9月15日から17日までオンラインで開催された、ソフトバンク最大のビジネスイベント「SoftBank World 2021」。9月16日の基調講演は、代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの今井康之が担当。事業成長に必要なデータ活用の重要性や、災害に強い安全な街づくりの取り組みの事例などを紹介しました。
SoftBank World 2021 開催レポート
- 日本復活の鍵は“スマボ”。孫正義 基調講演
- 「CCoO」が世界と日本をつなぎ、企業DXの加速へ。 宮内謙 基調講演
- 日本のデジタル競争力の復活に必要なものとは? 宮川潤一 基調講演
- 多様なツールとデータ連携がもたらす企業コミュニケーション変革
DXの推進に、企業が取り組むべきデータ活用事例の最前線
企業活動におけるデータの重要性が高まる中、多くの企業がデータを活用し切れずにいる現状を踏まえ、今井は、「現在の状況を可視化し、可視化したデータを使って未来を予測していく」ことが、企業の成長に重要であると強調。企業が事業成長するためのデジタルマーケティングと、社会課題を解決するスマートシティについて、各業界からゲストを招き、データ活用の取り組みなどを紹介してもらいました。
デジタルマーケティングで、ひとりひとりのニーズに合った情報提供や商品提供を実現
デジタルマーケティングについての事例は、調剤薬局併設型ドラッグストアチェーンを運営するウエルシアホールディングス株式会社から代表取締役社長 松本忠久氏が、そして資生堂ジャパン株式会社 チーフデジタルオフィサー(CDO) スギモトトシロウ氏が登壇。DXの推進とデータの効果的な活用によって、多様化するニーズや購買行動の変化を的確に捉えながら顧客一人一人を理解し、個々に合った情報や体験機会の提供など、常に顧客にとっての新しい価値創造に取り組むビジネスモデルが紹介されました。
常にアップデートする街づくり。デジタルインフラを活用したスマートシティ
次に今井は、社会課題の解決に向けた、データ活用によるスマートシティの取り組みについて話を展開。
交通網やオフィスビル、商業施設などのデータが分断されている現状に触れた上で、災害発生時には街の状況がデータで正しくリアルタイムに把握されることが、自治体・住民の双方にとって重要であると説明。社会の変化に対応した街づくりのためには、あらゆるデータを統合する連携基盤「都市OS」が必要で、未来の街づくりにはデータを基にバーチャル(仮想)空間でリアル(物理)空間を再現する「デジタルツイン」を活用したシミュレーションが有効だと述べました。
建築領域、社会インフラ領域との共創が重要となるスマートシティの取り組みについては、それぞれの専門家である、株式会社日建設計 代表取締役社長 大松敦氏とパシフィックコンサルタンツ株式会社 代表取締役 社長執行役員 重永智之氏とともに、防災やカーボンニュートラル、交通インフラの領域における連携の可能性について議論が交わされました。
特に注目されているカーボンニュートラルについては、「エリアマネジメントを進める上で、エネルギーは収益を生み出す可能性のある重要な要素の一つなので、 エリアでマネジメントする仕組みづくりにチャレンジしていきたい」(重永氏)、「データを基にインフラを整備することで、無駄のない循環型社会を共創していける。既存の建物に活用できるような工夫も今後のテーマとして考えたい」(大松氏)、「5G/6G時代のデータをクラウドで処理する際に、グリーン電力を活用するグリーンデータセンターといった構想も視野に入れている」(今井)など、3者の新たな街づくりへの意気込みが語られました。
SoftBank World 2021の講演ダイジェスト(PDF版)は、公式サイトからダウンロードできます。
(掲載日:2021年9月30日)
文:ソフトバンクニュース編集部