テレワークでずっと家にいるからといって、スマホを充電しっぱなしにしていませんか? 実はそれ、スマホの寿命を縮める原因の一つでもあるんです。そして、中には充電中に発火や発煙するという事例も……。
今回は、スマホの中に搭載されているバッテリー(リチウムイオン電池)や充電器のトラブルが起きる原因の見つけ方と予防/対処方法をソフトバンクのスマホを始めとしたデバイス品質管理のプロに教えてもらいました。
リチウムイオン電池や充電器の使用に関する啓蒙活動
教えてくれた人
ソフトバンク株式会社 テクノロジーユニット デバイス&AI技術本部 品質管理保証部 朝枝 隆裕(あさえだ・たかひろ)
IoTデバイスを中心とした商品開発におけるハードウェア品質管理・マネジメント、PL・法令の適正な品質確保や業界連携による安心安全活動などを担当
スマホ充電トラブル時の目次
こんな症状ありませんか? 確認しておきたい、主な症状①〜③(充電ができない、バッテリーの減りが早い、スマホが膨張する)
スマホの内部にはたくさんの電子精密機器が詰め込まれていて、人体と同様に精密な作りをしています。充放電を多く繰り返したり、長時間の動画視聴やアプリ利用など、高温の原因となる環境で使い続けたり、落下などの衝撃を与えたりすると、少しずつ劣化していってしまいます。
症状① 充電ができない
充電器/ケーブルとスマホの仕様が適していないかもしれません。また、スマホや充電器の充電端子(USB)の破損、充電ケーブルの断線も要因の一つ。また、高速充電を可能にする「USB PD(PowerDelivery)」「Quick Charge(クイックチャージ)」などがありますが、充電器・スマホそれぞれが対応していない場合は高速充電での使用ができません。
充電ができないときの予防方法
- スマホと充電器の仕様を確認する
- 充電器のコネクタ部分を折ったり、無理に引っ張ったりしない
充電器本体/ケーブルや、取扱説明書に記載されている定格(出力電圧/電流)がスマホの定格(入力電圧/電流)とそれぞれ仕様があります。安全を確認してから使用しましょう。
症状② バッテリーの減りが早い
電池の経年劣化、高温な場所に放置する、満充電の継続などによって起きる可能性があります。電極に使用されている素材が使用環境、操作負荷、充電といった熱などによって劣化が加速してしまい、バッテリーの減りが早くなってしまうんです。
バッテリーの減りが早いときの予防方法
- 充電しながらのスマホの使用や操作を避ける
- 100%の状態で充電し続けない
「充電しっぱなしで100%(満充電)状態を維持しつづけたり、長時間使用せずに0%(電池が空)の状態で放置したりすることを避けましょう。また、あくまでも使い方や状況によって異なりますが、スマホのバッテリーは、正しく使えば約1〜2年は新品状態と同じように使えるようになっています」
リチウムイオン電池の仕組み
リチウムイオン電池とは、電極に「リチウム」という金属を含んだ化合物を使い、「リチウムイオン」の移動によって放電する電池のこと。くわしい仕組みはこちらの記事で解説しています。
症状③ 膨張する
破損や変形などの外観異常の状態です。劣化が進んだバッテリーは寿命に近づくと内部の電解質が酸化することでガスが発生し、バッテリーパックが膨らむ場合があります。その状態での使用を続けると、バッテリーパックが損傷し、内部ショートやガス・外気による化学反応で発火・爆発を引き起こす危険性も。また、バッテリー膨張によって、リアパネルやフロントガラスが押し上がっているときは要注意です。
素材によってこんな違いも
- 樹脂やプラスチック:弾力性があるため、山のように曲線をえがく
- ガラスや金属:弾力性がないため、外れたり隙間ができる
膨張の予防方法
- 熱がこもる環境で利用しない
- 高温環境下で使わない(常温 25℃前後での使用がベスト)
- 端末を落下させるなど、バッテリー損傷を与える衝撃を与えない
スマホ充電トラブル時の症状④〜⑤(動作異常、スマホが熱い)。対処方法まとめも
症状④ 動作異常(シャットダウン、起動不能など)が起きる
本体(CPU/電池)の温度が高い場合に発生します。
動作異常の予防方法
- 熱がこもる環境で利用しない
- 過負荷がかかる使用をやめる/避ける
- 高温環境下で使わない(常温 25℃前後での使用がベスト)
症状⑤ 発熱している
複数アプリ・カメラ録画・高輝度でのディスプレー表示・LED点灯を使用しているときや、電波環境が悪いときに生じます。また、充電端子に水分や微小異物がついた状態で通電するとハーフショートと呼ばれる発熱の原因となり、発煙や発火が発生する場合もあります。
発熱の予防方法
- 過負荷がかかる使用をやめる/避ける
- 適切な温湿度環境で使用する(常温25℃前後での使用がベスト)
- 使用していないバックグラウンドアプリをオフにする
- 画面の輝度を下げる
「充電口が濡れたときに、ドライヤーで乾かしたり、布・綿棒・爪楊枝で水を取ったりするのは避けましょう。ホコリやゴミが入ってしまいます。タオルをあてて、スマホを振りながら水を出すことをオススメします」
- ※参考情報:
こちらの記事も参考にしてみてください
知っておきたい、スマホ充電トラブル時の対処方法
自己流で解決しようとせず、できるだけ早めにお近くのショップ(ソフトバンクショップやワイモバイルショップなど)へお持ちください。バッテリー交換や必要な対応を取らせていただきます。
最近よく聞くのが、電池内蔵式スマホの電池を自分で交換しようと、ドライバーなどで裏カバーを無理やり開けようとして故障するなどの事故の話。危険なので、絶対に自分でやろうとしないでくださいね。
「バッテリー内蔵型のスマホは、自分で電池交換することを前提としていません。以前はバッテリーの取り外しができる端末が多かったのですが、防水性能や薄型化の観点から、内蔵型が増えてきたようです。ご利用の機種やOSによっても対応方法は異なりますので、大切なスマホを長く安全に使うためにも、不具合を感じたらショップへお持ちください」
正しい使用方法を守って、安全で快適なスマホ生活を送りましょう。
(掲載日:2021年7月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部