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アフリカの貧困地域に通信手段を。産業を支える人材育成とデジタルデバイド解消への挑戦|SoftBank SDGs Actions #22

アフリカの貧困地域に通信手段を。産業を支える人材育成とデジタルデバイド解消への挑戦|SoftBank SDGs Actions #22

「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。22回目は、アフリカの郊外や地方へ空から通信を届け、学校教育の質を底上げするEdTechの取り組みです。

松本 基(まつもと・もとい)

話を聞いた人

ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット統括 プロダクト技術本部 グローバル通信事業統括部 担当部長

松本 基(まつもと・もとい)

2000年にソフトバンクに入社。グループ企業の代表を11年間務めた後、ソフトバンクで海外事業戦略室、人事を経て、現テクノロジーユニットのグローバル通信事業統括部の担当部長としてアフリカのプロジェクトを主導する。

アフリカの貧困地域に通信手段を届けたい

アフリカは世界の中でも唯一人口が増え続ける地域とされています。人口が増えるということは、消費が増え、生産者が潤い、新しい産業が生まれていくということ。一方で、アフリカの貧困問題は大きな社会課題であり、多くの人々が貧困のサイクルから抜け出せずにいます。全くお金がないわけではなく多少の所得があるのですが、提供されているサービスが高くて利用できない。その1つに通信があると思っています。

都市部では携帯電話のネットワークやインターネットの環境が整っていますが、郊外や地方ではほとんど通信がつながっていません。一部の郊外でも通信は提供されていますが、一般市民からすると高額で到底手が届きません。事業者としても利益を先に考えると郊外や地方でのサービス提供はなかなか採算が合わないため、都市だけではなく郊外を巻き込んだお金が循環する仕組み作りが必要です。私はここに挑戦したいと思っています。

ルワンダの地方の学校の屋根に設置されている衛星アンテナ

ルワンダの地方の学校の屋根に設置されている衛星アンテナ

アフリカのほとんどの地域で、電波は衛星から届けられますが、電気が通っていない地域では地上のアンテナが機能しないため、技術的に衛星通信を受信することが難しいとされています。ソフトバンクが研究開発を進めている、成層圏から通信を届ける基地局「HAPS」は、地上のアンテナを介さずに直接端末に通信を送ることができます。HAPSは、貧困層が多く暮らしている赤道直下にあるアフリカの国々の地方や郊外エリアに、地上からの電力供給なしで通信を届けることができます。

われわれソフトバンクは、2025年までにアフリカのブロードバンドの普及率を、現在の2倍となる51%にするというビジョンを掲げ、ルワンダの大統領が先導しアフリカ大陸38カ国と世界的企業が加盟する「Smart Africa」のボードメンバーとして、HAPSなどの通信技術を活用したアフリカのデジタル化を推進しています。ただ、HAPSを通じて、常時安定した通信サービスを提供するためにはもう少し技術的な革新が必要です。それを見越した上で今ある課題に対してできることはないかと考えたときに、アフリカのIT先進国であるルワンダ政府と衛星通信を用いた教育事業をスタートさせました。

産業を育てる最初の一歩として、「教育」に着目

ルワンダでは子どもの数は増えていますが、教員資格のある大人の数は増えていません。通信環境が整っていない学校が1,500以上もあり、教育格差の課題があります。われわれはまず、通信インフラを整備し、授業の質を高めるためのコンテンツ提供や学校作りに取り組んでいます。現在行っている教育プロジェクトは、衛星アンテナとWi-Fiアクセスポイントを活用した通信提供と授業動画コンテンツを提供することで、地方や郊外エリアで暮らす子どもたちが学校で質の高い教育を受けられるようにする取り組みです。

私立(プライベートスクール)と公立の学校における教育の質の差はとても大きく、首都圏の中所得者層の家庭でもプライベートスクールに行かせている家庭もあります。プライベートスクールと異なり、公立学校(パブリックスクール)にはほとんど資金がありません。私は、パブリックスクールの授業の質を向上することにとても大きな意味があると思っています。

10年以上前のケニアでの原体験が今も忘れられない

私とアフリカのつながりが生まれたのは13年ほど前のことです。当時務めていたグループ会社の代表として、アフリカのケニアにある一番貧しいといわれる学校に少しばかりの寄付をしたことがあります。そのときショックを受けたのが、給食が出ないなら親が子どもを学校に行かせないという現実です。給食が出ないなら、勉強ではなく家事や草刈りを手伝わせたい。親からすると子どもを学校に行かせるメリットがなく、親自身も幼少期をそうして過ごして育っているため、教育の重要性が伝わらないのかもしれません。

政府や学校はもちろんそれを課題として認識していて、「給食を出すから通学させてほしい」といって初めて親が子どもを学校に送る。給食の現場をみましたが、残念なことに煮た豆だけでした。

そして、私がずっと忘れられない光景がありました。寄付先の学校の校庭で、子どもたちに将来の夢を聞いたところ、「医者になりたい」という子がいました。その理由を聞いたところ、返ってきた言葉は「きょうだいみんなが医者に診てもらえずに死んでしまったから」。その後アフリカからしばらく離れても、そのときの光景や言葉はずっと忘れられませんでした。今こうして、デジタルデバイドの解消を目指してアフリカで衛星やHAPSを用いた通信事業に携わるようになり、当時の経験が点と点でつながった気がしました。

10年以上前のケニアでの原体験が今も忘れられない

人生をかけて挑戦したい。とにかく安い、そして生活が一変するサービスを

アフリカの教育プロジェクトを担当して4年が経ちますが、とてもやりがいを感じています。私のミッションは、単発ではなく長期的に経済が循環し、収益にもつながる持続可能なビジネスモデルを作ること。今ようやくその入り口に立ったと思っているところです。

格安の衛星回線を実現することすら最初は不確実だった中で、少しずつ仕組み作りに取り組んできました。アフリカの人口はまだまだ増えますが、どれくらい格安で通信環境を提供できるのか。通信環境を提供するために必要であれば電気やデバイスもセットで提供する。つまり、トータルでもとても安く、その人たちの生活が変わるくらいいいものを提供する。今思い描いているアイデアが解決策になるのか、チャレンジしていく必要があると思っています。

幼少の頃から、アフリカにいる子供たちであれ、家族であれ、誰であっても、自分の周りの人々を想定以上に喜ばせることに興味があります。そこには自己犠牲の気持ちはなく、それに挑戦する自分自身が好きで、もちろん外れるときもありますが、これまでの自己の幸せにもつながってきたような気がします。今後は、社内外の方々とより調和しながら、ルワンダ以外にも活動地域を広げていきたいです。

人生をかけて挑戦したい。とにかく安い、そして生活が一変するサービスを

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(掲載日:2024年1月19日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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今回紹介した内容は、「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」することで、SDGsの目標「1、3、4、8、9、10、11」の達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。

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