようになります。ビル新築時の導入だけでなく、既存のビルに後付けで導入することができるので、費用を抑えて建物をアップデートすることが可能です。

WorkOffice+の機能一覧。顧客ごとに機能のカスタマイズが可能となっている

WorkOffice+の機能一覧。顧客ごとに機能のカスタマイズが可能となっている。WorkOffice+のサービス詳細はこちら

ソフトバンクがオフィスアプリを手がけるというのは意外ですね。アプリ開発のきっかけを教えてください。

伊佐

現在、コワーキングスペースやサテライトオフィスだけでなく、カフェなども働く場所として多くの人に利用されていますよね。働き方改革やコロナ禍を経て、働く人の在り方は大きく変わりました。では、働く場所はどうか? ICTでどんな風に変えられるだろう? そう考えたときに、まだ同様のサービスがなかったので、「自分たちで作ろう!」と思い立ったのがきっかけです。ソフトバンクではアプリを自社開発するという事例がほぼないので、部署の立ち上げはとても苦労しました(笑)。社内の承認や他部署との調整など、ちゃんと立ち上がるまでに1年くらいかかったと思います。

サービスの提供開始からわずか2年ほどですが、すでに非常に多くのクライアントに導入実績があるそうですね。導入の決め手はどういった点なのでしょうか?

伊佐

コロナ禍による空室問題がありアプリの導入で価値を上げたいというお話が多かったのですが、最近はオフィスビルを建てるときに新たな付加価値として導入いただくというケースが増えています。実は、大手不動産デベロッパーの新築オフィスビルにも導入が決まっていて、フィットネスやシャワールーム、パーティールームなどの共用施設をWorkOffice+から予約できるんですよ。

茶谷

マンションみたいですよね。オフィスビルって基本的には単純に箱として建てて貸し出して、というのが今まで当たり前だったんですが、オフィスを選ぶテナント企業のニーズも多様化してきており、共用部や付帯サービスを充実させて付加価値を提供するというのがマーケットのトレンドになってきています。

でも、ただ充実させるだけだとそれぞれのサービスに対して新たに予約アプリを入れたり会員登録が必要だったり、ワーカーにとっては手間になりますよね。そこで、WorkOffice+をユーザーとのタッチポイントとして集約したいということで導入いただくケースが増えています。

WorkOffice+の画面イメージ。オフィスビルの設備やサービスなどがアプリから手軽に利用できる

WorkOffice+の画面イメージ。オフィスビルの設備やサービスなどがアプリから手軽に利用できる

伊佐

導入いただくと、どんな機能がよく使われているかなどのデータも見られるようになるので、データを活用してワーカーに対してより良い企画やサービスを提供したいと考えているクライアントにとってもメリットが大きいというわけです。また、特許を取得している機能があることは大きな決め手になっていると思います。今回受賞したグッドデザイン賞もそうですが、こうした認証はクライアントの安心につながっていると感じますね。

なるほど。今回のグッドデザイン賞受賞に至った決め手はどんな点だったのでしょうか?

吉田

デザインや機能はもちろん、WorkOffice+がどのような社会課題を解決できるのかという点や、今後の社会に貢献する発展性を大きく評価していただいた結果だと思います。

(審査員からの講評)
IoT機器を後付けすることで、ビルの利便性や快適性を向上させるソリューションである。老朽化したビルを持つオーナーに、建て替えや設備更新に依ることなく、少ない投資で付加価値を向上させる新たな選択肢を提供している。またスマホアプリの活用により、設備の一元的な運用管理も可能にしている。 本対象のような仕組みが社会的に普及することで、既築ビルのさらなる有効活用が進むことを期待したい。

有形無形のあらゆるデザインを対象としたグッドデザイン賞

有形無形のあらゆるデザインを対象としたグッドデザイン賞
有形無形のあらゆるデザインを対象としたグッドデザイン賞

グッドデザイン賞は、日本で唯一の総合的なデザイン評価・推奨の仕組みであり、60年以上にわたって親しまれている賞です。家具や日用品、建築物など有形のものだけでなく、システムやコンテンツ、地域の取り組みなど無形のものも対象となっています。

2023年10月25日に行われた祝賀会にはプロダクト開発メンバーが参加し、記念品の授与を受けました。

キーワードは “ワーカーフレンドリー”。5,000人を対象としたユーザーテストから取り組む機能改善

キーワードは “ワーカーフレンドリー”。5,000人を対象としたユーザーテストから、日々機能改善に取り組む

不動産の価値向上だけでなく、アプリを使うワーカーにとっての利便性も追求しているという皆さん。続いて、アプリを開発していく上でのこだわりを聞きました。

WorkOffice+はアプリの使いやすさも好評ということですが、デザインコンセプトやこだわっている点を教えてください。

吉田

アプリデザインの方針は初期段階から「かゆいところに手が届く」を掲げています。こだわっている点としては、機能の優先順位を整理し使いやすくしているということやワーカーの利用シーンに沿ったデザイン作りにこだわっています。例えば、タップ数を少なくして目的の機能にたどり着きやすくするなど、画面をシームレスにつないで快適性を上げています。他にも、マイクロインタラクションという細かなアニメーションを取り入れて操作の気持ち良さを演出し、単純なオフィスアプリにはない楽しさも追加したアプリを意識し、使いやすくて楽しい「ワーカーフレンドリー」なUI・UXを心がけています。

WorkOffice+で使われているマイクロインタラクションの一例

このアニメーションは特許出願中とのことですが、WorkOffice+のチームでは特許にもこだわっているそうですね。

伊佐

はい、「特許は守りではなく攻めである」を指針としています。現在は13件を特許出願し、うち7件が登録され、残りは特許庁で審査中です。特許があるからこそクライアントから選んでいただいたり、競合企業との差別化といったことが実現できると考えています。WorkOffice+はソフトバンク発のオリジナルなアプリなので、今後も特徴的な機能やデザインなどは積極的に権利取得を進めていきたいですね。

なるほど。特許による高い効果もあるのですね。WorkOffice+独自のデザインを実現するために取り組んできたことはありますか?

吉田

はい、まずは競合調査でしょうか。WorkOffice+はオフィスアプリですが、「使う人がどんな気分でどう使うだろう」というのを考えて、音楽やエンタメなどオフィスと全く関係ないアプリも調査・分析しています。これまでに少なくとも数十、機能単位のレベルだともっともっと調べてます。数百近いのかな? もういくつ調べたのか忘れちゃいましたけど(笑)。

茶谷

他にも、デザインや機能を考える前に必ず「使う人にどんな体験をしてもらいたいか」というカスタマージャーニーを描いて、それにもとづいてこんな機能やデザインにしよう、と決めてデザインを作ってもらっていますね。

吉田

あとは、ユーザーテストもかなり丁寧にやったと思います。僕らが考えているカスタマージャーニーが本当に正しいのかというユーザーリサーチから、実際のアプリを触ってもらうユーザーテストまでしっかり行いました。ユーザーテストでは、それぞれの機能、例えば会議室予約やデスク予約などが説明なく使えるかであったり、使いやすいかどうかなどを検証しました。「この画面に『戻る』ボタンが欲しい」とか、「ここのテキストが分かりにくい」など細かなところまで繰り返し改善を進めました。

茶谷

ちなみに現在は、ソフトバンクの社内で法人部門や総務部門で、会議室予約や管理に使っています。そういう意味では、5,000人のユーザーテスト中と言ってもいいかもしれませんね。

伊佐

社内からはフィードバックがすぐにもらえるんですよ。最近あったものだと、会議室の予約をオープンにするのを営業時間内にしてほしいとか。現場だから出てくる意見もたくさんあります。フロアマップを見ながら映画館の座席を指定するみたいにデスク予約をする、なども現場の声から実現したものです。

オフィスのレイアウトを見ながら座席を選ぶことができる機能は、同じチームの同僚の近くで作業したいなどの要望が形になったもの

オフィスのレイアウトを見ながら座席を選ぶことができる機能は、同じチームの同僚の近くで作業したいなどの要望が形になったもの

伊佐

今後も社内はもちろん、クライアントからの意見や要望を反映させて、ワーカーに必要不可欠なアプリにしていきたいと思います。

吉田

ビジネス側では今後も実現したい機能がたくさんあるので、僕はその機能をユーザーにより良く届けられるようにデザイン面からどんどん貢献していきたいと思います。

ありがとうございました!

(掲載日:2023年10月31日)
文:ソフトバンクニュース編集部

オフィスビルの課題を解決し、ワーカーの利便性を向上させる「WorkOffice+」

オフィスビルの課題を解決し、ワーカーの利便性を向上させる「WorkOffice+」

オフィスビルの利用に関わるさまざまな機能を1つに集約したソリューションで、会議室予約や空調管理、お知らせ配布などのオフィス運営に関する機能を利用できます。その他、無人コンビニなどのサービス連携によりオフィスで働く従業員やゲストにとっても利便性の高い機能をアプリから気軽に利用できます。

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