ここ数日続いている記録的な大雨…。テレビを見ていると、ついに「大雨特別警報」が発表されました。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?
正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、「特別警報」が発表されたときに役立つ対策や準備の方法、サービスをご紹介。
この災害テーマのポイント
- 「特別警報」は、数十年に一度レベルの大災害の可能性があるときに発表
- 警戒レベル3〜4の時点で早めに避難
- 普段からハザードマップで自分の地域に潜む危険を確認
この災害テーマのポイント
- 「特別警報」は、数十年に一度レベルの大災害の可能性があるときに発表
- 警戒レベル3〜4の時点で早めに避難
- 普段からハザードマップで自分の地域に潜む危険を確認
目次
- リスク:「特別警報」の発表は、数十年に一度の大災害が予想される場合。最大限の警戒が必要
- 対処法:早め早めの行動が命を守る。特別警報発表前の段階で、避難の判断を
- 事前の備え:ハザードマップなどで、自分の地域に潜む危険を確認しておこう
- 特別警報が発表されたとき役立つサービス・ウェブサイト
リスク:「特別警報」の発表は、数十年に一度の大災害が予想される場合。最大限の警戒が必要
「特別警報」は、18,000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災の大津波など、これまでに経験したことのないような、数十年に一度の大災害が起こると予想される場合に発表される警報。対象地域の住民が命を守ることができるよう、最大限の警戒を呼びかけるのが目的です。近年では、地球温暖化による異常気象の影響で、大雨や洪水、土砂災害などの発生が多くなっており、特別警報の発令頻度が高まる可能性も。(異常気象は地球温暖化が原因?)
命を守るための行動指針「5段階の警戒レベル」
- 警戒レベル1:早期注意情報が発表されるレベル。最新の気象情報に注意し、心構えを高めておきましょう。
- 警戒レベル2:大雨・洪水注意報などが発表されるレベル。避難に備え、ハザードマップなどで避難行動を確認しておきましょう。(大雨被害に瀕した時の対処法)
- 警戒レベル3:高齢者や障がい者以外の人もできるだけ警戒レベル3を目安に避難を始めてましょう。レベル4になると、数時間以内に災害が発生する危険が高まり、避難方法や避難先などの選択肢が限られてきます。特に土砂災害のリクスが高い地域や河川沿いに住んでいる人は、この段階での避難が重要です。
- 警戒レベル4:対象地域にいる全員が、速やかに避難するレベル。指定の避難場所に移動するのが危険な場合は、近隣の安全な場所や、建物内の高い場所へ移動しましょう。
- 警戒レベル5:すでに災害が発生している状況。命を守るため、最善の行動をとってください。
対処法:警戒レベル3で避難。特別警報発表前の段階で、避難の判断を
大切なのは、警戒レベル3の時点で避難を始めること。すでに警戒レベル4〜5に達している場合、安全な場所への避難が困難なことも多いようです。これまでの災害では、事態を甘く見ていたために逃げ遅れたケースが多数ありました。「空振りになっても構わない」と、防災訓練をするつもりで早めに避難するのがオススメです。(避難所での生活で大切なこと)
避難する際の注意例
- 側溝やマンホールがある場所を避ける
- トンネルやアンダーパス(鉄道や他の道路の下をくぐる、周辺より低くなっている道)は通らない
- 土砂災害の危険があるときは、山や崖とは反対側の経路を通る
- サンダルでの避難はNG。スニーカーなど動きやすい靴で
暗くて道が見えづらい夜間や浸水状況によっては、移動時の被災を避けるため、自宅に留まった方が良い場合もあります。今いる場所の危険度を判断して、命を守る最善の行動を見極めましょう。
自宅に留まった方が良いケース例
- 避難の体力がない高齢者や病人がいる場合
- 自宅が川沿いでなく、2階建て以上の場合/自宅がマンション上階の場合
- 道路が冠水している場合
自宅にとどまっても数日間は過ごせるように、水・食料・バッテリーなど、普段から災害に備えて、備蓄をしておきましょう。
事前の備え:ハザードマップなどで、自分の地域に潜む危険を確認。非常用持ち出し袋の準備も!
「ハザードマップ」とは、災害が起こった際に、被害が想定されるエリアや避難場所などを示した地図のこと。ハザードマップはお住まいの市区町村の役所やウェブサイト、国土交通省が運営するサイトなどでも確認できます。 自然災害は、自らの判断で避難するのが原則。そのためにも事前にハザードマップをチェックして、安全な避難ルートを把握しておきましょう。さらに、家族の間で連絡手段や落ち合う避難場所を決めておくと、より安心です。
「ハザードマップ」
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、各市区町村での洪水・土砂災害などのリスク、道路防災情報などを地図や写真に重ねて確認できる「重ねるハザードマップ」や、自分が住んでいる市区町村が作成したハザードマップを検索できる「わがまちハザードマップ」などのが災害への備えに便利な機能が充実。いずれも無料で入手できるので、事前に自分の地域の情報を収集しておきましょう。
(大雨で土砂崩れが発生した場合の対処法)
また、日頃から災害が起きた時にすぐ使えるよう、防災グッズをひとまとめにした「非常用持ち出し袋」を準備しておくことも重要です。大雨や台風だけでなく、巨大地震などの災害にも備えることができます。袋の中には、懐中電灯、毛布、食品、水はもちろん、新型コロナウイルスなどの感染症対策のため、マスク、除菌グッズなども揃えておくと安心です。スリッパ、ハンドソープなども準備しておくと良いでしょう。また、非常用持ち出し袋は、玄関周りや車の中、外の物置などに置いておけば、家が倒壊しても持ち出すことができます。
特別警報が発表されたときに役立つサービス・ウェブサイト
① Yahoo!防災速報
避難情報や緊急地震速報、豪雨・津波などの情報を知らせてくれるアプリ。アプリをダウンロードして設定すると、位置情報を利用した現在地と、あらかじめ設定しておいた3地域の情報を、プッシュ通知で受け取ることができます。
② 緊急速報メール
気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報・気象などに関する特別警報および、国・地方公共団体が配信する災害・避難情報などを、回線混雑の影響を受けずにスマホに発信するサービス。
③ みまもりマップ
家族がお互いの居場所をマップで確認できるソフトバンクのサービス。災害発生時には、家族が災害エリアにいることを知らせてくれたり、周囲に救援を求めたりすることもできます。また、平常時には、大切な家族が今どこにいるか、学校・病院などの指定エリアに到着・出発できたかなどの確認をすることが可能です。
④ 安否確認手段に災害用伝言板サービス
大規模災害などで音声発信が集中してつながりにくくなった際に、安否情報を確認できるサービスです。無料で使えて、事前の申し込みも必要ありません。
⑤ 電話を使った災害用伝言ダイヤル
被災地の方の電話番号宛に、安否情報などの伝言を音声で登録・確認できるサービス。「171」をダイヤルし、利用ガイダンスに従って使用します。スマホや携帯電話の操作が不安という高齢者の方などは、こちらが使いやすいかもしれません。
監修者 防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)
1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。
(掲載日:2020年2月4日、更新日:2022年12月21日)
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草