街を歩いていると、突然スマホから「Jアラート」によるサイレン音が…。どうやら、隣国で発射されたミサイルが、日本の方向に飛んでくる可能性があるようです。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?
正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、Jアラートを知らせるサイレン音が鳴ったときの対処法などをご紹介。
この災害テーマのポイント
- 「Jアラート」は、国からの緊急情報を住民へ瞬時に伝えるシステム
- 頑丈な建物や地下へ避難。建物がなければ、溝や穴、物陰に身を隠す
- 家庭備蓄など地震への備えは、その他の災害対策にも有用
この災害テーマのポイント
- 「Jアラート」は、国からの緊急情報を住民へ瞬時に伝えるシステム
- 頑丈な建物や地下へ避難。建物がなければ、溝や穴、物陰に身を隠す
- 家庭備蓄など地震への備えは、その他の災害対策にも有用
目次
- リスク:国からの緊急情報を伝える「Jアラート」。数分後にミサイルが日本に落ちる可能性も
- 対処法:頑丈な建物や地下へ避難。近くに建物がなければ、溝や穴、物陰に身を隠す
- 事前の備え:備蓄など「地震への備え」は多くの災害対策に有用。シミュレーションの習慣化も
- Jアラートを知らせるサイレン音が鳴ったときに役立つサービス・ウェブサイト
リスク:「Jアラート」の数分後にミサイルが日本に落ち、窓ガラスの破片が銃弾のような速さで飛び散る危険性も
「Jアラート(全国瞬時警報システム)」とは、国からの緊急情報を、人工衛星を用いて市区町村の防災行政無線や携帯メールなどで、住民へ瞬時に伝えるシステムです。Jアラートで発信される情報には、弾道ミサイル情報や大規模テロ情報などの「国民保護に関する情報」、緊急地震速報、大津波警報などの「自然災害に関する情報」があり、伝達される情報によってサイレン音やメッセージが異なります。
日本に向けて弾道ミサイルが発射された場合
ミサイルが着弾すると、すさまじい衝撃波と爆風が起きて窓ガラスなどが割れ、その破片が銃弾のような速さで飛び散るといわれています。また、ミサイルの中に、化学兵器や核爆弾が積まれている可能性もあります。
到着までの猶予、わずか6、7分。ミサイルの恐るべき速度とは
2022年10月4日、北朝鮮の首都、平壌から日本の方角に向けて発射された弾道ミサイルは、発射からわずか6、7分後、平壌から約1,300kmも離れた青森県上空を通過しました。弾道ミサイルの飛翔速度は、音速の17倍に当たるマッハ17。凄まじいスピードで移動しながら、発射から極めて短時間で日本に飛来する可能性があるため、迅速な避難・対応が必要です。また、このように日本上空を通過するケースは、2017年9月以来で5年ぶり。落下は日本の東の海域、約3,200km地点と、これまでに発射された弾道ミサイルの中でも最長の飛行距離でした。
対処法:頑丈な建物や地下へ避難。近くに建物がなければ、溝や穴、物陰に身を隠す
① Jアラートが鳴ったときのアクション
屋内にいる場合 |
できるだけ窓から距離を置く、または窓のない部屋へ移動。地下があれば、地下へ避難する。木造の建物にいる場合は、近くの頑丈な建物へ避難する |
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屋外にいる場合 |
頑丈な建物の中へ移動。できれば地下街など地下に入る。近くに建物がない場合は、溝や穴、物陰などに身を隠す。地面に伏せ、頭部を守る |
車を運転中 |
ゆっくりと減速して道路の左側に止める(近くに地下駐車場があれば地下に駐車)。キーを外さず、ロックをせずに車から離れ、地下や頑丈な建物に避難 |
電車に乗車中 |
地下鉄の場合は、慌てずにそのまま待機。屋外を走る電車の場合は、窓から離れた中央に移動し、低姿勢で頭を両手で覆う |
② 近くにミサイルが落下したときのアクション
屋内にいる場合 |
危険物を吸入しないよう、エアコンや換気扇はストップ。窓を閉め、目張りをして屋内を密閉する |
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屋外にいる場合 |
ミサイルには化学兵器などが搭載されている可能性もあるため、口と鼻をハンカチで覆いながら現場からただちに離れ、密閉性の高い屋内や風上へ避難する |
また、街中でパニックに陥ると、押し合って将棋倒しになる恐れもあるため、むやみに走り回ったりせず、落ち着いて行動することが大切。身の安全を確保できたら、政府や自治体、報道機関など、複数の媒体から情報を収集しましょう。
内閣官房 国民保護ポータルサイト「弾道ミサイル落下時に取っていただきたい行動の例(避難訓練の場面から)」
事前の備え:備蓄など「地震への備え」は多くの災害対策に有用。シミュレーションの習慣化も
物資がなくなる可能性があるため、水・食料などの備蓄はとても有用。同様に、緊急時における家族との安否確認手段を決めておくこと、通勤・通学路にある一時滞在施設を確認しておくこと、ガラスに飛散防止フィルムを貼っておくことも、ぜひ押さえておきたい備えです。
初めて訪れる場所では、「この建物の避難口はどこか?」「もしここで被災したら、どんなアクションを取るべきか?」などと意識するクセをつけましょう。
地震への備えは、ミサイル着弾後や大規模テロ発生時にも役立ちます
Jアラートを知らせるサイレン音が鳴ったときに役立つサービス・ウェブサイト
① 内閣官房 国民保護ポータルサイト
弾道ミサイル落下時の行動や、弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&Aなど公開するサイト。警報のサイレン音を確認することもできます。
② 緊急速報メール
気象庁が配信する緊急地震速報や気象などに関する特別警報、国・地方公共団体が配信する災害・避難情報などを、回線混雑の影響を受けずにスマホに発信するサービス。Jアラートの配信も。
③ Yahoo!防災速報
地震・豪雨・津波や、Jアラートの情報を知らせてくれるアプリ。アプリをダウンロードして設定すると、位置情報を利用した現在地と、あらかじめ設定しておいた3地域の情報を、プッシュ通知で受け取ることができます。
④ 安否確認手段に災害用伝言板
大規模災害などで音声発信が集中してつながりにくくなった際に、安否情報を確認できるサービスです。無料で使えて、事前の申し込みも必要ありません。
⑤ 東京都防災マップ
東京都内の一時滞在施設や避難所、避難場所、災害時帰宅支援ステーションの場所を探すことのできるウェブサイト。ご自宅や職場の近くにある施設をあらかじめチェックしておくと、いざというときに困りません。
監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)
1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。
(掲載日:2020年3月30日、更新日:2023年7月4日)
監修:高橋洋
文:内藤マスミ
編集:エクスライト
イラスト:高山千草