「すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を」というコンセプトを掲げ、SDGsに取り組んでいるソフトバンク。「SoftBank SDGs Actions」では、いま実際に行われている取り組みを、担当社員が自らの言葉で紹介します。11回目は、全国10地域で取り組んでいる「移動型スマホ教室」です。
今回、話を聞いた人
ソフトバンク株式会社 コンシューマ事業統括 営業第一本部 戦略統括部 スマホAD推進部 スマホ推進戦略課
矢島 昇(やじま・のぼる)
数年にわたる量販店での販売経験後、2022年4月から開始した移動型スマホ教室に自ら志願。同年5月には群馬・高崎にある事業所へ赴任し、事業推進に携わる。海が好きで、趣味は旅行。
学びたい意欲のある高齢者の元へ、移動してやってくるスマホ教室
地方の山間部にお住まいの高齢者の皆さんの中には、「家族にとりあえずスマホを勧められて持ってはみたけど、使い方が分からないからただの待ち受け用で家に置いてきた」という方がたくさんいます。使い方を覚えたくても、誰に聞いたらいいか分からない、そもそも聞ける人がいないという方も。そもそも、都市部に比べて交通手段が限られている地域では、買い物など何かをするにも車で移動することになりますが、すでに免許返納をしている高齢者の方はなかなかそうはいきません。
スマホは今や、災害時の連絡手段や、行政との連携が進む「LINE」のようなアプリを使ったワクチン接種予約など、生活で欠かせないインフラとなっていますが、うまく使いこなせず困っている方がたくさんいるのが実情です。「もし病気になったときに、手元にあるスマホで連絡できたら…」、そう願う方も多くいらっしゃいます。
私が携わっている移動型スマホ教室は、スマホの使い方を学びたいけれど、車がなく移動することも難しいという、主に交通が不便な地方に住む方のニーズに応えるために、2022年4月から始まった取り組みです。SDGsの「誰一人取り残さない」というスローガンにもあるように、誰もが平等で不自由なく情報を得ることができる社会の実現を目指し、ソフトバンクは「スマホなんでもサポート号」に乗って、スマホ教室を開催しに行く移動型スマホ教室を無料で行っています。
都心に住む両親に使い方を教えた経験が参加のきっかけに
私は東京の出身で、都心に住む両親や高齢の親類から「スマホの使い方が分からない」と言われて、教えることが度々ありました。デジタルデバイドはずっと日本の課題とされていて、以前から漠然と「交通の便もよく、学習の機会に恵まれている都会の人でもスマホの使い方が分からないのなら、地方ではいったいどんな状態なんだろう」と考えていました。自分の身近でもそういうことがあり、ソフトバンクが移動型スマホ教室の取り組みを開始したことをきっかけに、志願してこの部署に入りました。
地方ではソフトバンクショップの店舗が少なかったり、地元のコミュニティにデジタルネイティブと言われる若い世代がなかなかいなかったりと、教えられる人が少ないことが課題だと思っています。スマホを使ってできることをもっと増やして、日常生活を便利に、困ったときの助けとなるようにしたい。車に乗って “移動” する意味は、理由があってどこかへ足を運ぶことができない人たちの代わりに、自分たちの方から寄り添いたいという、その姿勢にあると思っています。
一度参加すると、また行きたくなる。地元の住民が楽しく学べる空間に
移動スマホ教室は2022年7月現在、全国13の自治体で運用しています。私が携わっている群馬県の富岡市では、市内9カ所を拠点として、約20種類の講座と、一対一で個別に実施するスマホ相談会を週に4~5日ほどの頻度で行っています。社会のDX化やデジタルの導入を進める自治体と連携し、地域にある公民館に場所をお借りしています。
移動型スマホ教室の中で一番人気なのは、iPhone・アンドロイドの入門編やスマホ体験会です。電話やメールの使い方、アプリの開き方など、基礎的なことから学べる内容になっています。例えば、iPhone入門編では、そもそもスマホとは何かといった簡単な解説と、電話やメール画面の使い方を教えていますが、特に文字の入力操作に苦戦している方がいらっしゃいます。
スマホアドバイザーがオンラインで画面越しで使い方を教えてくれるので、私は教室中は参加者が指導に付いていけているか、サポートに徹します。スマホやケータイを一度も持ったことがない人や、持っているけど電話しか使わない人など、お客さまによって前提が異なるので、一人ひとりに合わせて丁寧な接客を心がけています。
体験者からは「3G回線サービス終了に伴って、高齢の母親にスマホの使い方を教えるために参加した。基本的な内容を分かりやすく教えてくれたので、次回は災害時の連絡方法についても学びたい」といった声もいただいています。参加動機は人それぞれで、家族から勧められた方もいれば、「スマホを使いこなすなんて難しいんじゃない?」と家族から思われていても、自分で学びたいという気持ちを持って来る方もいらっしゃいます。できるようになったことを周りの人に自慢したり、友人を誘って一緒に参加したり、参加者の方々にとって純粋に楽しい時間と感じていただけているみたいで、一回受けると続けて予約を取ってくれる方が多いんです。私たちのようなフォローする担当者も変わらないため、安心して通ってくださるのかもしれません。
スマホのことが本当に何も分からない。そんな人にこそ参加してほしい
本当に何も分からない知識がない自分が参加していいのか、迷惑じゃないかと不安に感じていたと、参加後にお客さまから言われることがあります。むしろ、そんな方にこそ参加してほしいといつも思うのです。
移動型スマホ教室に取り組んでいて一番うれしいと感じることは、参加者の方々から直接「ありがとう」と言っていただけることです。電話をかけられるようになった、メールが送れるようになった、初めて行った旅行先で地図アプリを使ってスムーズに観光できた。できることが少しずつ増えていくのは、参加者にとっては大きな変化です。このプロセスに携われるのは自分としても楽しいですし、私が関わるこの事業は、情報格差をなくして「誰一人取り残さない」世界をつくることにつながっているのではないかと思っています。
ソフトバンクが掲げる「情報革命で人々を幸せに」という理念と、SDGsの理念は近い気がしていますが、ゴールだけ立てて実際に現場が抱えている課題をクリアにしていかないと、絵空事になってしまいますよね。そうならないためにも、スマホの使い方が分からず困っている人たち一人ひとりの声に耳を傾け、少しでも多くの方がスマホを使って便利な生活が送れるように頑張りたいと思います。
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(掲載日:2022年7月29日)
文:ソフトバンクニュース編集部
ソフトバンクのサステナビリティ
今回の紹介した内容は、SDGsの目標「1、3、4、8、9、10、11」に対し、「人・情報をつなぎ新しい感動を創出」することで、SDGsの達成と社会課題解決を目指す取り組みの一つです。