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エレベーター乗車中に地震が発生…。あなたが取るべき行動は? -防災行動ガイド

エレベーター乗車中に地震が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

エレベーターに乗っていたら、スマホから緊急地震速報を知らせる警報音が聞こえてきました。その後、強い揺れが…。地震が発生した模様です。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?

正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。

今回は、エレベーターの乗車中に地震が発生したときの正しい対処法をご紹介。

この災害テーマのポイント

エレベーター乗車中に地震が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

  1. 地震が発生するとエレベーターに長時間閉じ込められる可能性も
  2. 揺れを感じたら、すべての階のボタンをプッシュ
  3. エレベーター内の「非常備品ボックス」をチェック

エレベーター乗車中に地震が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

この災害テーマのポイント

  1. 地震が発生するとエレベーターに長時間閉じ込められる可能性も
  2. 揺れを感じたら、すべての階のボタンをプッシュ
  3. エレベーター内の「非常備品ボックス」をチェック

目次

リスク:地震が発生するとエレベーターは緊急停止。長時間閉じ込められる可能性も

2009年以降に竣工したエレベーターは、地震などによる揺れを感知すると、最寄りの階で自動停止する機能が備えられています。しかし、最寄りの階に到着する前に再び強い揺れが起きると、その場で緊急停止するために、長時間閉じ込められてしまう可能性も。また、揺れによりドアが大きくゆがんでしまった場合には、救助に時間がかかることが予想されます。(停止のリスクは「火災発生時」にも

エレベーターに長時間閉じ込められてしまった場合には、次のようなリスクが考えられます。

  • トイレ問題
  • 不安感によるストレス増加
  • 脱水症状、空腹などによる体力消耗

他にも、持病が突然悪化したり、夏場は熱中症にかかったりなど、さまざまな危険が発生する可能性があります。

エレベーターの中に5時間以上閉じ込められた例も

2018年6月に大阪府北部で発生した地震では、朝の通勤時間帯と重なり、エレベーターの閉じ込めが多数発生。中には、通報から救出までに、5時間以上要したケースもありました。

  • 停止したエレベーターの数は、約6万6,000基
  • 閉じ込めは、365件
  • 通報後から救出までの時間は、平均80分、最大約5時間20分。

対処法:揺れを感じたら、すべての階のボタンをプッシュ。閉じ込められたら通報して待機

エレベーター乗車中に地震が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

エレベーターの中で地震に遭遇してしまったときの対処ステップ

  1. 揺れを感じたらすぐに、すべての階のボタンを押す
  2. 閉じ込められてしまったら、インターホン・非常ボタンを押して、管理センターへ通報する
  3. インターホン・非常ボタンが通じない場合は、携帯電話で管理センター、または消防・警察へ通報する
  4. 扉の外に人の気配がしたら、カバンで扉を叩くなど、音を出して存在を知らせる
  5. 非常用備品ボックスが設置されていれば活用して、救助・復旧を待つ

エレベーターは内側からは開きづらいので、無理に扉を開けようとしたり、天井から脱出しようしたりするのは危険。また、助けを呼ぶため叫び続けると、いたずらに体力を消耗してしまいます。扉の外に人の気配を感じたら、怪我をしないようにカバンなど固い物で扉を叩く、笛を吹くなど、なるべく体力を消耗しない方法で、存在を知らせましょう。

事前の備え:エレベーター内の「非常用備品ボックス」をチェック。高層階に居住・勤務の場合は備蓄を

エレベーター乗車中に地震が発生…。災害時の対策と事前の備え -防災行動ガイド

東日本大震災以降は、「非常用備品ボックス」が設置されているエレベーターが増えています。この中には、水、食料のほか、簡易トイレ、懐中電灯、笛などの防災グッズが備えてありますから、いざというときに活用できることを知っておきましょう。もし、毎日あなたが使っているエレベーターに非常用備品ボックスが設置されていなければ、管理会社やオーナーに設置を検討してもらうことをオススメします。

エレベーター内に非常用備品ボックスがない場合でも、次のアイテムを持っていれば安心です。

  • 水:脱水への備え
  • チョコレートなどの糖分:ストレスの緩和
  • マスク、携帯用消毒液など除菌グッズ:ウイルス感染などの防止
  • 黒いポリエステル袋:携帯トイレの代用など、幅広い用途に
  • 懐中電灯:停電への備え

非常用備品ボックス内の携帯トイレを使う場合には、入っているブランケットなどを目隠しに使いますが、黒いポリエステル袋も、目隠し用のポンチョとして使えます。大きなものを用意しておきましょう。

また、マンションの高層階に住んでいたり、勤務したりしている方は、エレベーターが長期間にわたって停止したときに備え、1週間程度の水と食料備蓄をしておきましょう。オフィスには、毛布やスニーカー、簡易トイレを用意しておけば安心です。

エレベーター復旧の優先順位

① 人が閉じ込められている
② 病院など、弱者が利用する建物
③ 自治体など公共性が高い建物
④ 高さ60メートル以上の高層住宅
⑤ そのほかの建物

「日本エレベーター協会」より

閉じ込められている人の救出が最優先とされるため、2018年6月に大阪府北部で発生した地震では、エレベーター復旧までに3日ほどかかった建物もありました。高層難民にならないよう、日頃から備蓄を心がけておくといいですね。

地震発生時のエレベーターでの対処に役立つサービス・ウェブサイト

① 一般社団法人日本エレベーター協会「エレベーターの安全対策」

エレベーターの安全機能についての説明や、緊急時の対応方法などを紹介するページ。地震発生時の対応についても紹介しています。

② Yahoo!防災速報

Yahoo!防災速報

災害が起こる前に、地震・豪雨・津波などの情報を知らせてくれるアプリ。アプリをダウンロードして設定すると、位置情報を利用した現在地と、あらかじめ設定しておいた3地域の情報を、プッシュ通知で受け取ることができます。

③ 緊急速報メール

緊急速報メール

気象庁が配信する緊急地震速報や津波警報・気象などに関する特別警報および、国・地方公共団体が配信する災害・避難情報などを、回線混雑の影響を受けずにスマホに発信するサービス。

④ 緊急通報の位置情報通知

緊急通報の位置情報通知

ソフトバンクの携帯電話から緊急通報(110番、118番、119番)を行った場合、緊急通報した場所の位置情報が、警察、消防、海上保安庁などに自動的に通知されるサービス。ソフトバンクの携帯電話はすべて対応しています。移動中や外出中に災害やトラブルに巻き込まれ、お客さまが自分のいる場所をうまく説明できない場合でも、位置情報をもとに救助隊が駆けつけます。

⑤ みまもりマップ

みまもりマップ

家族がお互いの居場所をマップで確認できるソフトバンクのサービス。災害発生時には、家族が災害エリアにいることを知らせてくれたり、周囲に救援を求めたりすることもできます。また、平常時には、大切な家族が今どこにいるか、学校・病院などの指定エリアに到着・出発できたかなどの確認をすることが可能です。

監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋洋先生

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2020年3月11日、更新日:2022年12月22日)
監修:高橋洋
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草