SNSボタン
記事分割(js記載用)

世界が上下反転!? 人気TikTokerが教える「リフレクション写真」のスマホ撮影テクニック

世界が上下反転!? 人気TikTokerが教える「リフレクション写真」のスマホ撮影テクニック

水面などの反射を利用して撮影された「リフレクション写真」。幻想的な世界観が表現できると、SNSなどでも注目されていることを知っていますか? 「いいカメラがないと撮れないのでは?」と思うかもしれませんが、実はスマホで簡単に撮れるのだとか。そこで今回は、スマホで「リフレクション写真」をキレイに撮るコツを、TikTokで人気の写真家せきはんさんに教えてもらいました!

目次

せきはんさん

せきはんさん

「見たらまねしてみんなと撮りたくなる」写真を目指して、TikTokを中心にスマホ撮影の楽しさを届けるフォトグラファー(TikTokフォロワー数は、2023年6月時点で82万人)。現在はフリーで写真の仕事を行う傍ら、フラワーデザイナーとしても活動中。

世界が反転! SNSでこんな写真、見たことない?

世界が反転! SNSでこんな写真、見たことない?

まるで世界が反転しているかのような「リフレクション写真」。実はこれ、今回の先生であるせきはんさんがスマホで撮影したものです。他にはこんな写真も。

世界が反転! SNSでこんな写真、見たことない?

世界が反転! SNSでこんな写真、見たことない?

一体どうやって撮っているの?と気になる人も多いかと思いますが、せきはんさんによると「リフレクション写真をスマホで撮るのに難しいテクニックはいりません。いくつかのポイントを押さえるだけで誰でも簡単に撮影できますよ!」とのこと。

こんなにドラマチックで不思議な写真が手軽に撮れるなんてワクワクしますよね。さっそく具体的な撮影方法をレクチャーしていただきましょう!

せきはんさん直伝!「リフレクション写真」をスマホでキレイに撮る方法

撮影準備として、まずはリフレクションがある場所を見つけます。海や湖、池、田んぼなど、水があるところはリフレクションの宝庫。今回、編集部はせきはんさんと一緒に鎌倉の海へ。

おススメの撮影タイミングは「風がない」&「波がない」とき

せきはんさん

「水辺で撮影する場合は、風が吹いていないときや水面が波立っていないときに撮りましょう。また、海で撮影するときは、遠浅では“ない”浜辺がおすすめ。水に厚みがあるとリフレクションが鮮明に写ります。波打ち際で、波が引いた直後のタイミングで撮影すると、キレイな反射が撮れますよ。

水辺に行く機会がないときは、雨上がりの水たまりを活用してもいいですね。最近の道路は水はけがいいので、雨がやんだらすぐに撮影しましょう。周りの人の迷惑にならない場所であれば、水をまいて人工的な水たまりをつくる手もありますよ」

「リフレクション写真」3つの撮影テクニック

①レンズは地面近くにセット! 反射面との境界を自然に

「カメラのレンズが地面に近い位置にあると、実体と反射面の境界が自然に写ります。縦写真ならスマホを逆さにして、横写真ならレンズがある側を下にして地面に近づけるだけでOK。いちいちファインダーを覗く必要がないのもスマホ撮影のいいところです。スマホが水に浸からないよう、くれぐれも気をつけてくださいね」

スマホを逆さにして、水に浸からないよう注意しながら地面に近づけます

スマホを逆さにして、水に浸からないよう注意しながら地面に近づけます

②反射の比率を調節して、被写体の魅力を引き出そう

「地面に対するスマホの角度で、画面に写る実体と反射面の比率を変えられます。実体が写っている面積を広くしたい場合はスマホを手前に、反射面の面積を広くしたい場合はスマホを奥へ倒してみましょう。スマホは薄いので、一般的なカメラに比べて角度をつけやすいです。数パターン撮影して後から見返してみるとおもしろいですよ」

実際に撮れた写真がこちら! 取材日はあいにくの曇り空でしたが、せきはんさんの手にかかればこの通り。ブルーグレーの空と海が、幻想的な雰囲気を醸し出しています。

曇りの日は思い切って反射面を広くとるのがおすすめ。雲の上にいるような、ファンタジー感あふれる写真が撮影できるそう

曇りの日は思い切って反射面を広くとるのがおすすめ。雲の上にいるような、ファンタジー感あふれる写真が撮影できるそう

「リフレクション写真は線対称の構図になることが多いので、写真の水平・垂直を意識するのもポイント。バランスが取れて、写真に安定感が生まれます。撮影後に修正することも可能ですが、画面にグリッド線を表示させておくとその場で調節できますよ」

③モデルのポーズを工夫して、より“作品”っぽく撮ってみよう

「人物などを入れて撮影する場合は、さまざまなポーズを試しながら写真の世界観を演出してみましょう。片足を上げるなど、あえて不安定な体勢をとると画面に動きが生まれるので、写真の単調さもやわらぎます」

モデルの服の色もせきはんさんのこだわりポイントの1つ。暖色系だと空や海の色とのコントラストが強まります

モデルの服の色もせきはんさんのこだわりポイントの1つ。暖色系だと空や海の色とのコントラストが強まります

もっとキレイに撮りたい! 見た目をワンランクアップさせるコツ

「最近のスマホカメラは高性能なのでオートモードでも十分キレイに撮れますが、光や色味などを調節すると仕上げたいイメージに近づけることができます」とせきはんさん。リフレクション写真をさらに美しく撮影するコツも教えていただきました。

①明るさを控えめにして、リフレクションをより鮮明に

「まずは明るさを調節してみましょう。一般的なスマホでは、カメラアプリ起動中の画面に指を置くと明るさ補正のガイドが表示されます。

リフレクションは明るさが控えめだとよりキレイに写るので、日差しが強い日などは暗めで撮影して後から明るくなるよう修正するといいですよ。撮影時が明るすぎると、画面が白くなる“白とび”が起きてしまいます。このような写真は後から暗くしてもリフレクションが写らないので気をつけてくださいね」

②撮りたい写真の雰囲気に合わせて色味を調節

「写真の雰囲気を変えたいときは、色味を調節してみましょう。カメラアプリに内蔵されているフィルターを使えば簡単に雰囲気を変えられますし、スマホの機種によっては撮影時に画面上で色味を自由に変更できます。空や海の青さを際立たせたいときは青みの強い寒色系のフィルターを、夕日が照らす明かりを際立たせたいときは黄みの強い暖色系のフィルターを使うのがおすすめです」

iPhoneにて撮影。寒色系のフィルターで青みを強めます

iPhoneにて撮影。寒色系のフィルターで青みを強めます

せきはんさんによると、同じ撮影スポットでも時間帯によって反射の現れ方はまったく異なるのだそう。なかでもドラマチックなリフレクション写真を狙えるのが“マジックアワー”や“ブルーアワー”の時間帯。

「マジックアワーは日の出後約40分、日の入り前約40分の時間帯のこと。オレンジや赤、ピンク、黄色など、いろいろな色の光が反射する美しいリフレクション写真が撮影できます。ブルーアワーは日の出前約40分と、日の入り後約40分の、空が真っ青に染まっていく幻想的な時間帯。どちらもその日の大気の状態で色の出方が変わるので、唯一無二の写真が撮れますよ」

「黄昏時」とも呼ばれるマジックアワーの時間帯。センチメンタルな写真が撮影できます

「黄昏時」とも呼ばれるマジックアワーの時間帯。センチメンタルな写真が撮影できます(せきはんさん提供)

③ピント調節や小物活用で、写真の雰囲気を格段にアップさせる!

「スマホの画面を見ながらピントを合わせたいところを指でタップして、それ以外の実体や反射面をあえてぼかすのもおすすめです。どこにフォーカスするかによって写真の印象はガラッと変わるので、いろいろなパターンを試してみるとおもしろい1枚に出会えますよ」

ピントを工夫したり、小物を活用したりすると、写真の幻想度がさらにグレードアップ!

ピントを工夫したり、小物を活用したりすると、写真の幻想度がさらにグレードアップ!

ピントを工夫したり、小物を活用したりすると、写真の幻想度がさらにグレードアップ!

「小物を使うと写真の持つ雰囲気がぐっと強まります。なかでもランタンや花火は夜間の撮影におすすめ。ぜひ試してみてほしいです」

「長時間露光」で星空のリフレクションを撮影!
露光時間を30秒に設定して撮影(せきはんさん提供)

露光時間を30秒に設定して撮影(せきはんさん提供)

暗い場所でのリフレクション写真も、「長時間露光」機能が備わっているスマホなら手軽に撮ることができます。周りに街頭などの明かりがない、風がなく水面が波立っていない、空気が澄んでいるなどの条件がそろえば、神秘的な星空のリフレクション写真もスマホで撮影できますよ。

プロの星空写真家だからこそ分かる。 Google Pixel 「天体撮影モード」の実力

長時間露光と画像合成処理がされる「天体撮影モード」を活用した星空写真の撮影テクニックはこちらから。プロの星空写真家だからこそ分かる。 Google Pixel 「天体撮影モード」の実力

水がない場所でも撮影できる? 身近なリフレクションを探してみよう

ここまで水辺を例に解説してもらいましたが、せきはんさんによると反射するものさえあればリフレクション写真はどこでも撮影できるとのこと。確かに、探してみると身近なところにリフレクションはたくさんあります。

・窓ガラス

「車の窓やショーウィンドウなどの窓ガラスは格好のリフレクションスポットです。建物の窓に反射させる場合は、屋内より屋外が明るいとキレイに撮影できます。閉店後、照明が落ちてからがシャッターチャンスですね」

せきはんさん提供

せきはんさん提供

・ステンレス

「ステンレスなどの金属でもリフレクション写真は撮影できます。こんな風に周囲を見渡してみると、都心でもたくさんのリフレクションがあることに気づきますよ」

せきはんさん提供

せきはんさん提供

・ミラー

「リフレクション写真を撮影するときの最終奥義として紹介したいのがミラー。ミラーはいわば“持ち運び”できるリフレクション。自分でリフレクションをつくり出すことができます。使用方法は簡単で、スマホのレンズの前にセットして角度を調節するだけ。A4サイズ程度の浴室用ミラーが使いやすくて便利ですよ」

水がない場所でも撮影できる? 身近なリフレクションを探してみよう

水がない場所でも撮影できる? 身近なリフレクションを探してみよう

「もちろん地面に置いても使えます。ミラーはリフレクションが鮮明に写るので、反射を強めたいときにもおすすめです」

ミラーと地面の境界線をぼかすとより自然なリフレクションに。スマホが水に浸からないよう細心の注意を払いましょう

ミラーと地面の境界線をぼかすとより自然なリフレクションに。スマホが水に浸からないよう細心の注意を払いましょう

水がない場所でも撮影できる? 身近なリフレクションを探してみよう

「リフレクション写真を撮影すると、何でもない風景が一瞬で印象的なシーンに変わるんですよ。それがおもしろくて、普段の生活でもついつい撮影できそうな場所を探してしまいます(笑)。今回ご紹介したように、リフレクション写真は自然豊かな水辺はもちろん、都心でも撮影できますし、リフレクション自体を自分でつくることもできます。もちろん周囲への配慮や、撮影後の片付けは忘れずに。特に花火の後始末には注意しましょう。スマホで簡単に素敵な写真が撮れるので、みなさんもぜひ楽しんでみてくださいね!」

(掲載日:2023年7月6日)
写真:山野一真
文:勝部美和子
編集:エクスライト