現代の生活の必須アイテムとなったスマホ。使いこなすにはハードルが高いと感じているシニア世代の皆さんはまだまだ多いみたい。分からないことを自分の子どもに聞きたいけど、機嫌を悪くしてしまって聞きづらいなんて声も。一方、子世代は、いざ親に教えようと思ってもイライラしてしまって、優しくなれなかったことを後悔してしまう…。
シニア世代がスマホ操作で迷うことや苦手なこと、なぜそうなってしまうのかを知り、スマホのプロが教える7カ条を実践すれば、きっとあなたも立派なスマホのコーチになれるはずです!
ソフトバンク株式会社 コンシューマ営業統括 北関東甲信越営業部
北舘恵子(きただて・けいこ)
ソフトバンクジョイホンパーク吉岡に勤務。2023年、東日本のスマホアドバイザーを対象としたスマホ教室ロープレ大会でグランプリ(1位)受賞。全国の珍しい日本酒と、お酒に合う料理を楽しむのが趣味。
ソフトバンク株式会社 コンシューマ営業統括 関西第1営業部
笹嶋瑞奈(ささじま・みずな)
ソフトバンク本町に勤務。2023年、西日本のスマホアドバイザーを対象としたスマホ教室ロープレ大会でグランプリ(1位)受賞。趣味は旅行と写真撮影。旅先では一眼レフがマストアイテム。
目次
知っておきたい、親にスマホを教えるときの7カ条
シニア世代の皆さんがスマホを使いこなせない原因の一つは、腑(ふ)に落ちないからなんだそうです。いざスマホを使ってみると、なんでこうなるかが理解できず混乱してしまう。例えば、言葉やボタンの意味、見慣れない画面など。そして二つ目は、スマホを使いこなせている人は当たり前にやっている「同時に何かする操作」も、シニア世代の方にとっては難しいということ。操作するときに画面に集中してしまい、画面と操作するボタンのつながりが分からなくなってしまうのだとか。
つまり、シニア世代の皆さんが納得できる形で、一つずつ理解をしてもらうようなやりとりがスタートライン。この2つの前提と7カ条で、スマホの使い方をレクチャーしてみてくださいね。
スマホの操作ひとつとっても、説明にはカタカナ英語が満載。意味が理解できないだけでなく、英語自体に抵抗や苦手意識を抱く人も多いそう。操作を理解してもらうためには、英語や専門用語は極力使わず、なるべく日本語に置き換えて説明することがポイントです。
「例えば『アップデート』はそのままの意味を日本語に置き換えて伝えています。アップは『上にあげる』、デートは日付なので『最新にする』ということ。うんと簡単に言うと『スマホの脳を最新版に更新するということですよ』と説明しています」
また、IT用語の中でもシニア世代が最も分かりにくいと感じるのは、断トツでIDとパスワードなんだとか。言葉の意味だけではなく、一つのID・パスワードで全てができると思っている方が多いのだそうです。そんなときは…
「スマホやアプリは複数のIDとパスワードで管理するのが当たり前ですが、言葉の意味も含めて理解できるように説明しています。IDを部屋や銀行、パスワードをその部屋の鍵や暗証番号に。銀行口座は皆さん複数持っていて、それぞれパスワードが違うことは理解されているので、アプリやサービスを利用する際も同じことだと説明すると理解しやすいようです」
スマホの操作説明をする際に、教える側がついつい操作をしてしまいがちですが、これはNGです。教える側が操作しながら説明すると、シニア世代の方は別のところを見ていて、全く理解できていないということも。画面が変わってしまうと、今どこを触ったのか分からなくなってしまうので、教える側は指を指して場所を教えるだけ。必ず操作は自分でやってもらってください。
「自分で操作しても、なかなか一回では覚えるのは難しいですよね。そんなときは、ご自身でメモを書いてもらって、そのメモを見ながらもう一度操作をしてもらってください。もしできない場合は、そのメモが不十分だということなので、メモに説明を書き足すなどして何度か繰り返すといいと思います」
スマホの操作で必須となるタップ。実は、タップがうまくできないというシニア世代が多いんです。ほとんどの場合は、力強く押したら動くと思っていたり、指先だけで操作しようとしたり、指自体が乾燥していて反応しないということも。これもまずは、仕組みを説明して理解してもらうことが大切です。スマホの画面は静電気に反応し、力で動くものではないことや、静電気を発生させるためには指先や爪では不十分で、指の腹の真ん中で優しく押す必要があると説明すると理解していただけますよ。
「スマホの操作に決まった指はないので、どの指を使ってもOKなんです。特に、シニア世代の中には人さし指を使うと手首に痛みを感じる方もいるので、中指を使った方がうまく操作できる場合があります。ピンチも、ピースのように人さし指と中指を使ったり、両手でやるなど、その方にとってやりやすい方法を見つけてあげてくださいね」
スマホアドバイザーに相談にくるお客さまからの質問でよくあるのが「分からないところが、分からない」というもの。冗談のような質問ですが、これが現実なんです。自分で何か操作をしていると、そのときは分からなくて混乱してしまうのだけど、いざ分からないところを説明しようとしても、うまく説明できない。分からないことの説明の仕方が分からないので、二の足を踏んでしまう。なので、何に困っているのかを深掘りすることが大切。分からないところを一緒に探してあげるという気持ちで向き合いましょう。
「例えば『動かない』と相談された場合、画面がフリーズしているのか、ログインできないだけなのか、そもそも登録すらしたことなくはじかれているのか、いろいろなケースがあるんですよね。なので、どこに困っているのかを聞くのが大事。病院に行くと、どこが悪いのか寄り添って確認いただけますよね。それと似ていると思うんです。何に困っているのかを深掘りできると、困っていることにたどり着けると思いますよ」
親にスマホの使い方を教えるとなると、意思疎通がうまくできなくて、ついついイライラしてしまう。そんなときは、教えるという気持ちを先行させるのではなく、会話のきっかけと気軽に捉えてみてはいかがでしょうか? 特に親と離れて生活している人にとっては、日頃の親の様子を知るためのコミュニケーション手段と捉えてみる。親が分からないと思っていることが何なのか、どうすれば伝わりやすいのかなどを理解し、伝え方を工夫してみる。スマホを通して親とコミュニケーションすることは、親の将来をサポートしていく上でも、この先役立つかも知れませんよ。
「実は私自身、仕事では全く気にならないことでも、自分の親となるとイライラしてしまうことがあるんですよね。やっぱりこれって親と子のお互いの甘えなのかなと思っています。親には親でいてほしい。親の弱いところは見たくないみたいな。でも、誰しも年を重ねると、時代の変化についていくのが大変になります。スマホの使い方をサポートすることも、親とのコミュニケーションの一つとして楽しんでいただきたいなと思います」
シニア世代には、シニア向けのスマホを利用してもらうのがベストと思ってしまいがちですが、お客さまによっては普通のスマホをおススメしているそうです。シニア向けのスマホは操作画面が独特だったり、タップなどをした際の反応がゆっくりだったり、機能が絞られているので、使い慣れてくると物足りなく感じる方もいるそうです。また、子世代と同じスマホを使っている方が教えやすいという利点も。ただし、ガラケーからスマホに変える場合や、そもそも電話しか使わないような人にはシニア向けスマホが向いている場合もあるので、スマホをどのように使いたいのか、まずは親に聞いてみてくださいね。
「LINEやPayPayなどを使いたい場合は、やはり通常のスマホをご利用いただいた方が良いと思います。iPhone にも、Android にも、よく使うアプリだけを表示したり、アイコンのサイズを大きくすることができるシンプルモードの設定があり、シニア世代のお客さまにおススメすることが多いです」
親と遠く離れて暮らしていると、分からないことを電話で説明するのは難しい。そんな場合に備え、お近くのソフトバンクショップを、親御さんのなじみの店にしてあげてください。スマホアドバイザーのいるお店では、スマホ教室の開催だけではなく、分からないことを気軽に聞ける窓口を用意しています。まずは親と一緒にショップへ行って、スマホ教室に参加したり、スマホアドバイザーに相談してみる。何か分からないことがあれば、親御さん一人でも気軽に足を運べるきっかけづくりをしてあげることで、スマホアドバイザーが心強いサポーターになってくれますよ。
「スマホ教室でご一緒させていただいたお客さまは、その後も何かのついでに来店していただいて顔なじみになっていたりします。ただ、ご質問やご相談がある場合、接客中や予定が入っているとすぐに対応できずお待たせしてしまうことがあるので、ご来店の際はお電話やネットでの来店予約がおススメです。ぜひ遊びにきてみてくださいね」
ソフトバンクのスマホ教室でお待ちしています
スマホを試してみたい、使ってみたいお客さまは、ぜひお気軽にお近くのソフトバンクショップのスマホ教室をご利用ください。ソフトバンクのお客さまだけではなく、他社のお客さまも、ガラケーをご利用中でも参加いただけます。
(掲載日:2024年4月24日)
文:ソフトバンクニュース編集部