「リーダーシップ」と「地域貢献スキル」を学ぶため、カリフォルニア大学バークレー校へと旅立った、東北地方の高校生100人。
旅の前半では、問題解決型ワークショップ「Y-PLAN(Youth - Plan, Learn, Act, Now!)」に参加し、リッチモンド市の地域活性化プランづくりを行うなど、貴重な経験を積んできました!
3週間にわたる「TOMODACHIサマー2017・ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム(TOMODACHIプログラム)」で、彼らが学んだこととは? 自ら気づいた地元の課題とは?
プログラム後半戦に突入した高校生たちの成長ぶりを見てみましょう!
プログラムで学んだことの“総まとめ” 地元の課題とは? 解決するアイデアは?
TOMODACHIプログラムの締めくくりは、高校生たちが自分たちで考えた“アクションプラン”を発表し合うこと。アメリカで学んださまざまなことを活かし、高校生から見た東北の地元の課題とそれを解決するためのアイデアをまとめ、帰国後はそのプランを実行するまでが求められます。
高校生たちは、「地元にはどんな課題があるか」「自分は何がやりたいか」を、徹底的に掘り下げていきました。最終的にはなんと88件の新規プランが誕生~! 3週間の経験が良い刺激となり、たくさんのアイデアが集まりました!
また、アクションプラン作りの合間には、リフレッシュと異文化交流のため、全員がホームステイを体験。アメリカの一般家庭に、2泊3日の間お世話になりました♪ さまざまなバックグラウンドのご家庭が、高校生たちの「家族」になってくれましたよ!
高校生たちが“地元”を変える! 自らが考えたアクションプランをいよいよ発表☆
いよいよプログラム最終日。プレゼン資料や手書きのポスターなどを用いて、自分たちの作ったアクションプランを発表します!
「福島県沿岸部から内陸へ避難してきた人と、元の住民との壁をなくすために、商店街の壁に一緒にウォールアートを作りたい」
「”つなみてんでんこ※”の大切さを後世に伝えるため、幼い子どもにも分かる劇を作って、語り継いでいきたい」
自分自身の経験と地域の状況に基づき、100人それぞれが、高校生ならではのアイデアを提案してくれました。
帰国後に各自のプランに取り組み、それぞれの地域で地元を活気づけていくことを誓い合って、アメリカの地に別れを告げたのでした☆
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つなみてんでんこ
「つなみてんでんこ」は、東北の三陸地方に昔から伝わる防災教訓。「各自」「めいめい」を意味し、「津波が来たら取るものも取らず、各自ばらばらに高台へ逃げろ」という意味があります。東日本大震災では、この「てんでんこ」を標語に防災訓練を行っていた地区の小中学生が、それぞれ走って高台へ避難し、全員生存したという事例があります。
参加してみてどうだった? 高校生たちにTOMODACHIプログラムの感想を聞いてみた♪
たくさんの学びや感動があったアメリカでの3週間。代表して、2人の高校生にインタビューしました♪
林 葵衣(ハヤシ アオイ)さん(福島県富岡町出身)
プログラムに参加したきっかけは?
最初は単に留学したいという思いから、応募しました。しかし応募した後、震災当時自分が住んでいた富岡町を6年ぶりに訪れて、あまりにも人がいない様子を見て衝撃を受けました。結果的には、地元のことをじっくり考えるいい機会になったと思います。
アメリカで学んだこと、自分の中で変わったことはありますか?
仲間たちと深いつながりが生まれました。これまでの私は、“空気を読んで”しかたなく周りに合わせていたようなことも…。でもアメリカでは、「チームの力になりたい」と自然に自分の意見を伝えられ、またそれを受け入れてもらえたことで、とても大きな自信になりました!
林さんが考えたアクションプランを教えてください
地元の商店と音楽を組み合わせた“ミュージックフェス”の開催です。地域の人が集まり、地元のお店のものを食べながら音楽を楽しむことで、活気が生まれると思います。
実現に向けてハードルは多くありますが、アメリカで出会った若い起業家たちは皆、「やってみなければ分からないし、やってみたいならやらないと損をするよ」と言ってくれました。その言葉を胸に、どんどんチャレンジし、いつか成功させたいです!
佐可野 瞬大(サガノ シュンタ)さん(岩手県宮古市出身)
プログラムに参加したきっかけは?
僕の住んでいる宮古市では、震災を学習できる観光客向けのツアーを行っています。でもこれからの宮古にとっては、「震災に頼らないまちづくり」をしていくことが大事なのではと、常々感じていました。そのヒントを探りたいと思い、参加を希望しました。また、2016年度のプログラムに参加した、姉の影響もありました。帰国した姉から「視野が広がった」「人生観が変わった」と聞かされ、自分も参加したいと強く思いました。
プログラムで一番印象に残っていることはなんですか?
25人のチームで行った“Y-PLAN”のプレゼンです。僕のチームでは、あえてリーダーを置かずに、チームをさらに細かくグループ分けして、プレゼン準備を行っていました。
しかし、各グループ間の考えを共有せずに作業を進めていったため、伝えたいことが一つにまとまらないまま発表当日を迎えてしまったのです。「周りを見ること、意見を共有することの大切さ」を学んだ3週間でした。
佐可野さんが考えたアクションプランを教えてください
小学生を対象に、地元の良さを知ってもらう日帰りツアーを実施するというものです。小さい頃から地元に愛着をもつことで、将来もずっと宮古に住み続けてもらえればと。まずは、来年春の開催に向けて、高校生団体や観光協会への協力要請などをお願いする予定です!
高校生たちはこれからも、地域を元気づけるためのアクションに、それぞれ取り組んでいきます。ソフトバンクは、これからも高校生たちの一歩を応援するとともに、彼らの活動の様子を引き続きお知らせしていきます♪
自分自身へ問いかける、「WHY」の気持ちを大切に
2012年のプログラム開始当初から、高校生に向けた講演を行っている堤 大介さん(映画監督)。TOMODACHIプログラムへの思いや、未来のリーダーへ贈るメッセージを伺いました!
堤 大介さん(映画監督)
TOMODACHIプログラムをきっかけに、今年の春初めて東北を訪れました。東北の強さを知ると同時に、まだまだ根深い人々の心の傷を感じ、高校生のような若い世代にどういった将来を歩んでほしいか、大人全体で考える必要性を実感しました。高校生たちには、何事にも積極的にチャレンジをして「失敗」をしてほしいと思っています。
失敗から得られる学びは、他では得難いもの。「失敗したら良いことが待っている」という気持ちで、どんどん挑戦してください!
また、リーダーとしてこれから活躍していく100人のみんなには、「WHY(なぜ)」を常に自分自身に問うことを忘れないでほしい。「WHAT(何を)」や「HOW(どのように)」だけでは、良い成果は生まれません。自分とチームにとっての「WHY」を問い続けることを、大切にしてください。
「TOMODACHI ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」について
東日本大震災の被災地域である岩手県、宮城県、福島県の高校生を、カルフォルニア大学バークレー校で行われる3週間の集中コースに無償で招待するプログラムです。「東北の高校生が夢をつかみ、チャレンジするための一歩としてこの経験を生かし、東北の復興を担うリーダーになってほしい」という思いから、米日カウンシルと米国大使館が主導する「TOMODACHIイニシアチブ」の趣旨にソフトバンクグループが賛同し、2012年にスタート。今年を含め累計約800人の高校生が参加しています。
TOMODACHI ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム
(掲載日:2017年8月30日)
文:ソフトバンクニュース 編集部