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大雨で土砂崩れが発生…。あなたが取るべき行動は? −防災行動ガイド

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

大雨や集中豪雨が続く中、近所で土砂崩れが発生。自宅にも危険が迫っているかもしれないと、心配で夜も眠れない…。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、土砂災害の被害を防ぐための対処法などをご紹介。

この災害テーマのポイント

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

  1. 日本は、地形・地質・気象などの国土条件から土砂災害が起こりやすい
  2. 自宅に留まる場合には「垂直避難」。前兆現象を感じたら、即避難
  3. 自宅の危険度は、ハザードマップで確認できる

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

この災害テーマのポイント

  1. 日本は、地形・地質・気象などの国土条件から土砂災害が起こりやすい
  2. 自宅に留まる場合には「垂直避難」。前兆現象を感じたら、即避難
  3. 自宅の危険度は、ハザードマップで確認できる

目次

リスク:日本は世界でも土砂災害が起こりやすい国。2018年の発生件数は過去最多

国土の約7割を山地や丘陵地が占め、もろくて崩れやすい地質が多い日本。その上、温帯低気圧や台風(熱帯低気圧)の通り道で大雨が降りやすく、地震が多いことから、土砂災害が起こりやすい環境条件にあります。特に最近の大型台風やゲリラ豪雨により、土砂災害の発生件数は増加。国土交通省の調べによると、2018年は3,459件の土砂災害が発生。昭和57年の集計開始から、過去最多となりました。(大規模地震による被害想定

土砂災害は「がけ崩れ」「地すべり」「土石流」の3種類

すさまじい破壊力を持った土砂が、一瞬にして多くの住宅や人の命を奪ってしまう土砂災害。その種類は3つに分けられます。

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

がけ崩れ
急な斜面が、雨水の浸水や地震の影響などで崩れ落ちる現象。突然発生し、スピードが速いのが特徴。崩れた土砂は、斜面の高さの2~3倍も離れた距離まで届くことも。

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

地すべり
比較的ゆるやかな斜面が、地下水や重力などの影響で、斜面の下方向へ移動する現象。豪雨や雪どけ時に起きやすく、一度に広範囲の斜面が動くのが特徴。

キャプションキャプション大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

土石流
長雨や集中豪雨などの影響で、山腹・川底にある石や土砂が、一気に下流へと押し流される現象。山から流れてくる急な斜面の谷川で起きやすい。時速20~40kmと高速で、破壊力が大きいのが特徴。(大雨が降っている時の対処法

対処法:前兆現象をキャッチしたら、ただちに避難しよう! 移動が困難な場合は「垂直避難」がポイント

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

避難のタイミングは、お住まいの地域に土砂災害警戒情報が発表されたときや、自宅付近で「土砂災害の前兆現象」を確認できたとき。土砂災害のリスクがあるときは、速やかに自宅から離れるようにしましょう。(大雨、台風の特別警報が出たら?

土砂災害の前兆

がけ崩れ

  • 斜面にひび割れができる
  • 砂や小石が落ちてくる
  • 斜面から水が湧き出る
  • 斜面から音がする

地すべり

  • 地面がひび割れたり、陥没したりする
  • がけや斜面から水が噴き出す
  • 沢や井戸の水が濁る
  • 山鳴り、地鳴りがする
  • 樹木が傾く

土石流

  • 山鳴り、地鳴りがする
  • 急に川の水が濁り、流木が混ざり始める
  • 土の腐った匂いがする
  • 大雨が続いているのに、川の水位が下がる
  • 木の裂ける音や石がぶつかる音がする

自宅の中では垂直避難

避難場所への道のりが絶たれてしまった場合や、大雨や夜間などで外出が危険な場合、高齢のため急な移動が難しい場合には「垂直避難」を。

移動することがかえって危険な場合は無理に避難場所へ向かおうとせず、近隣の比較的高い頑丈な建物へ避難するか自宅に留まる方が安全な場合もあります。その際は、2階以上で、がけや斜面の反対側にある部屋に避難することがポイント。助かる確率が格段に高くなります。実際の土砂災害の被害でも、がけ側に面した家の一部だけが被害に遭い、反対側にいた方が無事だったということがあります。

事前の備え:ハザードマップを入手して、自分が住む地域の危険度をチェックしよう

大雨で土砂崩れが発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

土砂災害は山岳部だけに発生するものではないことを覚えておくのも、大切なポイントです。土砂災害が発生する恐れのある区域は日本全国で約67万カ所、東京都内で約2万9千カ所。これらの区域は「土砂災害特別警戒区域」「土砂災害警戒区域」に指定されており、市区町村が配布するハザードマップで調べることができます。

ハザードマップの入手法と正しい見方

ハザードマップの情報は推測値であるため、実際の災害規模や被害範囲とは異なるケースも。あくまでも最低限の目安として活用しましょう。

ハザードマップの入手法

  1. 国土交通省のポータルサイトで入手:ハザードマップポータルサイト
  2. 市区町村のウェブサイトで入手:検索方法⇒「土砂災害 ハザードマップ お住まいの市区町村」
  3. 市区町村の役場で、印刷物を配布している場合も

ハザードマップの正しい見方

自宅の場所が以下のゾーンに入っているかどうか、がけ崩れ・地すべり・土石流のうち、どの災害が起きやすい場所かをチェックしましょう。

  • 土砂災害特別警戒区域=赤色(レッドゾーン)
  • 土砂災害警戒区域=黄色(イエローゾーン)

土砂災害の被害を防ぐために知っておきたいサービス・ウェブサイト

① Yahoo!防災速報

Yahoo!防災速報

避難情報や緊急地震速報、豪雨・津波などの情報を知らせてくれるアプリ。アプリをダウンロードして設定すると、位置情報を利用した現在地と、あらかじめ設定しておいた3地域の情報を、プッシュ通知で受け取ることができます。

② 東京都防災マップ

東京都防災マップ

東京都内の一時滞在施設や避難所、避難場所、災害時帰宅支援ステーションの場所を探すことのできるウェブサイト。ご自宅や職場の近くにある施設をあらかじめチェックしておくと、いざというときに困りません。

東京都防災マップ

③ 緊急速報メール

緊急速報メール

気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報・気象に関する特別警報のほか、国・地方公共団体が配信する災害・避難情報を、回線混雑の影響を受けずにスマホに届けるサービス。

④ みまもりマップ

みまもりマップ

家族がお互いの居場所をマップで確認できるソフトバンクのサービス。災害発生時には、家族が災害エリアにいることを知らせてくれたり、周囲に救援を求めたりすることもできます。また、平常時には、大切な家族が今どこにいるか、学校・病院などの指定エリアに到着・出発できたかなどの確認をすることが可能です。

⑤ 安否確認手段に災害用伝言板

安否確認手段に災害用伝言板

大規模災害などで音声発信が集中してつながりにくくなった際に、安否情報を確認できるサービスです。無料で使えて、事前の申し込みも必要ありません。

監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋洋先生

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2020年5月13日、更新日:2023年7月4日)
監修:高橋洋
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草