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遠隔制御ドローンで救援物資を配送。和歌山県すさみ町で南海トラフ地震を想定した防災訓練

遠隔制御ドローンで救援物資を配送。和歌山県すさみ町で南海トラフ地震を想定した防災訓練

12月6日、和歌山県すさみ町で南海トラフ地震とそれに伴う津波による災害の発生を想定し、ドローンを活用して災害時の物資支援を行う訓練が行われました。

すさみ町の課題に、ドローンやICTなどで立ち向かう

訓練が行われた和歌山県すさみ町は、世界文化遺産の熊野古道がある海沿いの町。南海トラフ地震発生時のシミュレーションでは、人口の約50%が死亡する可能性が試算されており、その内の85%は津波による被害です。津波により、すさみ町の国道は10カ所以上寸断され、複数の避難所が孤立してしまうことが想定されています。さらに、高齢化が進むすさみ町では、災害時に救助にあたれる人が少ないため、道路の寸断などの影響を受けないドローンを、救助活動に活用できないか検討していました。

陸路が途絶え孤立した避難所にドローンで物資を配送

今回の訓練は、南海トラフ地震とそれに伴う津波の発生を想定。「道の駅すさみ」から約2.3km離れた避難所まで、水10Lと非常食10kgの物資をドローンで運ぶというものです。

また、この訓練は、国土交通省都市局の「令和5年度スマートシティ実装化支援事業」に選定された実証実験の一環として実施されました。国土交通省が推進する、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」を活用して、道の駅すさみを中心とする約7.4ヘクタールの建物データをデジタル化し、平時・有事でのドローン活用のためドローン航路「空の道」を設定しました。事前に「空の道」を設定しておくことで、通常は現地でドローン専門家や自治体関係者と調整する上空でのLTE通信の可否確認、飛行禁止エリアの回避確認、離着陸地点の障害物確認を省略してドローン航行を実施することができます。

ソフトバンクは、防災訓練の主催となる「すさみスマートシティ推進コンソーシアム」の防災ワーキンググループ幹事として、防災訓練全体の企画立案から実証実験の運営を統括。ドローンの機体の開発を行うベンダーとスピーカーの開発を行うベンダーとの調整も行いました。

陸路が途絶え孤立した避難所にドローンで物資を配送

小学校では、ドローンを遠隔操作している様子が確認できました。実際の災害時に指揮命令を実施する防災センターからの操作を想定して、小学校で実施しました。遠隔からドローンを操作できることで、災害時に混乱が予想される現地でのドローン作業の負担を、最小化することが可能となります。

まず、町民へ訓練開始のアナウンスをするためスピーカードローンを飛ばし、その後、発災した想定で訓練がスタート。海岸沿いの道路状況を確認するため、上空のドローンから送信された映像で「点検」を行いました。映像はほとんど遅延もなく、とても鮮明でした。

陸路が途絶え孤立した避難所にドローンで物資を配送

道の駅すさみに移動し、実際に支援物資を運ぶドローンを飛ばす様子を見学しました。避難所からアプリで依頼された支援物資をドローンに詰め込み、配送。

陸路が途絶え孤立した避難所にドローンで物資を配送
陸路が途絶え孤立した避難所にドローンで物資を配送

無事避難所に物資を届けてドローンが帰ってきたところで訓練は終了。訓練が終了したことを町民に伝えるのもドローンです。

陸路が途絶え孤立した避難所にドローンで物資を配送

訓練を指揮した担当者のコメント

担当者

和歌山県すさみ町とソフトバンクが中心となって、平時の観光と災害発生時に命を守る防災を、共通のデジタルソリューションで実現するスマートシティ推進に取り組んでいます。今回の訓練では、3Dマップやドローンを活用し、空からのアナウンスや物資の輸送を行うことによって、住民へ安心安全を届けるとともに、点検による自治体の作業効率化と危険作業の低減にも総合的に有効であることが確認できました。

平時は地域の魅力を向上させ、有事の際には住民や観光客を災害から守る、平時・有事共通のデジタルソリューションの提供によって、地方都市の社会課題を解決するモデルケースとなれるように、今後も取り組みを続けていきます。

(掲載日:2023年12月20日)
文:ソフトバンクニュース編集部