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SNSで話題の不思議な動画はどうやって撮っているの? 人気映像クリエイターぞのさんっ直伝スマホ撮影テクニック

SNSでも話題の不思議な動画。スマホで簡単に撮れる、映像クリエイター直伝テクニック

人が瞬間移動したり、何気ない風景や食べ物がドラマチックに見えたり……。こんな動画をSNSでよく目にしませんか? 実はあの動画、スマホを使って誰でも撮影することができるんです。今回は、人気映像クリエイターのぞのさんっに、初心者でもスマホさえあれば簡単にユニークな動画が撮影できるテクニックを教えてもらいました!

目次

映像クリエイター ぞのさんっ

ぞのさんっ

2018年より映像クリエイターとして本格的に活動。2020年には、ウィルスミスがTikTokの投稿をシェアしたことが話題に。現在、TikTokをはじめとする動画プラットホームで、アイデアを生かしたショートムービーを数多く投稿。自身のサロン「Creatorʼs Campus」の代表も務める。

Instagram:@zono.sann
TikTok:@zono.sann

ついつい最後まで見ちゃう! SNSで話題の不思議な動画を撮影してみた

まずは、ぞのさんっに、「食べ物」「自然・風景」「人物」の3つに分けて動画を撮影していただきました。どんな映像が撮れたでしょうか? 各動画の作り方は次のページで解説します!

  1. 食欲をそそる「食べ物編」

    パンケーキにシロップをかけるシーンで、スマホカメラを下にして動かしながら撮ることでドラマチックに見える動画です。

    「食べ物編」の撮影テクニックを確認する

  2. まるで映画のワンシーンのような「自然・風景編」

    道端に生えているお花を普段の見え方と違うようにスマホカメラの向きを変えて撮った動画です。

    「自然・風景編」の撮影テクニックを確認する

  3. 別の場所に瞬間移動! 「人物編」

    木々に囲まれた空間から開けた草原へ、2種類の動画を使って人物が別の場所へ瞬間移動する動画です。

    「人物編」の撮影テクニックを確認する

ぞのさんっいわく、シンプルな3つの動画ですが、少しコツを知るだけでまったく違う仕上がりになるそうです。次のページから、それぞれの動画のテクニックについて解説していただきます!

食べ物編:ローアングルでスライドさせると注ぐシーンも臨場感アップ!

「食べ物編」の動画の作り方から見ていきましょう。ただパンケーキにシロップをかけているだけなのに、アングルや動かし方のおかげでドラマチックに見えませんか?

動画を撮影する1番のコツは「自分が動くこと」。特別な機能や機材を使わなくてもドラマチックな映像が撮れる、基本のキです。ここでは撮影時に、食べ物など対象物を魅力的に見せるスマホの動かし方を紹介します。

①ローアングルからの撮影で迫力アップ!

スマホの上下を逆にして、下から見上げるようなアングルにすることで、被写体が大きく見え迫力ある映像が撮れます。

食べ物編:ローアングルでスライドさせると注ぐシーンも臨場感アップ!

カメラを下にすることで小人になったような見え方になります

カメラを下にすることで自分が小さくなったような見え方になります

②ズームは使わず、スマホを被写体に近づける

被写体から離れてズームで撮影すると映像がブレやすくなり、周囲の雑音も入りやすくなります。カメラの設定はそのままで、なるべく被写体に近寄って撮るようにしましょう。

食べ物編:ローアングルでスライドさせると注ぐシーンも臨場感アップ!

③スマホを手前や奥にスライドさせて、ドラマチックに

コーヒーを注いだり、シロップをかけたりするなど、ちょっとした動きを組み込んでみましょう。その動きに合わせて一定スピードでゆっくり後ろに下がっていくことで、映像がよりドラマチックに仕上がります。

食べ物編:ローアングルでスライドさせると注ぐシーンも臨場感アップ!

左から右へ、パンケーキから遠ざかるイメージでスライドさせて撮ります

左から右へ、パンケーキから遠ざかるイメージでスライドさせて撮ります

ぞのさんっ

「思わずおなかが鳴ってしまいそうな動画が撮影できましたか? スマホを持つ腕の下にレシートやタオルなどを敷くと滑りやすくなって、よりスムーズにスマホをスライドさせることができますよ」

自然・風景編:視点を変えて、植物が空に伸びていくかのような見え方に

次に「自然・風景編」のテクニックを解説します。植物は四季折々で楽しめるので、さまざまな動画が撮れますよね。道端に生えている雑草など、日常的に目にしているものも、視点が変わると新鮮で魅力的に映ります。

今回は公園に生えていたお花をあえて下から撮影してみました。スマホの持ち方を少し変えて、映画のワンシーンのような映像を撮ってみましょう。

①スマホを水平に持って撮影

地面と水平になるようにスマホを持ち、そのまま上へゆっくり上げていくだけで、花や葉のあいだをかきわけて空へ飛んでいくような映像が撮影できます。なるべく背が高い植物を選ぶのがポイントです。

自然・風景編:視点を変えて、植物が空に伸びていくかのような見え方に

真上を向くイメージでスマホカメラを上に向けます

真上を向くイメージでスマホカメラを上に向けます

②超広角レンズで広く大胆に映す

スマホに超広角レンズが搭載されていれば、0.5倍で撮影するのがオススメ! 別売りでスマホにつけるタイプの広角レンズを使用することも可能です。広い範囲を映すことで、映像のクオリティーが上がります。

スマホにつけるタイプの広角レンズを確認する

左:ノーマル、右:広角カメラ効果あり

左:ノーマル  右:広角カメラ効果あり

③露出と彩度を微調整

撮影時または編集時に露出や彩度を上げることで、被写体の輪郭がくっきりとして、鮮やかな映像に仕上がります。彩度を上げすぎるとビビッドになりすぎて、画が不自然になってしまうため「気持ち程度」の調整を意識しましょう。

実際に比較してみた

左:ノーマル、右:明るさ 20 彩度 30

左:ノーマル 右:明るさ 20、彩度 30

ぞのさんっ

「撮影の際は、菜の花みたいに背丈があって、先端に花がついているような植物を選ぶときれいに撮れますよ」

室内で被写体をきれいに見せる光の当て方とは?

室内で被写体をきれいに見せる光の当て方とは?

被写体が一番きれいに映るのは自然光です。室内で撮影する場合は、なるべく窓から自然光が入る部屋で、天気のいい日に撮影しましょう。蛍光灯など人工の照明を使う場合、照明が被写体の真上に来ると、真下に影ができ見栄えが悪くなってしまいます。そういった場所はなるべく避け、被写体が自然に映る位置を探りましょう。

明るさが足りないときは、スマホカメラの自動補正機能を使って調整します。iPhoneの場合、撮影中にピントと明るさを調節できる「AE/AFロック」機能が搭載されています。

撮影画面でピントを合わせたい被写体を長押しすると、画面に「AE/AFロック」と表示されます。この機能を活用すれば、どこでも自然な明るさに調整することができますよ。

人物編:シーン切り替えで瞬間移動したかのような表現に

最後に「人物編」の動画をもとにテクニックを解説します。スマホのカメラ機能や編集アプリを使用しますが、意外と簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください!

今回トライするのは「トランジション」です。トランジションとは、動画と動画の間をつなぐための切り替え効果のこと。今回は、電灯のポールを利用して、人物が瞬間移動したように見える映像を作ってみました。

人物編:シーン切り替えで瞬間移動したかのような表現に

①差が大きく出るような場所選びが肝

シーン切り替えの効果を生かすには、場所をしっかり選ぶことが大切です。日陰の多い暗い森と、日差したっぷりの明るい芝生など、背景がなるべく異なる場所で撮影するとコントラストのある面白い動画が撮影できますよ。今回はシーンの切り替えに公園内のポールを使用しましたが、ほかにも手でカメラレンズを覆ったり、ジャンプをしたりするなど、さまざまなテクニックがあります。

左から右へ、公園内のポールを使ってシーン切り替えの効果を作ります

左から右へ、公園内のポールを使ってシーン切り替えの効果を作ります

左から右へ、公園内のポールを使ってシーン切り替えの効果を作る

②モデルの演技や小道具でより魅力的に

トランジションに説得力を持たせるには、編集技術だけでなくモデルの演技も大切です。別のシーンに切り替わった際に、驚いた表情やポーズをするとぐっとリアリティーが増しますよ。

ぞのさんっ

「日傘などの小道具を演出に活用するのもオススメです。例えば、傘を持って雨天から晴れた日への瞬間移動、旅行かばんを持って自宅から旅先への瞬間移動など、アイデア次第で無限に楽しむことができますね」

③グリッド表示で水平・垂直をしっかり固定

「グリッド」とは、写真をバランスよく撮影するための補助線のこと。グリッドガイドを意識して撮影することで、画面が安定し、構図をしっかりと決めることができます。ほとんどのカメラアプリに搭載されている機能です。
また、撮影するときはなるべくスマホを両手で持ち、脇を締めて構えるようにしましょう。こうすることで、画面のブレを減らすことができます。

人物編:シーン切り替えで瞬間移動したかのような表現に

④シーンのつながりはその場で確認

撮影したデータはすぐに「CapCut」などの編集アプリに取り込み、その場でシーンのつながりを確認します。編集アプリを使った動画加工といっても、素材を並べるだけです。被写体との距離感や、カメラを動かす速さ、画面の明るさなど、動画同士が自然につながるかどうかチェックしていきましょう。

人物編:シーン切り替えで瞬間移動したかのような表現に

もっと撮影がうまくなりたい人向け! 撮影時にあると便利なアイテムとは?

もっと撮影がうまくなりたい人向け! 撮影時にあると便利なアイテムとは?

スマホ用の三脚があると、手ブレが少なくきれいな映像が撮影できます。友だちと旅行に出掛けて2人で映像を撮りたいときなどにも便利なので、1台持っておくといいでしょう。

スマホ用の三脚を確認する

もうひとつ、身近で便利なアイテムが鏡です。鏡を地面に置いて撮影するだけで、世界が反転した幻想的な風景が撮れますし、トランジションに活用することで鏡の中に入り込んだような演出もできますよ。

ぞのさんっの作品を見る

専門的な機材を使わなくても、アイデア次第でユニークな動画が作れるので、身の回りにあるものを上手に使って自由に楽しんでみてください。

 

人物編:シーン切り替えで瞬間移動したかのような表現に

「特別な場所に行かなければ凝った動画は撮れない」と思われがちですが、この記事で紹介したテクニックを活用すれば、家の中や近所の公園でも魅力的な動画を撮影できます。人が多い場所で撮影するときは、周りに配慮し、マナーを守ることを第一に。飲食店などで撮影する場合は、あらかじめ許可をとるようにしましょう。

一度、撮影のコツをつかめると、挑戦したい気持ちがどんどん湧いてきます。撮った映像を友だちとシェアして楽しんだり、SNSに投稿したりして、楽しみの幅を広げていってくださいね。

(掲載日:2022年7月1日)
写真:山崎悠次
文:佐藤由衣
編集:エクスライト