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次世代社会インフラ構築に向け、量子コンピューターなどの早期実用化へ ーソフトバンク株式会社 2024年3月期 第2四半期 決算説明会レポート

2023年11月8日、ソフトバンク株式会社の2024年3月期 第2四半期決算説明会が開催され、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一が連結業績と次世代社会インフラの構築に向けた生成AI基盤の取り組みなどを説明しました。

通期業績予想に対し計画通りに進捗。純利益は前年同期比29%増

2024年3月期 第2四半期累計の売上高は、前年同期比4%増の2兆9,338億円で4事業が増収。営業利益は前年同期比6%増の5,144億円となり、「通期での全セグメント実質増益に向けて順調に進捗」と報告しました。

売上高 セグメント別

営業利益 セグメント別

また、純利益は前年同期比で29%増の3,021億円となりました。2023年度の通期業績予想に対し上期の進捗率は、売上高49%、営業利益66%、純利益72%と順調に推移していると述べました。

2023年度 第2四半期 連結業績

各セグメント順調に推移。経済圏の強化やグループ内再編により成長を目指す

コンシューマ事業は、売上高が前年同期比0.4%減収であるものの、モバイルサービス売上高の減少幅は縮小傾向にあり、2024年3月期通期の増益目標に対して上期の進捗率は66%であると述べました。

コンシューマ事業 通期営業利益予想 進捗

スマートフォンおよび主要回線の純増数は昨年度に引き続き好調、スマートフォンの累計契約数は前年同期末比6%増と説明。2023年11月6日には契約数が3,000万件を突破し、2020年8月に発表した目標を達成。また、2023年10月から「ソフトバンク」「ワイモバイル」の両ブランドで新しい料金プランの提供を開始したことに触れ、「経済圏の取り組みのひとつである新料金プランはグループ会社の成長のみならず、ソフトバンクの顧客基盤の拡大にもつながっている」と説明しました。

料金プラン改定(2023年10月〜)

エンタープライズ事業は、売上高が前年同期比で5%増収、営業利益は15%増益。ソリューションなどの売上高が15%増収で引き続き順調。同売上のうち7割超を占める継続収入は前年同期比18%増と好調に推移。中期経営計画で掲げたエンタープライズ事業の成長戦略「社会課題の解決に繋がる新事業の創出」が進展していると述べ、ヘルスケア/Autonomous Building領域の取り組みを紹介。「将来的には、Made in Japan の先進的な技術を海外に展開していきたい」と期待を述べました。

エンタープライズ事業 ソリューション等 売上高

メディア・EC事業は、売上高が前年同期比2%増、営業利益はコスト最適化および一過性の利益を計上したこともあり前年同期比28%増であったと説明しました。グループ内再編により、2023年10月1日付で発足したLINEヤフー株式会社は事業効率化とメディア・検索・コマースの再成長を目指す方向性を示しました。

今後の取り組み

ファイナンス事業は、PayPay株式会社の子会社化による影響などで、売上高が前年同期比190%増収。営業利益は減益となりましたが、2023年3月期の期初からPayPay株式会社を子会社化していたと仮定した場合、2023年3月期 上期の営業損失92億円から大幅に改善。PayPay株式会社の連結売上高は995億円、連結EBITDAは41億円となり、初の2四半期連続で連結EBITDAの黒字化を達成しました。

PayPay 連結売上高

決済代行サービスを展開するSBペイメントサービス株式会社は、上期の決済取扱高(GMV)は3.8兆円と前年同期比21%増で、特にグループ外の決済を含む非通信の領域がけん引し、同領域は前年同期比で29%増加と着実に成長を続け、営業利益は前年同期比で14%増となりました。

SB Payment Service 決済取扱高(GMV)

加速する非地上系ネットワーク(NTN)の取り組み

衛星やHAPSを既存のモバイルネットワークと統合して圏外エリアのない世界を実現するために、2023年9月にOneWebと販売パートナー契約を締結。また、同年9月から国内の企業や自治体向けに「Starlink Business」の提供を開始しました。

当社がNTNを活用し目指す方向性

HAPS事業において、総務省所管のNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)から2つの委託研究を受託し、商用化に向けた研究開発の状況を共有。さらに、ルワンダで行っている実証実験ではHAPSが安定して動作することが確認できたと報告し、「デジタル格差、教育格差解消の重要な一歩を踏み出せた」とコメントしました。

HAPS通信関連で特許が多数承認されている事実に触れ、Beyond 5Gに向けて引き続き研究開発を加速していく旨を述べました。

次世代社会インフラの構築に向け、量子コンピューターなどの早期実用化へ

次世代社会インフラの構築に向けて、大規模なAI基盤や量子コンピューターが稼働するデータセンター「Core Brain」を北海道に構築予定で、2026年度に第1次工事を完了し開業を目指していると説明。

Core Brainの進捗

国産生成AIの自社開発のための計算基盤が稼働を開始し、2024年内に3,500億パラメーターの日本語国産LLM(大規模言語モデル)の構築を目指すと述べました。また、経済産業省より「量子・スパコンの統合利用技術の開発」の委託事業者として採択されたことに触れました。理化学研究所と協力してスーパーコンピューターと量子コンピューターを連携させるプラットフォームの研究開発を推進し、量子コンピューターの早期実用化を目指します。

量子・スパコン 連携プラットフォームの開発

2023年11月に、成長投資資金の確保のため、総額1,200億円(固定配当年率2.5%)の第1回社債型種類株式を発行。調達した資金の主な使途は、次世代社会インフラに関連した成長投資などを想定していると説明しました。

2024年3月期 第2四半期 決算説明会

(掲載日:2023年11月7日、最終更新日:2023年11月9日)
文:ソフトバンクニュース編集部