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進化し続ける企業グループとなるために。人事ポリシーに込めた思いとは-ソフトバンク人事本部長インタビュー

進化し続ける企業グループとなるために人事が大切にしたいこと~人事ポリシーに込める想い~-ソフトバンク人事本部長インタビュー

IoTやAIなど新しいテクノロジーの普及・拡大によって急速に変化する現代。企業が持続的な事業の成長・成功を実現するためには、進化し続ける組織であることが不可欠であり、多様な人材がイキイキと働く集団であることが重要だとソフトバンクは考えています。そのために会社としてどのようなポリシーを持って人事施策を行っているのか、人事本部長の源田泰之にインタビューしました。

源田 泰之(げんだ・やすゆき)

ソフトバンク株式会社 執行役員 コーポレート統括 人事本部 本部長
兼 総務本部 本部長 兼 Well-being 推進室 室長  源田 泰之(げんだ・やすゆき)

1998年入社。営業を経験後、2008年より人事領域を担当。ソフトバンクのグループ会社であるSBアットワーク株式会社、SBイノベンチャー株式会社、SBエンジニアリング株式会社の取締役を務める他、公益財団法人 孫正義育英財団の事務局長。2019年に日本の人事部「HRアワード2019」企業人事部門 個人の部最優秀賞 受賞。

人事施策の幹となる「人事ポリシー」を8年ぶりに見直し

ソフトバンクはさまざまな人事施策を行っていますが、その根幹をなすものとして人事ポリシーが定められています。人事ポリシーとはどのようなものか、改めて教えてください。

ソフトバンクの人事は「人」と「事業」をつなぎ双方の成長を実現することをミッションとしています。その中で人事が果たすべき役割や、会社や社員とのつながりをしっかりと言語化して位置づけする必要があると考え、2015年に「人事ポリシー」を制定しました。

ソフトバンクが持続的に成長し続ける企業グループになるためには、大企業病に陥ることなく、常に元気で活力にあふれた集団である必要があります。人事の役割は、そのための環境を整えることであり、人事ポリシーはソフトバンクならではの活力を作り出すための各種施策の「幹」となるものだと言えます。

今年、その人事ポリシーの見直しが行われました。どのような背景があったのでしょうか。

以前に制定した人事ポリシーが古くなったとか、内容が少し違っていたとか、そういうことではないんです。2015年策定の人事ポリシーでは、会社が成長していくために欠かせない人事の役割、社員の挑戦へのサポート、仕事の成果への正しい評価を「勝ち続ける組織の実現」「挑戦する人にチャンスを」「成果に正しく報いる」の3項目で明文化していました。社員から見ても会社や人事から何を期待されているかが、しっかりと書かれていたと思っています。

一方で、昨年は「人的資本元年」と言われたように、人的資本の開示が義務付けられました。また、コロナ禍を経て、リモートワークの普及、就労観の変化、テクノロジー活用の加速といった環境の変化は、会社と個人の関係性に変化をもたらしています。

環境の変化に限らず、例えばZ世代と呼ばれる、上下関係を好まない、自己実現・社会貢献欲求が高い世代の価値観の違いなどの状況変化もふまえて、表現やニュアンスを変えたほうが、より社員の納得感が高まるのではないかと考えたのです。

ですから、人事ポリシーの本質的な内容は変わってはいませんが、世の中から見てもソフトバンクはこういう人事ポリシーに基づいて社員のことを考えているんだと伝わりやすいものに変更しました。

人事施策の幹となる「人事ポリシー」を8年ぶりに見直し

未来のソフトバンクを担う世代に伝わる人事ポリシーを全員参加でディスカッション

新しい人事ポリシーの策定プロセスで意識したことはどんなことでしょうか。

先ほど世代による価値観の違いと言いましたが、未来のソフトバンクを担っていく世代の人からも受け入れられるように、さまざまな考え方の人に対してちゃんと伝わるように、ということを意識しました。

そのため、一部の管理職で決めるのではなく、若手も含めて人事本部のメンバー全員参加で案を出し合って、何度もディスカッションを重ねて、より伝わりやすい文言にブラッシュアップしました。

最終案をまとめる過程では、人事だけではなく営業やエンジニアの社員も巻き込んで700名近くの人にアンケートをとりました。見直しの検討開始から最終化まで、およそ半年かけて完成しました。

ソフトバンクの人事ポリシー

ソフトバンクは、継続的な事業の成長・成功を実現することに加え、働く個人が会社とともに成長し自己実現につながる職場環境を構築したいと考えています。そのために会社として大切にすべきポリシーを定め、さまざまな人事施策を推進しています。

ソフトバンクの人事ポリシー

人的資本の最大化で一番大事なことは、社員が成長できる環境をどう作るか

今回の新しい人事ポリシーでは「多様な人材がイキイキ働く環境作り」という項目が新たに追加されています。この点について教えてください。

先ほど申し上げたように、当初の人事ポリシーからある3項目の本質的な内容は変えていませんが、今回新たに「多様な人材がイキイキ働く環境作り」という項目を加えました。社員が元気にイキイキと健康な状態で働くことは重要な経営資源だと考えています。社員が持続的に健康・幸福な状態、Well-beingな状態であることが、パフォーマンスの向上や会社の成長と相関関係にあるという考え方です。

社員が成長できる環境、社員が自分の実力を最大限発揮できる環境というのが今後ますます重要になると思っています。世代間ギャップの観点でも画一的な価値観ではなく、多様な価値観や多様なリーダーシップが受け入れられる社会に変わっていきます。その中でソフトバンクもそういう世界を目指していきたいと示すため、今回4つ目の項目を追加して明文化しました。

既存の項目については、会社と個人の関係性の変化、世代・価値観の変化を意識して変更を行ったということでしょうか。

そうですね、主に表現やニュアンスの変更です。例えば「進化し続ける組織」は、以前は「勝ち続ける組織」でした。もちろん、ナンバーワンや勝ちにこだわるところは、ソフトバンクのDNAとして大事なもののひとつです。しかし、今の時代の若い世代からすると、そもそも誰に対して何を勝つのかというところが不明瞭だったり、グループ企業の総和でシナジーを推進している会社の状況をふまえると、他者との勝ち負けではなく、自社の発展にフォーカスする方が良いのではということで表現を変えました。未来に向けて、より建設的に発展していく、成長し続けることをイメージとしたものです。

また、会社と個人の関係性の変化についてもお話しましたが、いま、人と会社がどんどんフラット化されている中で、個人の成長が会社の成長につながって、会社が発展し、それがまた個人の成長につながるというサイクルが重要であると言われています。そういう対等な関係性を意識して、一方的な会社目線と捉えられるような表現を変えたりしています。

人事本部長としてこれからの展望・抱負をお聞かせください。

まず、社員が心身共に健康な状態、幸せな状態で働ける環境を目指していきたいです。その上で、ソフトバンクで働くと成長機会が多くある、自分自身の成長に向けて挑戦できる機会がたくさんある、そういう世界を作っていきたいと思っています。これは、男性も女性も外国籍の方もシニアも若手にも機会があって、多様な人材がそれぞれ成長できる環境を作っていきたいと、人事として強く思っているところですね。

当たり前ですが、世の中の価値観が多様化する中で、会社もお客さまが求めるものも多様化しています。そんな中で、画一的な意思決定というよりは、さまざまな人たちが自分たちの価値観や意見を反映できるような意思決定の仕組みや組織の仕組み、そういったものが会社の成長には欠かせません。

繰り返しになりますが、人事のミッションは人と事業をつなぎ、双方の成長を実現することです。人事ポリシーを幹として、今後も社員の成長と事業戦略との連動を意識し、進化し続ける企業グループを目指して人事の役割を果たしていきたいと思っています。

人的資本の最大化で一番大事なことは、社員が成長できる環境をどう作るか

社員がイキイキ働く環境作りを推進

ソフトバンクでは組織と社員個人のパフォーマンスを最大化することが企業価値の向上につながるとの考えの下、さまざまな取り組みを推進。外部機関からもその成果が認められています。

(掲載日:2023年8月1日)
文:ソフトバンクニュース編集部